【F1第2戦無線レビュー】またも指示が噛み合わなかったフェラーリとルクレール「遅いよ。もっと早く言ってくれ」

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2023年03月28日 16:30  AUTOSPORT web

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2023年F1第2戦サウジアラビアGP SC中にタイヤ交換を行ったルイス・ハミルトン(メルセデス)は、シャルル・ルクレール(フェラーリ)の前である6番手でコースに復帰した
 2023年シーズンのF1第2戦サウジアラビアGPは、市街地の超高速サーキットであるジェッダ・コーニッシュ・サーキットで行われた。好調のフェルナンド・アロンソはスタートで首位を奪うも、ポールシッターのセルジオ・ペレスが負けじとすぐにその座を取り返す。一方予選でトラブルに見舞われたマックス・フェルスタッペンや、ペナルティを受けたシャルル・ルクレールは後方から上位を狙った。サウジアラビアGPを無線とともに振り返る。

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(1周目)
オスカー・ピアストリ:ダメージを受けた!

 スタート直後、8番グリッド獲得と予選で大健闘した新人オスカー・ピアストリ(マクラーレン)が、ピエール・ガスリー(アルピーヌ)と接触。フロントウイング破損で、最後尾まで転落してしまう。一方フロントロウから首位に立ったフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)には、5秒ペナルティが下された。

(3周目)
クリス・クローニン:ピットストップで5秒ペナルティだ。スタートで正しい位置にいなかった
アロンソ:コピー

 アロンソが冷静に受け止めているように聞こえたのは、自分のレースペースに自信を持っているからか。実際、セルジオ・ペレス(レッドブル)にはかわされたが、ジョージ・ラッセル(メルセデス)に対しては10周目までに5秒以上の差を付けて、ペナルティを帳消しにしている。

(5周目)
ルイス・ハミルトン:アンダーステアがひどい

 上位勢で唯一ハードタイヤでスタートしたルイス・ハミルトン(メルセデス)はペースが伸びず、ミディアムタイヤを履くガスリー、シャルル・ルクレール(フェラーリ)に背後から迫られている。その前方では、カルロス・サインツ(フェラーリ)がランス・ストロール(アストンマーティン)、ラッセルを抜きあぐねていた。

サインツ:こちらの方が速いんだけど、DRSトレインだよ
リカルド・アダミ:OK、タイヤをしっかり持たせるんだ

(8周目)
クローニン:プランAだ。間違いなくプランAで行ける
アロンソ:わかった。トライする

 ミディアム→ハードの1ストップ作戦を遂行するということだろう。

(12周目)
ヒュー・バード(→ペレス):アロンソが下がったから、心配しなくていい

 アロンソのペースが落ち、首位ペレスとの差は3秒以上に広がっていった。しかしアロンソの無線を聞く限り、タイヤに手こずっている風ではない。

(13周目)
アロンソ:タイヤはいい感じだ。このまま行こう

 ハードの温まりが明らかに悪いため、アンダーカットは厳しい。先にピットに入っても、順位は上げにくいということだ。実際、ストロールの後にピットインしたサインツは、順位の逆転に成功している。

 17周目、ストロールがコース脇にマシンを止め、セーフティカーが導入された。

ブラッドリー・ジョイス(→ストロール):クルマを止めろ

(19周目)
マルコス・パドロス:ハミルトンがピットインしたから、SCラインからプッシュするんだ
ルクレール:遅いよ、シャビ。もっと早く言ってくれ
マルコス・パドロス:わかった
ルクレール:わかったじゃなくてさ

 フェラーリのレース中のチグハグさは、今シーズンもあまり改善されていないようだ。

(23周目)
アロンソ:このタイヤ、すごくいい。大好きだ
クローニン:了解

 首位ペレスから3秒以内につけて、2番手を快走するアロンソがタイヤを絶賛した。松崎淳エンジニアが例によって、スクラブタイヤを履かせている。

 とはいえレッドブル勢とのペース差は明らかで、15番グリッドから一気に順位を上げてきたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)に、25周目にかわされて3番手に。これでほぼ同ペースで4番手を走るラッセルとの、表彰台争いとなった。

(29周目)
ラッセル:アロンソは5秒ペナルティがあるから、後で戦おう
マーカス・ダドリー:いや、もう(ペナルティは)消化してしまったんだ
ラッセル:なんてこった!Confusion on the team radio in Jeddah 😵‍💫#SaudiArabianGP #F1 pic.twitter.com/uDOS7ds3JE— Formula 1 (@F1) March 21, 2023

(33周目)
ルクレール:後ろにずっといるのは最悪だ。僕はどうすればいいんだ

 7番手ルクレールは、サインツの後ろで詰まった状態。抜かせてほしいというアピールだが、順位が入れ替わることはなかった。

 2番手に上がったフェルスタッペンが猛追し、ペレスの5秒以内まで迫る。しかしペレスも最速タイムを叩き出して踏ん張る。ここでフェルスタッペンがマシンの不調を訴えた。

(38周目)
フェルスタッペン:ドライブシャフトがおかしくなってるんだけど
ジャンピエロ・ランビアーゼ:いや、ブレーキバランスだ
フェルスタッペン:違うよ、ドライブシャフトだよ

フェルスタッペン:高速で、変な振動が出てる
ランビアーゼ:こっちのデータは問題ない
フェルスタッペン:いや、おかしいってば!

 ドライブシャフトの不具合を訴えるフェルスタッペンだが、ペレスを追うペースは緩めようとしない。追われるペレスも必死だ。

(40周目)
ペレス:ブレーキペダルが長くなってる
バード:いや、大丈夫だ。若干、摩耗があるだけだ。

(43周目)
バード:ターゲットは32秒6+0.4秒だ
ペレス:え、マックスも同じペースなのか
バード:マックスの1周前が32秒6だ
ペレス:じゃあ僕はどうして33秒0なんだ? 僕らはレースしてるのに

 これはペレスの誤解と思われる。ペレスの1周前が1分32秒02で、このペースでは速すぎるため、コンマ4秒遅い1分32秒6、フェルスタッペンとほぼ同じラップタイムに落ち着かせろという指示だろう。

ペレス:こんなの続ける必要ある? 最後までプッシュするの?
バード:自由にやっていい。プッシュするのも自由だ。

 首位のペレスにしてみれば、この順位のままペースを抑えてチェッカーを受けたい。しかしチームは、2台を自由に戦わせることを選択した。

(47周目)
角田裕毅:ノー!!

 21周にわたってケビン・マグヌッセン(ハース)を抑え続けていた角田がついにかわされ、11番手に後退。開幕戦に続いてノーポイントとなった角田が、悲痛な叫びを漏らした。

 ペレスとフェルスタッペンの後方、アロンソとラッセルの3位表彰台争いも熾烈だ。

(48周目)
ダドリー(→ラッセル):アロンソのペナルティは、消化されてないかもしれない

(49周目)
クローニン(→アロンソ):今、4.3秒後ろだ。万一のことがあるから、ラッセルを5秒離してくれる? 僕らは大丈夫だと思ってるけど

 アロンソはすぐに自己ベストを出し、ギャップを広げていく。

(49周目)
ラッセル:表彰台なのか、どうなんだ? ものすごくプッシュしてるんだけど
ダドリー:プッシュし続けるんだ

 しかしアロンソも手を緩めず、その差は4秒9。最終的に5秒1まで広げてチェッカーを受けた。表彰式の後には10秒ペナルティの裁定が一旦下ってアロンソは4位とされたものの、これはすぐに取り消され、アロンソの3位が確定した。

ランビアーゼ:素晴らしいリカバリーだった
フェルスタッペン:悪くないね。チームにとってもいい結果だ
クリスチャン・ホーナー代表:昨日(のトラブル)は悪かった

マッティア・スピニ:残念だった。でも良いレースだった
角田:うん、でもフラストレーションがたまるよ……

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