ガールズバンド「きみとバンド」が3月18日、東京・浅草公会堂で『〜Road to Budokan 第一章〜』を開催した。きみとバンドは2020年元ラストアイドル清原梨央(ギター・ボーカル)、モデル大野真依(ドラム)らで結成され同年8月にデビューしたガールズバンド。2022年1月にシンガーソングライター森田理紗子(ボーカル・ギター・キーボード)が加入して現在の3人体制となった。今回の浅草公会堂ライブがバンド初のホールコンサートとなる。
ステージがスモークで覆われ今回のライブ用に用意された和テーストのオープニングSEが流れると、ステージセンターのせり出しからメンバー3人が登場し、観客のボルテージが一気にあがった。
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メンバーが定位置につくと大野のドラムからベースソロへと繋がる印象的なイントロのきみとバンドのセルフタイトル曲『きみとバンド』だ。会場の規定でスタンディングが禁止だったが声だしが解禁され、オーディエンスの盛り上がりは既に最高潮。客席は思い思いに拳をあげ、曲に合わせて「オーオーオー」と一緒に歌うなど盛り上がった。続いてポップなナンバーで「何度でも立ち上がるよ」「新しいスタートをきろう」とまるで日本武道館を目指すきみとバンドを表すような歌詞が印象的な「スタートライン』、清原の印象的なボーカルから始まるロックナンバー『はなればなれ』が演奏され、森田のMCへ。
「小さい頃は運動や算数が出来ず放課後1人で泣いたこともありました。音楽に出会うまで好きなことも得意なこともありませんでした。だから、音楽に出会えて嬉しくて私には音楽しかない!そんな思いがあるからここまで続けてこられました。しかし、それが原因で見えなかったものがあるって、きみとバンドに出会って思いました。みんなで作るステージ、ファンとの一体感。音楽に対して変に真面目で、頑なだった私に音楽は楽しく自由でいいときみとバンドが教えてくれました。頑張るが故に狭く考えてしまい悩む子が沢山いると思います。だから私がきみとバンドで色々挑戦して、こんな形があるんだって見せて行けたらなって。そして日本武道館に立ち夢見る人達に希望を与えたい。」と語り、「きみとバンドが音楽を始めた原点の曲。amulet。」とソングコール。
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ここからはしっとりと聞かせる3曲で構成された。バンド結成前に大野が配信サイトのイベントで獲得した楽曲でサウンドプロデューサー古城康行氏と出会うキッカケとなった『amulet』、きみとバンドで一番人気がありサビの森田と清原のハモリが印象的な『rosemary』、森田のボーカルが心地よい『きみとふたり』とバラード系で客席を酔わせると今度は清原のMCが始まった。
「未だに私は、自分のバンドマンとしての存在意義に悩み続けています。真依ちゃんはSNSや色んな場面で活躍し、りさちゃんはボーカルとしてバンドを支えて…。じゃあ私は何が出来ているのかって。ぴょんぴょん跳ねている姿がいいね、笑顔に元気もらえるよって言われるけど、演奏もまだまだだし、私はきみとバンドの力になれているのかとここにいる意味をずっと考えていました。でもメンバーは、梨央ちゃんだからいいんだよ、そのパフォーマンスが好きだよって言ってくれました。誇れるものは多くないけど、誰かが必要としてくれる限り、このステージに居続けないとって思いました。きみとバンドは、私がやっと見つけた居場所です。ここで輝いて、誰かの光になれるように、私らしく進み続けていきます。オレンジ色の世界」
清原が初めて作詞した曲で自分の感情をストレートに出した、普段のライブではなかなか演奏されない『オレンジ色の世界』、通常のライブであれば観客のジャンプが一斉に始まるちょっと懐かしいディスコチューンなナンバー『スローモーション』、コール&レスポンスが凄く盛り上がる明るくテンションが上がる『レリビ☆』を披露した。
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ここでステージ下手からキーボードが登場し、観客席からどよめきが起きる中、ライブ当日に発売になったアルバム『kimiban』からの新曲『さよならリフレイン』が披露された。森田がきみとバンドで初めてピアノ弾き語りをした。このバラードは森田の真骨頂である艶やかで美しいボーカルで客席を魅了した。
さらにここから森田加入後初のシングル曲となった『シャボン玉』、通常のライブではラストに歌われることが多いスローバラード『歌にのせて』、王道アイドルポップソング『きみが好き』から一転してAORの雰囲気が漂う『蝉しぐれ』ときみとバンドの幅広い音楽性を見せつける。この振り幅の広さがきみとバンドらしい構成だった。続いて大野のMCが始まる。
「浅草公会堂ライブを発表してから毎日、日本武道館への第1章のライブと言い続けました。ファンの方のツイートにも日本武道館という言葉を目にするようになり、私も当たり前のようにSNSやMCで日本武道館と言い、本当に私はその場所を目指しているんだと思う時があります。中学生の頃から芸能界に憧れはあったけど「何をしたい」「これで売れたい」という明確なものがなくて。メンバーやファンから「真依ちゃんは何でも受け入れられて柔軟でいい」と言われるけど私は自分が逆に空っぽな気がして嫌になります。そんな私をファンの方が支えてくれて、両親も何も言わず見守り、メンバーも受け入れてくれて。ファンや家族のためにと恩着せがましいかもしれないけど空っぽの自分にはその想いが私を満たし、上を目指せる原動力になっています。大きなステージにみんなを連れていくという約束を守るためなら私は何でもやります。このメンバーとチームで日本武道館へ行きましょう。あの場所へ」
メンバー3人で初めて作詞した『あの場所へ』は元々、昨年のZeppワンマンに向けて作られた曲だが、今ではコンサートタイトルの「Road to Budokan」の象徴とも言える曲となっている。この曲では普段の大野のイメージからは想像出来ないハードなドラミングが見所の一つだ。そこからアップテンポで会場中が盛り上がる『恋のモンスター』、『浅草好きやけん』と歌詞をライブ会場に変えて歌うのが定番の『∞YAKEN』、最後にこの季節にピッタリの『春風問答』。花びらが舞い散る演出がとても素晴らしく美しく曲の世界を一層引き立てた。
ステージからメンバーが降りるが鳴り止まないアンコールの拍手。これに応えてメンバー登場。清原がバンドマイクを持ち、MC清原による清原の出身地の愛媛県東温市のPRソング『東温ラブストーリー』だ。清原の独自のラップからサビで森田のクリーンなボーカルが印象的な一曲である。最後に「今、会いに行くよ」とこれからもライブを続けていく、日本武道館に向けて走り続ける決意を感じる『rebirth』でライブは終了した。
このライブで、圧倒的なボーカルを披露した静の森田とバラードからラップまで何でもこなし、曲中のパフォーマンスでも客席を魅力する動の清原、その2人を後ろから安定したビートで支える精神的支柱のリーダー大野の3人の作り出すトライアングルは正に唯一無二のバンドだと感じた。これからも困難を乗り越えて武道館に向けて走りつづけてもらいたい。
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