旅行商品の販売開始は2023年7月頃の予定。運営・商品企画・販売・サービスは東急により行われる。概要説明を行った東急の松田高広氏(社会インフラ事業部クルーズトレイン推進グループ統括部長)によれば、四国・瀬戸内クルーズの旅行代金は、2020年から運行されている「THE ROYAL EXPRESS 〜HOKKAIDO CRUISE TRAIN〜」(82万円〜)より少々上乗せされる見込みだという。
車両は、東急が運行する伊豆観光列車「THE ROYAL EXPRESS」(伊豆急行2100系)を5両編成に短縮し、電源車を連結した上で電気機関車が牽引する。使用する電気機関車はJR西日本・JR貨物により提供される。列車の運転は、JR西日本区間(岡山〜児島間)をJR西日本、JR四国区間(児島駅から四国島内)をJR四国が担当。JR貨物は伊豆から四国方面へ車両の輸送も行い、JR四国は各駅・地域でおもてなしを行う。
4社の代表者による挨拶に続いて質疑応答となり、報道関係者から多くの質問が寄せられた。東急への質問には高橋社長または松田部長が回答。電化区間を電車(「THE ROYAL EXPRESS」)で運行するにもかかわらず、電気機関車が牽引する理由について質問があったが、理由としてはJR四国管内のトンネルが小さく、「THE ROYAL EXPRESS」はパンタグラフを外さないとトンネルを通行できないためだという。JR西日本・JR貨物が提供できる機関車にも限りがあったとのことで、今回のクルーズトレインは電化区間を電気機関車で牽引する形での運行となる。
車内でのサービスに関しても質問があり、北海道クルーズと同じく地元の料理人を迎え、四国・瀬戸内ならではの食事を提供していくとのこと。「THE ROYAL EXPRESS」に携わっている音旅演出家・ヴァイオリニストの大迫淳英氏による演奏も予定している。
JR四国へは、既存の観光列車(「伊予灘ものがたり」など)とクルーズトレインとの違いについて質問があり、西牧社長が答えた。現在、JR四国で運行している観光列車は、価格面において「THE ROYAL EXPRESS」とは大きな違いがあり、料金的にはこちらのほうが乗車しやすい。その分、「THE ROYAL EXPRESS」はさらにグレードが上の豪華列車ということで、利用者層の違いも見込んでいるという。
クルーズトレインの運行で期待することについても質問があった。西牧社長は、自社で「THE ROYAL EXPRESS」のような豪華列車を運行していないことを踏まえつつ、「豪華なツアーの取組みやノウハウを学ばせていただいて、今後につなげたい」と答えた。
筆者は今年2月に行われた「THE ROYAL EXPRESS 〜HOKKAIDO CRUISE TRAIN〜」の体験取材会に参加した際、北海道のシェフによる料理を味わい、地域関係者から歓迎の声を聞くこともできた。今回の会見で、「北海道でのノウハウを生かす」という言葉が出てきたが、それは地域の魅力を引き出す食事や、地元との連携にあると思われる。東急が北海道クルーズで得たノウハウが、四国・瀬戸内クルーズに生かされることに期待が高まる。詳細の発表を待ちたい。(若林健矢)