「木の伐採が多すぎる」 超党派の議員連盟も求める「神宮外苑再開発計画」の見直し

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2023年03月30日 08:00  AERA dot.

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神宮外苑再開発計画の施工の認可が下りた。外苑の樹木が伐採される
 市民らが反対する明治神宮外苑の再開発を巡り、超党派の議員連盟も見直しを求めている。何が問題なのか。議連の発起人代表で自民党の船田元衆院議員に聞いた。AERA 2023年4月3日号より紹介する。


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──船田元議員は発起人代表として昨年11月に超党派の「神宮外苑の自然と歴史・文化を守る国会議員連盟」を立ち上げました。6党の28人が加わっています。再開発見直しを求めていますが、具体的な最終目標は。


船田元(以下、船田):所有者である明治神宮やいくつかの人たちが所有する私有地ですので、法律や条例にのっとって再開発をすること自体を止めるつもりはございません。ただ、やはり木の伐採が多すぎる(低木も含め新宿区内だけで約3千本)。また、あの場所で高層ビルを三つも建てるのはいかがなものでしょうか。歴史や自然や文化を守れるように計画を大幅に修正していただきたい。


■小池都知事には会えず


──これまでの議連の活動は。


船田:1月に計画を抜本的に見直すことを求める決議文をまとめ、永岡桂子文部科学大臣と環境省の政務官、それから東京都は小池百合子知事が会ってくれないので担当部局の技監に直接お会いして手渡しました。港区長、新宿区長、明治神宮の宮司様には郵送しました。郵送への返事はありません。実は小池知事には先日お会いしようともう一回アプローチをしたんですけれども、全くだめでした。私が信書を書いてお届けしましたが、それにも回答はありません。


──2月、都が再開発の認可をしました。3月下旬から工事が始まります。


船田:都の環境影響評価審議会で、座長さんが「これで全て終了」という宣言はしていません。再開発を推進するディベロッパーの方々の環境を保全するための新たな提案が出されない状況のまま工事認可が下りたことは、明らかに見切り発車だと解釈せざるを得ないと思います。


■圧力や不利益は覚悟


──船田議員の地元は宇都宮市(栃木1区)ですが。


船田:私は宇都宮とともに東京にも自宅があり、東京の自宅は南青山です。神宮外苑のイチョウ並木まで徒歩10分以内の場所です。犬の散歩で並木を通ることもあります。憩いの場所なんです。


 もう一つ。大正時代、全国の青年団が寄付を持ち寄り、土木工事をして神宮外苑を造園しました。たまたま私の大学時代の卒業論文が「戦前の日本の青年団の研究」でしたから、当時の青年団や奉仕団の皆さんの思いを考えると、神宮外苑をどんどん改変してしまっていいのかという問題意識がありました。



──神宮外苑の再開発に自民党の議員が関わったと言われています。森喜朗元首相や菅義偉前首相らの名前も報じられました。


船田:私は自民党議員ではありますが、自民党の政策の決定過程でよくないなと思うことについては、これは違うよとかなりはっきり言ってきた人間なんですね。森先生らの名前が出ましたが、どう関与したかは全く私にはわかりません。ですが、噂(うわさ)があるからこの運動をするのをやめようとか考えたことは一度もない。


──森元首相らとこの件について話したことはないですか。


船田:一度もないです。菅さんとは国会で席が隣ですが、この件の話をしたことは一度もありません。話して再開発が止まるんであれば、話しますけどね。行政の方にきちんと話をするほうが実効性があると私は思っています。


──ご自身が動くことで、政治家としてのデメリットは。


船田:安倍(晋三)政権のときに憲法の改正問題や集団的自衛権の行使の問題について「早すぎる」「憲法改正をしないといけませんよ」と言ったもんですからね。安倍さんからにらまれたところが相当ありました。でも、憎まれ口をたたくのが私の仕事だと思いましたので。圧力や不利益は覚悟の上でしていることです。


(構成/編集部・井上有紀子)


※AERA 2023年4月3日号


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