おひとりさまが介護に直面したときに利用できる制度と補助金

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2023年03月30日 19:32  All About

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親の介護をひとりで背負う場合、不安や負担が大きいものです。フルタイムで働いていれば、仕事と介護が両立できるか心配に。精神的、経済的な負担が減らせる介護にまつわる制度をまとめます。
親の介護をひとりで背負う場合、不安や負担が大きいものです。フルタイムで働いていれば、仕事と介護が両立できるか心配になります。しかし、介護離職を考えるのは待ってください。

というのも、介護離職をすると「安定した収入が途絶えることで、生涯で得られるはずの収入が減る」「介護離職によりブランクができると再就職が難しい」「厚生年金から外れてしまうと、将来受け取るはずの年金が減る」などのデメリットがあります。そこで今回は、精神的、経済的な負担が減らせる介護にまつわる制度をまとめます。

親に介護が必要になったら「介護休暇」と「介護休業」を使い分けよう

介護の負担を軽減するための制度の代表的なものは、介護休暇と介護休業です。それぞれの概要を説明します。

1日単位、時間単位で取得できる「介護休暇」

要介護状態にある親の通院に付き添う必要があるとき、親の介護のことでケアマネージャーと打合せが必要なときなど、細々とした介護の用事がある場合は、1日単位または時間単位で取得できる介護休暇を利用しましょう。

介護休暇は、対象家族が1人であれば、年5日まで取得することができます。介護休暇を取った場合、基本的に無給となりますが、会社によっては有給になることもあります。詳細は就業規則などで確認するとよいでしょう。日雇い雇用者以外のすべての労働者が該当します。

通算93日まで取得可能な「介護休業」

親の要介護レベルが上がり、日常生活のほぼすべてに付き添いが必要になれば、老人介護施設に預けることを検討するでしょう。しかし、希望の施設が満室ということも多く、しばらく待つことになるかもしれません。その間の自宅での介護には、介護休業が取得できます。
出典:介護休業について|介護休業制度|厚生労働省

介護休業は、対象家族1人あたり3回まで、通算93日間休業できます。介護休業では、休業開始時賃金月額の67%の介護休業給付金が支給されます。対象になるのは、日雇い雇用以外のすべての労働者。ただし、パートやアルバイトは、介護休業を申出する時点で、93日間の介護休業を取得した後、6カ月の経過後も引き続き雇用される必要があります。取得についての詳細は、会社の人事課でお問い合わせください。

介護費や医療費の負担、一定額以上になったら払い戻してもらおう

生命保険文化センターの調査によれば、介護に要した費用(公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)は月平均8万3000円と高額で、その介護期間の平均は61.1カ月と長期に及びます。

介護費に含まれる医療費、介護費は、所得区分ごとに一定以上になったとき、それ以上を支払った場合、市町村に申請すれば払い戻してもらえる制度が3つあります。この「高額介護サービス費制度」「高額療養費制度」「高額医療・高額介護合算制度」について、順番に紹介します。

介護にかかるお金が一定以上なら「高額介護サービス費制度」を利用

1カ月間(月の初めから終わりまで)で負担する介護費用が大きい場合は「高額介護サービス費制度」が利用できるかもしれません。高額介護サービス費制度は、所得区分ごとに自己負担限度額が定められており、それ以上の費用を負担した場合、払い戻してもらえます。

所得区分は画像の通りになっています。
出典:所得区別自己負担上限額(月額)|厚生労働省


医療にかかるお金が一定以上なら「高額療養費制度」を利用

「高額療養費制度」は、医療機関や薬局の窓口で支払った医療費が、1カ月(月の初めから終わりまで)で、限度額を超えた場合、その超えた分を払い戻してもらう制度です。自己負担する医療費の上限は、年齢や収入により異なります。また、医療費には、入院時の食費負担や差額ベッド代等は含みません。70歳以上の方の上限額一覧は画像の通りです。
70歳以上の方の上限額一覧/出典:高額療養費制度を利用される皆さまへ|厚生労働省保険局


70歳以上の方で多数該当した場合

さらに過去12カ月以内に3回以上、上限額に達した場合は、4回目から「多数回」に該当となり、上限額がさらに下がります。
70歳以上の方で多数該当した場合/出典:高額療養費制度を利用される皆さまへ|厚生労働省保険局


高額医療・高額介護合算制度でさらに負担を軽減

高額療養制度や高額介護サービス費制度を利用し、1カ月ごとの負担を軽減しても、長期にわたるとやっぱり負担は大きいもの。そんなときは、「高額医療・高額介護合算制度」を利用しましょう。
高額医療・高額介護合算療養費制度の算定基準額(限度額)/出典:介護保険制度の見直しについて|厚生労働省

高額医療・高額介護合算制度は、高額医療制度や高額介護サービス費制度を利用したうえで、1年間(8月1日〜翌年7月31日)にかかった医療費、介護費の自己負担額の合計が限度を超えたとき、その超えた分を払い戻してもらう制度です。この場合も、自己負担する医療費、介護費の上限は、年齢や所得によって異なります。高額医療・高額介護合算療養費制度の算定基準額(限度額)は画像の通りです。

自宅を介護用にリフォームしたときは補助金を申請しよう

自宅で親を介護するときは、自宅を介護者に適した環境にリフォームした方が、介助する側の子どもも何かと便利です。しかし、生命保険文化センターの調査によれば、住宅改造や介護用ベッドの購入費など一時的な費用の合計は平均74万円。

「介護費や医療費にお金がかかるけど、リフォームもしておいた方が何かと便利」と思うのであれば、介護保険の「住宅改修支援制度」を利用してみてはどうでしょう。リフォームにかかった費用の7〜9割、金額にして最大18万円の補助金が支給されます。

補助金の申請先はお住まいの市区町村窓口ですが、その前にケアマネージャーに相談しましょう。

まとめ

おひとりさまは、親の介護をすることになっても、自分の老後を忘れてはなりません。自分の老後を不安定なものにする介護離職はやめましょう。まずは、医療保険や介護保険の制度を積極的に利用し、介護と仕事を両立しましょう。

文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー)

3匹の保護猫と暮らすファイナンシャルプランナー。会計事務所、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として勤務後、FPとして独立。人と比較しない自分に合ったお金との付き合い方、心豊かに暮らすための情報を発信しています。
(文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー))

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  • 親を看取った後のおひとりさま。んもう一人で死ぬ気MANMANだわさw
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