四千頭身・後藤「月給が家賃を下回った」発言の衝撃 第七世代ブーム終焉で先はないのか?

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2023年04月01日 11:00  AERA dot.

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お笑いトリオ四千頭身の後藤拓実
 数年前、「お笑い第七世代」と呼ばれる若手芸人たちの爆発的なブームがあった。20代中心の何組かの芸人が新しい世代として脚光を浴びて、「第七世代」と名のつく雑誌の特集が組まれたり、さまざまなバラエティ番組の企画が行われたりした。彼らはすさまじい勢いでテレビの世界を席巻していった。


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 当時、そんな第七世代の代表格と言われていたのが霜降り明星である。彼らは2018年に先輩芸人たちを抑えて史上最年少で『M−1グランプリ』優勝を果たしたことで、一気に時代の寵児となった。しかも、霜降り明星のせいやは「第七世代」という言葉の発案者でもある。


 しかし、いま改めて振り返ってみると、第七世代ブームの本当の意味での中心的な存在は四千頭身だったのではないかと思う。一時期の彼らのもてはやされ方や人気の過熱ぶりはすさまじいものだった。


 タレントの人気というのは株価のようなもので、一時的に高値がつくことがあっても、長い目で見るとその人たちの本来の実力に見合った適正なところに落ち着いていくものだ。そういう意味では、本来の価格からの値上がり幅が最も大きかったのは四千頭身だったと言っていいのではないか。


 お笑いトリオ・四千頭身の都築拓紀、後藤拓実、石橋遼大は、第七世代と呼ばれるほかの芸人たちよりもさらに年下であり、芸歴も浅かった。


 明るい都築と物静かな石橋のボケに対して、後藤がボソボソと小声でツッコむ「脱力系漫才」を演じていた彼らは、いかにも「今どきの若者」然としたキャラクターを持っていた。そこが女性や同世代の若者から熱狂的に支持された理由であり、上の世代の大人にはあまりウケが良くなかった理由でもある。


 四千頭身の後藤は、たくさんテレビに出るようになってから、猛烈に成金アピールを始めた。高級タワーマンションに住み、高級車を乗り回し、「成功者」として優雅な生活をしていることを誇らしげに語った。そういう姿を見せることで、後輩芸人に夢を与えたいという思いがあったのだという。



 成功して富を得た若者が露骨に金持ち自慢をするというのは、YouTuberの世界ではそれほど珍しいことではないかもしれない。しかし、お笑いの世界では後藤のやり方はすさまじく不評だった。


 バラエティ番組でその話をしても先輩芸人や共演者からの反応も良くないし、あまり盛り上がらない。その上、もともと四千頭身の笑いを理解できない視聴者からはますます反感を買うことになった。のちに後藤自身も「全部間違ってました」と振り返っている。


 そして、第七世代ブームは終わり、四千頭身をテレビで見かける機会も減っていった。そんな中で、ブーム終焉を改めて印象づける出来事があった。3月21日放送の『ぽかぽか』(フジテレビ)で、後藤が「先月の給料がついに家賃を下回りました」と告白したのである。


 よくよく聞いてみると家賃が31万円だったということなので、家賃が高すぎるからそういう事態に陥ったとも言えるわけだが、一時期の勢いからすると月収が31万円を切っているという事実は衝撃的である。後藤は交際中の彼女との同棲を解消して、高級マンションを引き払い、埼玉の実家に引っ越すのだという。


 そんな事態に陥った理由を問われると、後藤は「そうですね、需要がなくなったのかな」とはっきり答えていた。


 第七世代ブームの渦中では、四千頭身の需要の大半は「いま話題の人たち」というところにあった。だからこそ、ブームが過ぎ去ると、本人たちの立場も一気に危ういものになってしまったのだろう。


 もともと彼らのことを「いけ好かない若者」ぐらいに思っていた人たちからは、ここぞとばかりに批判の声が高まっているが、そこまで叩かれるほどのことはしていないのでは、と個人的には思う。そもそもブームの時期の人気の加熱ぶりが異常だっただけで、彼ら自身は一貫して地に足のついた活動をしてきた。


 最初の頃はネタ作りをする後藤だけが目立っていて、残り2人はお荷物キャラのイメージがあったが、現在では都築が個人でラジオ番組をやっているし、無口な石橋はサッカー、料理、筋トレなどの特技を生かし、後藤よりも高い収入を得ているという。


 トリオとしても『有吉の壁』(日本テレビ)に出演しているし、打席が回ればきちんと結果を出している。現状も決して悪くはない。


 そもそも後藤が「先月の給料がついに家賃を下回りました」と言ったこと自体が、自分の状況をよく見えている証である。


 この発言があったのは、自分の発言が生放送中にネットニュースになったら賞金がもらえる「芸能人春のご報告記者会見」という企画である。後藤の発言は実際にネットニュースになって、大反響を巻き起こした。


 自分の発言をネットニュースにするという趣旨の企画の中で、目論見通りの結果になったのだから、やはり彼のアンテナは錆びていない。皮肉にも、ネットニュースを見てSNSなどで四千頭身をバッシングする人こそが、彼らの感度の高さを証明してしまっている。


 このふるまいを見る限り、四千頭身は時代を見る目がないトリオではないし、芸人として先がないわけでもない。ブームという追い風なしでどこまで走れるのか、彼らの真価が問われるのはここからだ。(お笑い評論家・ラリー遠田)


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  • まあこんな記事見て芸人にマウント取るコメントしてホクホクしてる奴もなかなか哀しい存在だと思うけどな���顼�áʴ��
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