38歳、夫が収入減。子どもは食べ盛りで食費の節約は厳しい

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2023年04月02日 20:11  All About

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家計の悩みにお答えする「マネープランクリニック」。ご相談者は、コロナ禍で夫の収入が減ってしまい、貯金のペースが落ちてしまったことで悩む38歳の会社員女性です。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

現在の家計で改善した方がいいポイントはありますか?

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。

今回のご相談者は、夫の収入が減ってしまい、貯金のペースが落ちてしまったことで悩む38歳の会社員女性です。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

相談者

あんこさん
女性/会社員/38歳
関西/持ち家(マンション)

家族構成

夫(43歳)、子ども(11歳)、子ども(7歳)

相談内容

主人の収入が減ってしまいました。食べ盛りの子どもたちの食費は節約することが難しく、貯金のペースも落ちてしまい、毎月の家計管理が難しく、何を見直せばいいのかがわからなくなってしまいました。

子どもの教育費と老後資金についてと、現在の家計で改善した方がいいポイントについて、アドバイスをお願いします。

家計収支データ

あんこさんの家計収支データは図表のとおりです。
相談者「あんこ」さんの家計収支データ


家計収支データ補足

(1)収入について(相談者コメント)
データは収入が減る前。現在は、マイナス約7万円(月により変動)です。夫は会社員で、収入回復の見込みはあるとのことです。

児童手当は、収入とはせず、まるまる貯金しています。

貯蓄ペースは今までは毎月15万円。家計が黒字になれば黒字分も貯蓄。ボーナスから5万〜7万円ほど貯蓄していました。

(2)ボーナスについて(相談者コメント)
昨年支給分で減少後の金額です。今年はボーナスなしとなるかもしれないそうです。これまでのボーナスは20万円×2回(変動あり)の支給があり、帰省や大型家電の買い替え、旅行費の積立などに充てておりました。

(3)家計収支データについて(相談者コメント)
データ以外に、交通費・夫2万円、本人2万円、毎月積立金(ペット、被服費として必要時に使用)2万円、奨学金返済1万5000円、特別費積立金4万円(積み立てられるとき。余裕がないときはカットしています)。これで、収支プラスマイナスで管理しています。

(4)住宅ローンについて
・購入価格:2820万円
・ローン借入額:2220万円(平成30年に借り換え)
・借入金利:0.55%
・返済期間:28年
・ローン残債:1993万円
※返済は毎月返済のみ。修繕積立金・管理費が2万2800円

(5)通信費について(相談者コメント)
主人の携帯代は会社持ちなのでゼロ、私の通信費のみで格安モバイルのため、ポイント払い+500円としています。

(6)教育費について
子どもたちの給食・教材費(学校へ支払い)1万2000円、第1子習い事・塾1万7000円、第2子習い事1万3000円。

(7)雑費について
日用品、病院費、子どもたちの交通費など。

(8)保険料について
・夫/がん保障つき住宅ローンで団信に加入
・相談者/終身保険(第2子の学資保険の代わりとして加入。17歳のときに170万円)=毎月の保険料7000円
・第1子/学資保険(17歳満期、満期金180万円)=毎月の保険料8000円

(9)子どもの進路について
できれば、高校までは公立、大学は国立理系。

(10)ご夫婦の働き方について(相談者コメント)
今後も同じ勤務形態の予定です。定年退職は65歳。退職金は、主人は出る予定ですが、金額は不明です。私は出ません。

FP深野康彦の3つのアドバイス

アドバイス1:減収でも家計管理がしっかりしている。当面は現状維持で
アドバイス2:60歳時点で住宅ローンを完済すれば、その後も貯蓄が可能
アドバイス3:収入が戻ったら以前のペースに戻し、ボーナスからの貯蓄も

アドバイス1:減収でも家計管理がしっかりしている。当面は現状維持で

収入減、ボーナス減と厳しい状況で、本当におつらいと思います。でも家計を拝見すると、しっかりと管理されていて、収支プラスマイナスゼロは立派です。当面は現状維持、今のペースで大丈夫ですから、毎月10万円の貯蓄は続けていってください。

毎月10万円で年間120万円。ご主人が60歳になるまでの17年間で2040万円になります。

収入がいつ元に戻るかはわかりませんが、戻ったら特別費積立の4万円、奨学金返済が終わっていれば1万5000円、これで5万円は貯蓄の上乗せができ、仮に10年間とすると600万円。ご主人が60歳時点で、「2040万円+600万円+現在の金融資産730万円」で3370万円となります。

この間、お子さんの教育費として、1人600万円、2人で1200万円はかかるものとします。残りは2170万円です。学資保険代わりの終身保険と、学資保険の満期金は、進路次第で教育費の余裕分としてもいいですし、使わなければ、老後資金として残ります。

さらに、ご主人の定年退職は65歳ということですから、ここからさらに貯蓄を増やしていけます。ご夫婦の老後資金としては、十分ではないでしょうか?

ボーナスから支出していた分が、当面は厳しくなりますが、収入が戻るまでは、現在の家計管理、毎月の貯蓄を維持することが、一番のポイントになります。

アドバイス2:60歳時点で住宅ローンを完済すれば、その後も貯蓄が可能

まだ先の話にはなりますが、住宅ローンについては、ご主人が60歳時点で一括繰り上げ返済をされるといいでしょう。おそらく650万円程度が残っていると思われます。これを完済しても手元には1500万円ほど残ります。

このあとの住宅ローン返済がなくなれば、住居費が削減でき、その分を貯蓄に回すこともできるでしょう。教育費のめどがたつまでは、無理に繰り上げ返済をしなくても、最後で帳尻は合いますので大丈夫です。

ただ、少し心配なのは、保険です。住宅ローンの団体信用生命保険(団信)に加入していても、保障は住宅ローンの分のみです。お子さんが成人するまでの保障として、夫も相談者も保険金額1000万円、保険期間10年の割安な定期保険に加入すると安心です。

また、医療保障も共済などのシンプルなものに夫婦それぞれ加入しておくといいでしょう。がん保障付き団信だけでは、一般的な病気・ケガの入院保障はありません。

お子さんが成人するまでは、最低限の保障を確保しておくことが大切です。保険料は1万円ほど増えてしまいますが、なんとか家計のやりくりで捻出していただきたいと思います。

アドバイス3:収入が戻ったら以前のペースに戻し、ボーナスからの貯蓄も

今が一番苦しいときかもしれません。ここを乗り切り、収入が戻り、ボーナスも支給されれば、家計はぐっと楽になるでしょう。もしもボーナスの支給が再開したら、家族の楽しみのために使ってください。以前のように年間40万円に戻ったら、半分の20万円は貯蓄に回すようにしてください。

現在の家計管理で大丈夫です。改善するところもありません。保険追加の1万円だけ、雑費をもう一度整理するなどして捻出してください。教育資金も老後資金も大丈夫です。もう少し肩の力を抜いて、育ち盛りのお子さんたちとの時間を楽しんでくださいね。

相談者「あんこ」さんから寄せられた感想

先行きの見えない中で、収入だけが減ってしまい、でも生活は今までと変わらず、どうしていいかとても不安でした。

そんな中、先生に「現状維持で大丈夫」とアドバイスをいただき、肩の荷が少し降りたとともに、漠然とした不安がスーッと消えて、またがんばろうという気持ちになることができました。感謝の気持ちでいっぱいです。

アドバイスいただいた夫婦の保険も、今まで気にはなりつつも手を付けていない部分でした。私が入院し、治療費で大変な思いをしたこともあるので、早速夫と相談し、加入したいと思います。このたびは本当にありがとうございました。

教えてくれたのは……深野 康彦さん

マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金まわり全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文:伊藤加奈子
(文:あるじゃん 編集部)

このニュースに関するつぶやき

  • 珍しく男女同等の家計負担。これなら話はよく分かる。二人がしっかり責任を果たしていれば、ダメージは小さくて済むわな。
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