チャールズ国王、英王室と奴隷制度の歴史的関係についての研究支援へ 「陛下はこの問題を深刻に受け止めている」

0

2023年04月08日 09:01  Techinsight Japan

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

Techinsight Japan

チャールズ国王とバッキンガム宮殿が、マンチェスター大学の学生が取り組んでいる奴隷貿易に関する博士課程プロジェクトに協力するため、ロイヤル・コレクションと王室公文書館へのアクセスを提供することを発表した(画像は『The Royal Family 2023年3月13日付Instagram「The Commonwealth has been a constant in my own life」』のスクリーンショット)
チャールズ国王が、英王室とアフリカの奴隷制度の歴史的関係についての研究を支援することを表明した。バッキンガム宮殿の広報担当者は、国王がこの問題を「深刻に受け止めている」と述べ、マンチェスター大学の学生が取り組んでいる博士課程の学術プロジェクトを協力するために、ロイヤル・コレクションと王室公文書館へのアクセスを提供すると明かしている。

英紙『The Guardian』が現地時間6日、『奴隷制を支持し、利益を得た英国の王と女王たち』と題した記事を公開した。その内容は、過去270年にわたる期間に歴代の英国の君主や王族が大西洋奴隷貿易(Atlantic slave trade)に参加し、奴隷制に関する活動を支援・促進し、金銭を稼いだりしたというものだった。

大西洋奴隷貿易とは、何世紀もの間、大西洋を挟む3大陸を結ぶ「三角貿易」の中で行われた、奴隷商人によるアフリカ黒人の人身売買のことだ。

さらに別の記事では、当時奴隷売買を行っていた「王立アフリカ会社」の副総裁エドワード・コルストン氏が、1689年に同社の株式1,000ポンド(現在のレートで約16万4千円)を国王ウィリアム3世に譲渡したことを証明する未公開の文書が掲載された。

この件について同紙から連絡を受けたバッキンガム宮殿は、同日に声明文を発表。チャールズ国王が、英王室と大西洋奴隷貿易との歴史的なつながりに関する研究を支援する意向を表明したことを明かした。

宮殿は同紙の記事に対してコメントはしなかったものの、歴史的な宮殿のいくつかを管理する慈善団体「ヒストリック・ロイヤル・パレス(HRP)」が協賛する、王室と奴隷貿易の関与についての研究プロジェクトを支持すると述べた。

国王がサポートするのは、マンチェスター大学で歴史学を専攻するカミラ・デ・コニングさん(Camilla de Koning)の博士課程プロジェクトである。「Royal Enterprise: Reconsidering the Crown’s Engagement in Britain’s Emerging Empire, 1660-1775(ロイヤル・エンタープライズ:1660-1775年、英国の新興帝国においての王室の関連を再考する)」と題した学術研究で、奴隷貿易に対する王室の関与や大英帝国との関わりを調査し、2026年に終了する予定となっている。

宮殿の広報担当者は「これは陛下が深く深刻に受け止めている問題です。陛下は昨年、ルワンダで開催した英連邦首脳会議で『奴隷制の永続的な影響について私自身の理解を深めるとともに、多くの人々の苦しみに対する個人的な悲しみの深さは言い表すことができません』と語りました」と述べた。

そして「その過程は陛下の即位以来、精力的かつ決意をもって続けられています。ヒストリック・ロイヤル・パレスは、昨年10月に始まった17世紀後半から18世紀にかけての英国王室と大西洋横断奴隷貿易の関連性を探る自由研究プロジェクトのパートナーです」と加えた。

宮殿は、王室が所有する美術品を管理する「ロイヤル・コレクション(The Royal Collection)」と、ジョージ3世(1760年-1820年)以降の君主の個人的・公的な書簡や王室部門の管理記録などを保存する「王室公文書館(The Royal Archives)」へのアクセスを通じて支援を行うという。

画像は『The Royal Family 2023年3月13日付Instagram「The Commonwealth has been a constant in my own life」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 寺前郁美)

    前日のランキングへ

    ニュース設定