闘犬ピットブルの改良犬に首を狙われ34歳男性死亡 攻撃的な本能にスイッチか(英)

4

2023年04月09日 21:11  Techinsight Japan

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

Techinsight Japan

以前はロットワイラーを飼っていて大型犬には慣れていたというイアン・サイムさん。昨年8月、闘犬だったアメリカン・ピット・ブル・テリアを改良して作出された「アメリカンブリーXL」を散歩中に襲われ死亡した(画像は『The Mirror 2023年4月7日付「Dog walker mauled to death by 8-stone 'super breed' that crushed his neck with jaws」(Image: Facebook)』のスクリーンショット)
イギリスで2022年8月、闘犬だったアメリカン・ピット・ブル・テリアを改良して作出された「アメリカンブリーXL」を散歩中だった男性が、公園で襲われ死亡した。このたびポーツマス裁判所で死因審問が行われ、事故の詳細が明らかになった。英ネットメディア『The Mirror』などが伝えた。

【この記事の他の写真を見る】

英ハンプシャー南東部フェアラムにある公園で昨年8月10日、イアン・サイムさん(Ian Symes、34)が、友人が所有する「アメリカンブリーXL」の“コング(Kong)”に襲われ、頸部の怪我が致命傷となり死亡した。

「アメリカンブリー」とは闘犬だったアメリカン・ピット・ブル・テリア(ピットブル)を様々なブルドッグ種らと交配させ、家庭犬用に穏やかな性格に改良した犬種で、筋肉質で力強い体つきが特徴だ。改良が始まったのは1980年代と歴史は浅く、アメリカンブリー・ケネル・クラブ(ABKC)によると、「アメリカンブリーXL」はオスの体高が51〜57センチ、メスが48〜54センチの個体を指すという。

イアンさんは身長177.8センチ、体重50キロと細身だったが、コングは体重52キロでイアンさんよりも重く、後ろ足で立つと人の顔の高さに達するほど大きな犬だった。ただイアンさんは以前、ロットワイラーを飼っていたことがあり大型犬には慣れていたそうで、事故があった当日は、隣人で友人のカラム・ジョーンズさん(Callum Jones)に頼まれ、ポール・ケルティーさん(Paul Keltie)と一緒にコングの世話を引き受けた。

しかしカラムさんがコングを購入したのは事故が起きる前日で、写真共有アプリ「スナップチャット」を通して約10万6千円(650ポンド)を支払ったものの、マイクロチップの情報やワクチン接種証明書などを記載した書類でさえ受け取っていなかった。また購入先は一定の居住地を持たない移動民族「トラベラーズ」と呼ばれる人で、引き取りに行った際、コングは狭いケージに閉じ込められていたそうだ。

カラムさんはコングの第一印象を「穏やかで優しそうな犬だった。ただ想像していたよりも大きく驚いた」と話しており、2人に預ける前に「力が強い犬なので一人では散歩に行かないように」と警告していたという。

このたび行われた死因審問では、警察の依頼を受けてコングの観察を行った犬の行動専門家キャンディ・ディーサ氏(Candy d'Sa)が、事故当日のイアンさんの様子について次のように語っていた。

「発見当時、イアンさんのそばにはタオルが落ちていた。このことからイアンさんは、コングに布を噛ませて引っ張るという危険な遊びをしていたのではないか。そうして次第に遊びがエスカレートし、コングの生まれながらに持っていた攻撃的な闘犬の本能にスイッチが入ったと推測する。」

「コングはイアンさんの首と胴体に何度も噛みつき、声帯を押し潰し、首の主要な4つの血管全てに穴を開け、脊柱にもひどい損傷を与えていた。」

なおコングはすでに安楽死処置されているが、ディーサ氏は「事故の後、実際にコングに口輪と鎖をつけて遊んでみたところ、攻撃的になるまでさほど時間がかからなかった」と述べ、次のように警告した。

「アメリカンブリーXLは、イギリスでアメリカン・ピット・ブル・テリアの飼育が禁止された後に家庭犬として登場し、今では論争の的になっている。アメリカンブリーXLはアメリカン・ピット・ブル・テリアよりも大きく強く、狩猟犬として他の動物を殺す本能を持ち、マスティフ種のように強靭な顎がある。イギリスでは昨年、10人が犬に命を奪われ、そのうちイアンさんを含む5人はアメリカンブリーXLの攻撃を受けていた。」


ちなみにカラムさんは事故が起きた日の午前10時20分頃、公園で重傷を負い倒れているイアンさんを発見、「彼のそばにいたコングは血を舐めていた。それで恐ろしくなり助けを求め叫んだ。ただコングは落ち着いていて、攻撃的な様子は見られなかった」と述べていた。当時20歳だったカラムさんは事故の後、「犬を管理できずに怪我を負わせ、その結果イアンさんを死に追いやった」として逮捕されたものの、後に釈放されている。

イギリスでは、1991年の危険犬種法により、ピット・ブル・テリア、土佐犬、ドゴ・アルヘンティーノ、フィラ・ブラジレイロの4種の所有、繁殖、販売などが禁止されているが、「アメリカンブリーXLを禁止すべき」「繁殖や販売には規制を設けるべき」といった声が多数あがっているようだ。

画像は『The Mirror 2023年4月7日付「Dog walker mauled to death by 8-stone 'super breed' that crushed his neck with jaws」(Image: Facebook)(Image: David Clarke/Solent News)』『The Irish Sun 2023年4月6日付「DOG ATTACK Man died when 52kg XL Bully ‘crushed his voice box’ in horror attack after beast bought from travellers on Snapchat」(Credit: Alamy)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

このニュースに関するつぶやき

  • 何代も前に家庭犬として改良されたブルドッグですら、たまーに闘犬としての本能を発揮しちゃうことがある。すぐに「はっ!ボクとしたことが…」と気づいて申し訳なさそうな顔はするけど、噛まれたら穴があく
    • イイネ!14
    • コメント 4件

つぶやき一覧へ(3件)

前日のランキングへ

ニュース設定