【Twitterが規約改訂 AI学習のツイート利用に不安と懸念が広がるの画像・動画をすべて見る】
これは、同サービスを運営していたTwitter社が、CEO・イーロン・マスクさんの保有する企業X Corp.に統合されたことに伴うもので、5月18日(木)に発効される。
これに対し一部ユーザーから、イーロン・マスクさんが開発を発表した「TruthGPT」の学習データとして利用されるのではないかと懸念する声が上がった。
ただし、指摘されている記述は以前の規約から存在しており、必ずしもAI学習のことを指しているとは限らない。
新規約の権利許諾条項がAI学習への転用懸念で話題に
Twitter Inc.改めX Corp.によるTwitter新規約(5月18日より発動)では、Twitterに投稿したコンテンツはX Corp.が開発するAIの学習に使ってもいいと同意するものとする…と同意義な文面が込められている
— 廃狼/穂羽絃廢狼(ほわいとはいろー) (@highlow_white) April 19, 2023
今後新しく貼る画像にはアンチAI学習ぼかし(Glazeなど)を入れる対策が必須となる
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話題になっているのは、規約の「ユーザーの権利およびコンテンツに対する権利の許諾」と題された項目。
いわゆる、ユーザーの投稿をTwitterが配信/表示する際の権利や許諾についてまとめた内容だ。
規約変更によって、添付画像や動画を含むTwitterに投稿したコンテンツは「X Corp.が開発するAIの学習データに利用されることまで認めることになる」というイラストレーター・漫画家の廃狼(@highlow_white)さんのツイートが大きな反響を呼んだ。
ただし、執筆時に確認したところによると、現規約(外部リンク)と新規約との変更点は、Twitterが当社(X Corp.)に変更されている箇所のみであった。
該当部分に関しては社名部分が変更されているに過ぎず、X Corp.がツイートをAI学習に利用するか否かは断ずることはできない。
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他人の著作物をAIの機械学習に利用してもよいのか?
昨今画像生成AIやチャットAIボットなど、AIサービスが急速に発展を遂げている。一方で、AIの学習データとして自身の著作物が利用されることへの忌避感はいまだ根強い。
Twitterという一サービスの利用規約はさておき、そもそも法律の観点において、他人の著作物をAIの機械学習に利用することは問題はないのだろうか。
KAI-YOU Premiumの「クリエイターのための法律Q&A」連載において、骨董通り法律事務所の寺内康介弁護士は、次のように述べている。
日本の法律では、AIの機械学習を目的にした著作物の利用は「著作権法第30条の4第2号」で基本的に認められています(法令文)。著作物の種類や用途、商用利用の有無は問わず、許諾も不要ですが、「著作権者の利益を不当に害してはいけない」という但し書きが付いています。
(中略)
アメリカには機械学習を想定した独自の規定はなく、いわゆる「フェアユース」の考えが適用されます。ざっくり言うと、著作権者に損害を起こさない公正な利用であれば原則的にOKとする、包括的な規定です。
画像生成AIと著作権を弁護士が解説 Stable Diffusion流行やmimic炎上|KAI-YOU Premium
つまり、日本の現行法においては、ツイートをAIに学習させること自体は認められている。対して、X Corp.社のあるアメリカの場合、フェアユースの観点から著作権者に損害が発生しているか否かが争点となる。
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Twitterとイーロン・マスク氏を巡る騒動
Twitter社がX Corp.に統合されたことは4月4日、カリフォルニア北部地区連邦地方裁判所などで開かれている訴訟に提出された資料から明らかになっていた。
X Corp.は非公開企業で、親会社はイーロン・マスクさんの持株会社であるX Holdings Corp.となっている。
イーロン・マスクさんは以前から「TwitterをXという名称の多機能アプリにする」という旨の発言をしており、これを目指した中での変更だと考えられる。
Buying Twitter is an accelerant to creating X, the everything app
— Elon Musk (@elonmusk) October 4, 2022
また、イーロン・マスクさんは「TruthGPT」と呼ぶ新たなAIの開発を表明。X.AI社という名称の企業を3月9日付でアメリカ・ネバダ州に登記しており、取締役に就任している。
※記事初出時より一部記述を改めました。