薬物混入ドリンクの恐怖 四肢麻痺、脳損傷の23歳男性 家族が悲劇を語る(英)

0

2023年04月24日 05:11  Techinsight Japan

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

Techinsight Japan

健康で体を鍛えていた頃のダニエル・ケインさん。英プレミアリーグ「アーセナルFC」のアーセナル・フットボール・クラブ・アカデミーでプレイしたこともあり、電気管理技術者として活躍していた(画像は『The Daily Star 2023年4月22日付「Ex-Arsenal academy star in wheelchair and needs 24-hour care after having drink ‘spiked’」(Image: GoFundMe)』のスクリーンショット)
将来を嘱望されていた20歳男性が、知らないうちに飲み物に薬物を混入される「スパイクドリンク」によって心停止に陥り、身体の自由を奪われた。男性は2年半もの入院を経て、今年1月から立つためのリハビリを始めたが、脳に損傷が残り心的外傷後ストレス障害を抱えているという。このほど家族がメディアのインタビューに応じ、悲劇の事故について語った。英ニュースメディア『The Independent』などが伝えている。

【この記事の他の写真を見る】

英ハートフォードシャー州ヘメル・ヘムステッドに住むダニエル・ケインさん(Daniel Cain、23)は2020年6月9日の夜に友人らと一緒に飲みに出かけ、ドリンクに薬物を混入されて心停止に陥った。

ダニエルさんが急に異様な顔色になり意識を失ったため、友人らはすぐに心肺蘇生法を開始。駆けつけた救急隊員らも救命措置を続けたが、心臓が再び動き始めたのは24分後だった。そして脳と脊髄に損傷を負って昏睡状態に陥り、家族は医師に「最悪のケースも考えて欲しい。また万が一、助かったとしても脳に損傷が残るだろう」と告げられたという。


以前のダニエルさんは身体を鍛えていたそうで、英プレミアリーグ所属のサッカークラブ「アーセナルFC」のアーセナル・フットボール・クラブ・アカデミーでプレイしたこともあり、電気管理技術者としてイギリスだけでなく世界を舞台に活躍。明るい未来が待っていたはずだった。

しかし入院から25日後、ダニエルさんは目覚めはしたものの四肢が麻痺、母トレイシーさん(Tracey)は当時のことを「あの子はまるで新生児のようだった」と語り、こう続けた。

「息子は身体を動かせず、本当に何もできなかった。ただ看護師から『彼は私たちを目で追っている。抜け殻のようだけど決してそうではない』と言われてね。諦めることはできなかった。」

「するとダニエルはその後、認知機能が少しずつ戻り始めてね。これは奇跡だと思ったわ。あの子は脳の損傷による短期記憶障害はあるけれど、子供の頃のことは思い出すことができるようなの。だから日々、状況は良くなっていると思う。」

2020年6月以来、5つの病院やケアホームでケアを受けてきたというダニエルさん。帰宅できたのは事故から2年半後の昨年12月のことで、現在は車椅子を利用しているものの、ベッドから起きて自分でトイレに行くことさえ困難で、家族が24時間体制で介護している。


姉のナタリーさん(Natalie)によると、ダニエルさんは今年1月16日から地元にある非営利団体「ニューロキネックス(Neurokinex)」で立つことや歩くことを目的としたリハビリを開始したようで、少なくとも3〜4年間は訓練が必要という。


なおリハビリ代は年間201万円(週4回のセッション)〜402万円(週8回)にもなり、ナタリーさんはクラウドファンディングサイト「GoFundMe」に専用ページを立ち上げて寄付を募り、「弟が再び自分で歩き、趣味を再開し、キャリアを築くことができるよう、是非支援をお願いしたい」と協力を呼びかけている。

またトレイシーさんは「これまでの道のりは困難続きだったわ。特に入院中は、息子のような若い患者が周りにいなくてね。ほとんどは脳卒中を起こした50歳以上の患者だったの。それに身体の自由が利かず、イライラすることもあったわね」と述べ、ダニエルさんについてこのように語った。

「息子はカウンセリングも受け、気分が落ち込んでしまったり、うつになったり、不安で仕方なくなるなどの心的外傷後ストレス障害を抱えていることも分かっているの。私たちは息子を常に励まし、今起きていることやこれから先起きることについて知らせる必要があるわ。ただ今は、リハビリ施設を“幸せな場所”と感じているようよ!」

ちなみにこのニュースには、「なんて心が痛い話だろう」「これは悲劇。なぜこんなことができるのか?」「若者の一生が、愚かな行為によって台無しにされてしまった。こんなことができるなんて信じられない」「薬を入れた奴はいったい、何をしたかったのだろう」「これは殺人未遂」「誰が薬物を混ぜたのか? 警察は調査をしているのか?」「強力な作用がある麻薬を入れられたに違いない」「うちの娘と姪も薬物を入れられたことがある。犯人が捕まらないのがもどかしい。かわいそうに。読んでいて悲しくなってきた」「回復を心から祈っている」「諦めないで!」「幸運を祈る」といったコメントが寄せられている。

画像は『The Daily Star 2023年4月22日付「Ex-Arsenal academy star in wheelchair and needs 24-hour care after having drink ‘spiked’」(Image: GoFundMe)』『GoFundMe 2023年2月20日付「Daniel Cain」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

    前日のランキングへ

    ニュース設定