長時間働き続けたロボット、気絶するように突然崩れ落ちる(米)<動画あり>

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2023年04月26日 21:11  Techinsight Japan

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展示会にて荷物運搬作業のデモを行うロボット。異なる高さに置かれた荷物を的確に持ち上げ、反対側のベルトコンベアに運んでいる(画像は『Agility Robotics 2023年4月6日付Twitter「With a 99% success rate over about 20 hours of live demos
テクノロジーの目覚ましい進化には目を見張るが、失敗なくして成功は生まれない。先月、展示会で荷物運搬のデモンストレーションを行っていたロボットが、崩れ落ちるように倒れる瞬間をカメラが捉え、話題を呼んでいる。このロボットは長時間働き続けていたそうで、SNSに動画が投稿されると「休憩が必要だったのかも」「過労死かな」といった冗談交じりのコメントが届いている。豪テクノロジーニュースメディア『The Chainsaw』などが伝えた。

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注目の動画は、ロボットを開発している米オレゴン州の「アジリティ・ロボティクス(Agility Robotics)」社が今月6日、Twitterに投稿したものだ。動画には、同社が開発中の「ディジット(Digit)」と呼ばれるロボットが先月、イリノイ州シカゴで開催されたサプライチェーンの展示会でデモンストレーションを行う様子が映っている。ディジットは倉庫や物流センターなどで、人間の代わりに荷物を運ぶために開発された。

展示会では、デモ用にベルトコンベアと異なる高さの棚、複数の荷物が用意されていた。人型を模してデザインされたディジットは膝を曲げて適切な高さに調節し、両腕で荷物を掴み、反対側にあるベルトコンベアの上に置いて再び別の荷物を運ぶという、単調な繰り返し動作を行っていた。

動画前半では早送りで、ディジットが高い場所に腕を伸ばし、低い場所には屈んで荷物を取る様子が確認できる。ディジットはベルトコンベアと棚の間を何度も往復していたが、棚に戻ってきて真ん中の荷物を取り出そうとした時に異変が起きた。しっかりと位置を調整して両腕で荷物を掴んだディジットは、引き出すために数歩後ろへ下がったが、まるで電源が切れたように膝から崩れ落ちてしまったのだ。ディジットはうつ伏せになるように倒れ、そのまま動くことはなかった。

アジリティ・ロボティクスによると、ディジットは3月20日から23日までの展示会で合計20時間以上稼働していたという。ほとんど正常に動いており99%の成功率を示していたが、映像にもあるように数回ほど転倒することがあったそうだ。

同社でコミュニケーション本部長を務めるリズ・クリンケンビアードさん(Liz Clinkenbeard)は「ディジットが何度か転倒したという事実を公表することで、どんな新しいテクノロジーにも同様の問題は起こることがあり、大した問題ではないと示したかった」とコメントしている。なおディジットは、転倒した後も残り2日のデモで問題なく稼働したという。

ディジットが倒れる様子を収めた動画は、再生回数がすでに160万回を超えており、コメント欄には「なんだか可哀そうだ。充電が必要なのかな?」「休憩が必要だったんだよ」「これは絶対過労死でしょ」「明日仕事に行かなくちゃいけないと分かった時の私みたい」などディジットを気の毒に思ったり、ジョークを飛ばす声が寄せられた。

またコメントの中には「働くのが嫌になったのかもね」など、冗談ながらもロボットの意思で倒れたのではないかという声も届いていた。リズさんは転倒の原因について「ソフトウェアのバグ、またはセンサーのエラーによるものです。修理が必要な場合もありますが、20分以上かかることはありません」と述べ、続けて「機械に人間味を持たせ過ぎたり、意思を持たせたりしないように注意していきたいと思っています。ディジットは人のように見えますが、実際にはプログラムに従い、物理的な作業ができるコンピュータです」と説明した。ディジットにはAIに近いものを搭載しているそうだが、自ら停止することを選んだわけではないとリズさんは話している。

ちなみに昨年7月にはロシアでチェスの大会中、7歳少年が対戦相手のAIロボットに指を骨折させられる事故が発生していた。



画像は『Agility Robotics 2023年4月6日付Twitter「With a 99% success rate over about 20 hours of live demos, Digit still took a couple of falls at ProMat.」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)

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