慶大・谷村然が二刀流の大活躍!リーグ戦初白星は96球完封のマダックス、初安打は決勝2ラン

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2023年05月01日 19:44  ベースボールキング

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慶大・谷村然投手[写真=灰原万由]
【東京六大学野球・春季リーグ戦】
○ 慶大 3 − 0 東大 ●
<1日・神宮>

 慶大は先発した谷村然投手(4年・桐光学園)が3安打完封でリーグ戦初白星を挙げ、打ってはリーグ戦初安打初本塁打となる決勝2ランを放つなど、自らのバットで全3得点を叩き出す、まさに“二刀流”の大活躍。投打で躍動し、チームに今季初の勝ち点をもたらした。

 約4年ぶりの感触が、バットを持つ両手に伝わってきた。0−0の3回一死二塁で迎えた第1打席。一度はバントを試みたが、1ストライクからの2球目、134キロのカットボールをフルスイング。驚きに近い歓声に乗った打球は、打者顔負けの大きな放物線を描いて左翼席へと吸い込まれた。「高校生の時以来の感触」と話すように、桐光学園3年春の県大会、2019年4月13日の伊志田戦以来、1479日ぶりの一発。「あんなに飛んでいるとは思わなかった。来たボールにバットを出して行って、うまく当たってくれた」と笑顔でダイヤモンドを一周し、ベンチでは仲間たちから手荒く祝福された。

 通算5打席目でのリーグ戦初安打を初アーチで飾った右腕は、第3打席でも快音を響かせた。2点リードの7回一死一・二塁では左翼線へタイムリー二塁打。「来た球に対して思い切って振って行った結果」と自らのバットで全3打点をマークした。

 打って、投げての独壇場だった。隙も無駄も全くない、完璧な投球で東大打線を散発の3安打に封じ、スコアボードに「0」を並べ続けて9回まで投げ抜いた。リーグ戦初勝利を初完封で飾り、「序盤から投げたカーブでカウントを取れたのが良かった。最後のアウトを取るまでは緊張感もあって、その終盤でこの前は失点してしまったので。最後、(アウトを)取った瞬間はホッとしました」と安堵の笑みを浮かべた。

 初物づくしの大暴れだった。バットでは初安打、初マルチ、初得点、初打点、初適時打、初本塁打をマーク。投げては初勝利、100球未満の96球で初完封し、初マダックスを達成。堀井哲也監督は「まず、勝ち点1取れたところは非常に良かった。1番の要因は谷村の投打にわたる活躍だったと思います。最後まで投げ切ってくれるとは正直思わなかった。よく打ってくれました」と賛辞を惜しまなかった。

 チームに今季初の勝ち点をもたらした右腕は、初物づくしの一日を振り返り「今まで練習してきたことがよく出せた」と感慨深げ。この日から5月に入り、花びらは散って新緑へと変わる季節を迎えたが、背番号11にはようやく桜が咲いた。

取材・文=灰原万由(はいばら・まゆ)

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