EVはつまらない? クルマ好き学生ライターがアウディ「e-tron」に乗って考えた

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2023年05月04日 11:51  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
自動車はそのうち、全てが(少なくとも新車は)電気自動車(EV)になるかもしれません。自動車部に所属し、普段はエンジン搭載車でタイムアタックにいそしむクルマ大好き学生ライターの目に、EVはどう映る? アウディのEV勉強会+試乗会を取材してもらいました。


○新感覚の加速! EVが速いなんて知らなかった



実は私はEVに乗ったことが無く、「EVは速い」というイメージが全く頭にありませんでした。しかし今回、アウディの超高性能EV「e-tron GT」の助手席に乗ってみてわかったのは、EVはガソリン車よりも加速が非常に速いということ。電気の走りの面白さと可能性を感じました。


ガソリン車の場合、アクセルペダルを踏んで発進してからスピードが出るまでに少しタイムラグがあります。ペダルを踏むとエンジンに燃料と空気が送られるのですが、それが爆発するまでに、一瞬ではあるものの時間がかかるからです。



EVは電気で動く性質上、ペダルを踏むとすぐにモーターが反応し、駆動力がタイヤに伝わります。アクセル開度が浅い状態でもトルクを瞬発的に発生させられるので、ペダルを踏み出した瞬間に前へと進んでいくんです。その反動で自分が後ろへと押される感覚がたまりません。


私はモータースポーツの1種である「ジムカーナ」に励んでおり、先輩の走りを参考にするためクルマの横に乗って走りを見学する機会があります。走行ではスタート直後にアクセルを全開にすることが多いため、自分の身体がキュッと引っ張られていく感覚があります。今回のEVでも似たような感覚を味わうことができました。高速道路など高いスピードを出せる場所で運転したら、絶対に楽しいはずです!


○変幻自在! 選べる走行モード



私の周囲のクルマ好きは、「操作している感覚」があるクルマが好きな傾向にあります。今回試乗したe-tron GTは、自分にとって走っていて楽しい走行モードに切り替えることが可能です。具体的には「エフィシェンシー」「ダイナミック」「コンフォート」「インディビデュアル」から選べるので、スポーティーに走りたいならダイナミックを、航続距離を伸ばしたいならエフィシエンシーを選択すればいいわけです。



EVは「回生ブレーキ」を使えます。これも運転の楽しさにつながる特徴かもしれません。e-tron GTは最大0.3Gまでの減速には通常のブレーキを使用せず、電気モーターだけでクルマを減速させて、エネルギーを回収してバッテリーに溜めるシステムを積んでいます。



回生による減速の強さはステアリングの裏側に付いている「パドル」を引くことで調整できます。こちらはゲーム『グランツーリスモ』で使う「ハンコン」に似ていて、個人的には「操作している感」を楽しめる装置であるように思えました。


例えば下り坂で回生力を強化すれば、減速しながら走ることでタイヤから回収した電気をバッテリーに戻すことができます。坂を上るときにたくさん電気を使っても、下りでバッテリーを回復させられれば嬉しいですよね。ガソリンで走るクルマだと、いくらエンジンブレーキを使ってもエネルギーを回収することはできません。EVに乗る場合は、いかに効率よく走ることができるかを追求するのも面白そうです。



「クルマを操作している感じ」を直接的に感じられる機構といえば「マニュアルトランスミッション」(MT)です。EVの台頭によりMT車は絶滅するかもしれないと思っていたのですが、「トヨタ自動車がEV用のMTを開発中?」とのニュースを見たこともあります。速くて操作性も抜群なクルマが誕生すれば、EVを使用した新しいモータースポーツが普及する未来が見えてきそうですね。


今までは漫画『MFゴースト』の世界のように、ガソリンで動くクルマの全てが製造中止になった未来では、モータースポーツを楽しめる場がかなり減ってしまうだろうと考えていました。ガソリン車が限定的に使用できたとしても、ガソリン車を整備して維持し続けることは通常、金銭的にも技術的にも負担がかかるものだからです。



それが今回、EVについて学び、実際に乗ってみることで、EVの可能性を感じることができました。充電をどこでも手軽にできる工夫は必要ですし、重いバッテリーを積むEVには重量の問題もあるとは思いますが、課題を解決していけば近いうちにEVでモータースポーツが楽しめる環境が整うかもしれません。SDGsに力を入れている政府や環境省などが自動車業界とともに共にモータースポーツのイベントを運営する未来もあるかも? 今回の取材ではそんな可能性を大いに感じました!(井上智尋)
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