法大が勝ち点3で優勝の可能性を残す 4番・内海貴斗が起死回生の逆転2ラン「全部が完璧だった」

0

2023年05月10日 20:14  ベースボールキング

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

ベースボールキング

法大・内海貴斗内野手[写真=灰原万由]
【東京六大学野球・春季リーグ戦】
⚪︎ 法大 4 − 2 早大 ⚫︎
(10日・神宮)

 法大は1点を追う9回、4番・内海貴斗内野手(4年・横浜)の起死回生の2ランなどで3点を奪い、早大に逆転勝ち。勝ち点を3に伸ばし、リーグ優勝の可能性も残した。

 頼れる4番の一振りが、土壇場でチームを救った。1点を追う9回一死一塁。1ボールからの2球目、内角140キロ直球を完璧に捉えると、最高の感触がバットを持つ両手に広がった。「自分の得意なコースだったので、思い切って手を出していきました。頭が真っ白になって、よく覚えていないんですけど。打った瞬間、切れないだろうなと思いました」。高々と舞い上がった打球は、飛距離十分で右翼席上段へ着弾し、起死回生の逆転2ラン。打った瞬間にスタンドインを確信した内海貴は、軽々とバットを放り投げてからゆっくりと歩を進め、「全部が完璧だった。切れるか切れないかで、そのままライナーで行ってくれた。いい景色、いい放物線だった」と右拳を天に突き上げながらダイヤモンドを一周。ベンチに戻ると、チームメートと満面の笑みで喜びを分かち合った。

 悔しさ、そして4番の意地をバットに乗せた。早大との今カードは3回戦まで11打数1安打、打率.091。「調子が悪かったので、みんなに迷惑をかけた」と自慢の打棒が鳴りを潜めていた。この日も2打数無安打で最終打席を迎えたが「9回の攻撃の前にみんなが『頼むぞ4番』と励ましてくれて、みんなのために打ってやろうと。何回も同じピッチャーにやられていたので、ここで打つしかないと思っていた」。7試合ぶりの今季3号2ランは、チームにとっても嬉しい劇的アーチ。最後の最後で4番の仕事を全うし、「優勝決定戦ぐらい大事な試合だと言われていて、自分たちも分かっていた。最後に1本出て、こういう結果になって良かった」と胸を張った。

 勝ち点を落とせばV逸決定の崖っぷちから一転、6季ぶりのリーグ優勝へ光が差し込んだ。大一番で見事な逆転勝利を収め、加藤重雄監督は「本当に嬉しい1勝でした。心臓が飛び出そうなくらい嬉しかった」と興奮を抑えきれず。「なかなか点が入らなくてヒットも出ていなかったので、最後の最後に4番バッターの役目を果たしてくれた。一振りでよく仕留めて、本当によくやってくれた。感謝の気持ちでいっぱいです」と敗戦のピンチを一撃で食い止めた主砲に賛辞を惜しまなかった。

 法大は勝ち点3で4カードを終え、残すは東大戦のみ。「リーグ戦は最後まで何があるか分からない。東大戦に向けて最高の準備をしていきたい」と背番号3。20年春以来のV奪回へ、4番のバットが頂点への道を切り開く。

取材・文=灰原万由(はいばら・まゆ)

    ランキングスポーツ

    前日のランキングへ

    ニュース設定