南アフリカで新紙幣登場もスペルミスか? 11の公用語よりもややこしいことに

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2023年05月12日 18:01  Techinsight Japan

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南アフリカ準備銀行がセキュリティ機能を強化して新たに発行した紙幣。現在流通している紙幣同様に、表には故ネルソン・マンデラ元大統領が描かれている(画像は『BusinessTech 2023年5月9日付「Spelling error flagged on new South African banknotes」』のスクリーンショット)
南アフリカ準備銀行(South African Reserve Bank)が新たに発行した紙幣にスペルミスがあると指摘され、話題になっている。南アフリカの経済ニュースサイト『BusinessTech』などが伝えた。

今回新たに発行された紙幣は、セキュリティ機能が強化されているほか色が少し濃くなり、デザインもグレードアップされた。旧紙幣と同様に表には南アフリカ初の民主的選挙で選ばれた故ネルソン・マンデラ元大統領が、裏には南アフリカのビッグ5の動物(サイ、ゾウ、ライオン、バッファロー、ヒョウ)がデザインされているが、新紙幣ではそれぞれの動物の子供が大人の動物に寄り添うように描かれている。また旧紙幣同様に「南アフリカ準備銀行」の文字が、11ある公用語のいずれかで紙幣の2か所にプリントされている。その中で、100ランド新紙幣の左下に印字されているツォンガ語(Xitsonga)にスペルミスがあると、この言語を話すコミュニティから指摘されたのだ。

旧紙幣にはツォンガ語で「BANGINKULU」と表記されていたが、新紙幣では「BANGIKULU」と“N”が削除されていた。この翻訳を担当した汎南アフリカ言語委員会(Pan South African Language Board)によると、“N”は個人を指す場合にのみ付き、機関を指す場合は入らないので、“N”の入った旧紙幣の「BANGINKULU」のほうが誤りだったと説明している。

ツォンガ語は南部アフリカ全域で話されており、特にジンバブエ、モザンビーク、スワジランド、南アフリカに集中している。南アフリカでは人口の4%、およそ230万人がツォンガ語を使用しており、南アフリカで8番目に大きな言語グループを形成している。ツォンガ語は主に南アフリカ北東部のリンポポ州で使われているが、地域によって使い方も多少異なり、リンポポ州マラムレレ(Malamulele)地区で話されているツォンガ語では“N”を使わないほうが正しいそうだが、ツォンガ語を話す他のコミュニティの話者らによると、“N”を取ると言葉の意味が変わってしまうとのこと。さらに“N”を入れないツォンガ語のほうが少数のため、より大きなコミュニティが利用しているほうを使うべきと主張し、新紙幣の表記を以前に戻すよう求めている。また言語専門家との協議がしっかりされていなかったことが、今回の真の原因だと非難する声もあがっている。

SNS上では「南アフリカなんだから、スペルミスぐらいでは驚かない」、「無料のスペルチェッカーを使えばよかったのに」、「スペルミスではなく、ツォンガコミュニティの争い」、「南アフリカはそれどころではない。もっと深刻な問題を多く抱えている」といったコメントが見受けられた。

画像は『BusinessTech 2023年5月9日付「Spelling error flagged on new South African banknotes」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 FLYNN)

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