「魚泥棒」のアライグマ捕獲、釣り好き親子が語る知恵比べ「最後はキャラメルコーンで」

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2023年05月19日 10:01  弁護士ドットコム

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魚の飼育を動画配信する親子が、自分たちの魚を食い荒らしていたアライグマを捕獲したとして、ネット上で話題になった。


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アライグマは、農作物や生態系に被害を及ぼす「特定外来生物」に指定されている。親子はハンターでもない一般人だが、半年ほどかけて、役所から借りた罠でアライグマを捕まえることに成功した。



捕獲の経緯を配信したのは、釣り好きな父(60代)と長男・次男(いずれも20代)によるYouTubeチャンネル「ケノのやすみ」だ。



主な撮影は父が担当し、長男がそれをサポート。遠方に住む次男が編集とSNS発信まわりを担当している。





ツイッターのアカウントに「我が家の水槽を半壊させたであろう犯人を半年かけて捕まえました」と投稿すると、多くの反響が寄せられた。



次男は「一般人の自分たちでも、市に協力を求めれば誰でも捕獲から回収までできると伝えられたらうれしいです」と話す。半年以上にわたったアライグマとの知恵比べを親子に聞いた。



⚫️住宅地で普通に起きたアライグマの被害

詳しいエリアは伏せるが、父親が住むのは山里や田畑のある地域ではなく、普通の住宅地だという。釣ってきたニジマスやオイカワなどは屋外(敷地内)で飼育されている。





初めての被害は昨年6月のことだったという。





「このときはまだアライグマと断定したわけではないのですが、川魚のオイカワほか40匹が3日間で食べられてしまいました。網でも上手にすくえない水槽の魚をどうやって捕まえるのか不思議でした」(父親)



それ以前にもメダカが減ったり、家庭菜園のブドウが食べられる被害も受けていたという。



「燃えるゴミの日の前夜に、ゴミ捨て場で生ゴミが荒らされてるのを見て、これはアライグマか、あるいはたぬきかハクビシンによるものではないかと確信しました」(父親)



魚を食い荒らされてしまっては動画投稿にも支障があることから、駆除に動くことにした。



⚫️罠が自治体経由で業者から送られてきた

特定外来生物のアライグマは「害獣」だが、原則として勝手に捕獲できない。多くの自治体では「まずは相談してほしい」と呼びかけている。



たとえば、アライグマの「進出」が問題視される東京都世田谷区でも「許可なく捕まえたり、飼ったりすることができません」と説明している。住宅などの建物が被害を受けたときには、「区が委託した専門業者を派遣し、棲みつかれたところや侵入経路に捕獲器を設置」する(公式サイトより)。



父親もまずは市役所に電話して被害状況を報告した。罠(捕獲檻)の設置を書類申請すると、引き取り業者がもってきてくれた。





業者からは、アライグマとの「頭脳戦」に向けたアドバイスも受けた。



「このあたりにアライグマはたくさんいて、ニジマス、錦鯉、小魚、ぶどうなどが好物だけど、パンでも残飯でもなんでも食べる。指先が起用で、足場さえあれば相当な腕力を示すそうです。罠の中にはチョコパンやお菓子などアライグマが好むエサを用意し、扉がすぐに落ちるような仕掛けを教わりました」(父親)



捕獲してから業者が回収するまでの糞尿や悪臭、ダニや寄生虫などを含めて、事後の掃除は個人がおこなうため、檻は掃除しやすい場所に置くのがよいそうだ。今回はそうでもなかったが、捕獲後に暴れて檻が移動することもあるという。



罠を設置したのが、2022年9月末。業者が土日の回収はできないため、日曜夜から木曜を選んで仕掛け続けた。



⚫️なかなか捕まらない

罠の設置とともに、魚を飼育している水槽を金網で覆って固定した。



「外で飼育しているため、水槽を金網で蓋をして、食べられないから、諦めさせて、訪問をなくす作戦です」(父親)



数日後には、アライグマの気配がなくなったという。それでも、新たに魚を水槽に入れると、アライグマは観察にやってきたそうだ。



「雨の夜にも来たし、水槽のガラスに前足の跡を残していきました」(父親)



昨年12月から今年1月にかけて寒くなるとアライグマの気配も感じられなくなったが、2月にも水槽の金網を壊してニジマスが持ち去られ、悔しい思いをしたという。





「100均で購入した金網であれば、補強の甘いところから折り曲げる腕力がありました」(父親)



⚫️さらば、アライグマ

通算50回ほど仕掛けて、餌だけ奪われることも4〜5回あった。それでも、半年以上もの我慢比べを制したのは人間のほうだった。





罠に入ったアライグマを見つけたのは、5月上旬の朝。前日の夜11時にはいなかったので、真夜中から朝にかけてやってきたとみられる。体長60センチは優に認められるアライグマは暴れる様子もなく、覚悟を決めたような表情に見えたそうだ。





試行錯誤の末に、最終的にアライグマをおびき寄せたエサは「キャラメルコーン」(東ハト)と蒸しパンだった。



「見た感想は結構な大物でした。翌朝に市役所経由で引き取り業者に連絡して、アライグマだけ回収されていきました。業者によれば、大半が殺処分されるそうです。複雑な思いもありますが、しかたないことでもあります」(次男)



今回の発信が、飼育する魚や田畑の農作物がアライグマの被害を受けて困っている人の助けになってほしいと考えている。



アライグマは深刻な農業被害などを全国的にもたらしている。たとえば北海道では2020年度の被害額は1億2000万円にも及んだ。


このニュースに関するつぶやき

  • アライさんはキャラメルコーンが好きだったのだ。
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