<最高のママ友は元カノ>【第11話】旦那の元カノのママ友だけが知る真実。彼の面影が忘れられなくて

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2023年05月28日 08:40  ママスタジアム

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前回からの続き。10年近く、元カレと元カノだということを黙っていた旦那とママ友に、マサエは自分なりの決着をつけました。二度と会わないという約束をさせた上で、2人への気持ちに折り合いをつけたのです。一方メグミから見たこの10年とは……。


本当は全部……全部知っていた。

実家の両親に離婚したことを罵倒された日、ボロボロになったメグミは息子を抱えてすがるようにこの街に来ました。学生の頃、大好きで一生一緒にいたいと思っていた、ユウゴの地元に。

メグミはユウゴと話した公園のベンチに腰を下ろし、昔を懐かしみました。メグミはユウゴの実家にこそ行っていませんが、この街に何度か遊びにきています。つき合っていた学生時代のあるとき、この公園でユウゴは言ったのです。

「俺が一人前の社会人になれたら、一緒に俺の実家に行こうな」

ゆっくりとブランコを漕ぎながら、そう言ってくれたのに。メグミの親に交際を反対されて別れてからは、ユウゴは引っ越してしまい、音信不通になったのです。

(今どこで何をしているかもわからないけれど元気でやっているのかな……。きっと結婚をして素敵な家庭を築いているよね。あのとき別れていなかったら、私たちどうなっていたのかな……)

メグミは思い出の公園で過去に思いをめぐらせていると、どんどん悲しくなってきてしまいました。

「もう帰ろう……」

そう思って立ち上がったとき、赤ちゃんの泣き声が聞こえたのです。見ると、遠くで息子と同じくらいの赤ちゃんが泣いています。お父さんが抱っこをしていて、その横にピタッと奥さんがくっついていて。お父さんが赤ちゃんに話しかけています。

「泣いちゃった! どうしてだ? お腹空いたか?」

横からママが口を出しています。

「おっぱいはさっきあげたばかりだし、なんだろね。パパ、もう少しちゃんと抱っこしてあげて」
「いないいないばぁ!」

泣き止んだ赤ちゃんのキョトンとした顔と旦那さんの変顔を見て、奥さんが笑い出しました。

「なに、その顔!」
「この顔すると、泣き止むんだよ」
「あはは、すごいじゃん!」

幸せそうな家族の姿をメグミは遠くから眺めました。私もあんな家庭を築きたかった……そんな風に思いながら。そのときメグミは、そのお父さんの姿に驚きました。

「うそ」

ユウゴでした。数年ぶりに見るユウゴは、すっかりお父さんの顔をしていました。奥さんも可愛く素直な感じのする人で、息子と同い年くらいの赤ちゃんを抱えて幸せそうな顔。2人は歩いて行ってしまいました。

ユウゴだ……。この街にユウゴがいる。いや、もしかしたらただ単に帰省をしていただけかもしれない。でも、この街にいればユウゴに会える……。それからすぐに手ごろなアパートを見つけてメグミはこの街に越してきました。「この公園に来ればまたユウゴに会えるかも」と淡い期待を抱きつつ。

メグミは元カレのユウゴが住む街に仕事を見つけました。息子を保育園に入れ、息子が歩くようになった頃、朝と夕に時間を作って足しげくあの公園に通いました。しばらくして、思い出の公園で息子を連れているユウゴの奥さんを見つけたのです。奥さんと仲よくなれば、またユウゴに会える。そう思ったメグミは思い切って話しかけてみることにしました。

「よくこの時間に会いますね」

彼女の名前はマサエ。私はユウゴに会うために彼女に気を遣いました。彼女が疲れているときには慰め、小さなことも褒めるようにしました。

もっと彼女に近づきたい。そうしたらユウゴに会えるのだから。そんな思いでいっぱいでした。

【編集部のあとがき】
マサエとメグミは偶然に出会ったわけではありませんでした。メグミの元カレへの思いだけで、マサエに近づいていたのです。何も知らないマサエは、彼女のことを親切で明るい、最高のママ友として受け入れていたのです。でもメグミは何年も、ユウゴへの思いだけでマサエとつき合ったのでしょうか? メグミなりの気持ちの変化があったのだと信じたいところです。

【第12話】に続く。


文・編集部 編集・ここのえ イラスト・Ponko

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