【後編】LGBTカップルの住宅ローン解説「契約内容や必要書類の思わぬ落とし穴とは?」

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2023年05月28日 15:01  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
近年、国際的なジェンダー平等や多様性に対する意識の高まりなどを受け、LGBTカップルが抱える課題を解決する取り組みが全国で進められています。



その課題の1つが住宅ローンです。同性パートナーは現状の日本の法律では夫婦と認められいないため、ペアローンが組みづらく、一方がローン契約を負うしかない、等の不利益を受けていました。



しかし、実際にはLGBTカップルであるために住宅購入が難しい、ということはありません。ゼロリノベのお客様にも同性パートナーとの住宅購入を実現したお客様がたくさんいらっしゃいますし、年々、金融機関の選択肢が増えつつあることを実感しています。



今回は、LGBTカップルのお客様の住宅購入とリノベーションをサポートしてきた経験を踏まえ、住宅ローン契約における注意点などをお伝えします。

1.LGBTカップル向けの住宅ローン一覧



LGBTカップルが住宅ローンを借りられる金融機関は、メガバンク、地方銀行、ネット銀行など全国に拡大しています。



各銀行によって、「ペアローンの利用可」「連帯保証型および連帯債務型のみ」等の契約内容や、提出書類が異なります。



提出書類は主に以下の4パターンに分かれます。


1.合意契約と任意後見契約に係る、公正証書と登記事項証明書を提出

2.自治体が制定するパートナーシップに関する制度の証明書を提出

3.金融機関が独自に発行する書類への記入

4.本人確認および住民票のみを提出


パートナーシップ証明書や公正証書等、LGBT特有の書類については、2章で詳しく後述します。



同性パートナーとの契約に対応している主な24の金融機関について、主な内容と必要書類のパターンを一覧で確認してみましょう(2023年5月現在)。より詳細な借入要件は各金融機関にお問合せください。

■大手金融機関


【フラット35】は2023年1月から同性パートナーとの住宅ローン申込に対応しました。通常、連帯債務型の場合はどちらか片方しか団信(団体信用生命保険)に加入できませんが、【フラット35】では「夫婦連生団信(デュエット)」で二人とも団信を利用できるのが特徴的です。

■地方銀行


■信用金庫


■ネット銀行


2.LGBTカップルの住宅ローンに必要な書類

住宅ローン契約の際に必要なLGBTカップル特有の提出書類が3つあります。作成や取得までに時間を要するものもあるため、住宅購入に動き出す前に、必要なものを事前準備しておきましょう。


「パートナーシップ証明書」

「合意契約に係る公正証書」

「任意後見契約に係る公正証書」および「登記事項証明書」


2-1.パートナーシップ証明書



パートナーシップ証明書とは、「パートナーシップ制度」を導入している各自治体が、一定の条件を満たした同性カップルの関係を「パートナーシップ」と定義し、婚姻に相当する関係と認めて発行する証明書です。



パートナーシップ制度は、2015年に東京都渋谷区と世田谷区で始まり、現在では東京都をはじめ全国278の自治体*で導入され(2023年5月時点)、全国に拡大しています。証明書発行はオンラインで申請できる自治体も多いようです。



パートナーシップ証明が認められると、主に次のようなメリットがあります。


市営住宅や区営住宅など自治体管理の物件に二人で入居できる

パートナーの入院時や緊急時に医療機関から親族同様に対応してもらえる

家賃補助制度が利用できる

災害時の給付金を受けることができる

ただし、こうしたパートナーシップ証明による効力は対応する自治体でしか活かされないため注意が必要です。



※パートナーシップ制度を導入している全ての自治体は、Marriage For All Japanのページで確認できます

2-2.合意契約に係る公正証書



LGBTカップルが、婚姻関係同様に将来の共同生活における約束を証明するものとして作成するのが「合意契約に係る公正証書」です。法務大臣に任命された公正人が作成し公正役場で保管するもので、法的な効力を持ちます。



公正証書の作成は、事前に原案を作成したうえで役場を予約し、公証人と相談しながら手続きを進めます。実際のお客様では入手に2〜3ヶ月かかったケースもあり、事前の準備が必要です。費用は、公証人手数料(数万円程度)の他に、資料取得の実費、司法書士などにサポートを依頼した場合はその報酬も必要です。



公正証書に記載する契約内容はパートナー同士で決めることができ、医療機関で手術を受ける際の同意や面会を受ける権利なども得られます。

2-3.任意後見契約に係る公正証書および登記事項証明書



認知症などで将来自分の判断能力が不十分になったときに備えて、予め後見人を選び、代わりにしてもらいたいことを公正証書によって契約するのが「任意後見契約」です。「任意後見契約」は必ず「公正証書」にしなければならないと法律で定められています。



公証人の嘱託により、「任意後見契約」は法務局に「登記」されます。

「登記」とは、権利関係を公的に示して法的に保護するための制度で、不動産の所有権、抵当権などを示す不動産登記なども含まれます。



公正証書の原本は公証役場に保管されるため、万が一紛失した場合は再発行を受けられます。

3.「二人で住宅購入」を諦めないで



住宅購入は大きな決断と費用を要するもの。さらにLGBT特有の課題が加われば、断念する、あるいは初めから諦めてしまうカップルも多いでしょう。



ですがここ数年でLGBTカップルの住宅ローン借入の選択肢は広がりつつあり、物件探しや購入へ踏み出す人が徐々に増えてきました。「パートナーと落ち着いて暮らしたい」という当たり前の願いを諦めず、理想の住まいを実現して欲しい。ゼロリノベは、同性カップルの自由な住まいづくりをサポートします。


前編を読む:【前編】LGBTカップルの住宅ローン解説「ローンを組む3つの方法とメリットデメリット」


ゼロリノベ ぜろりのべ 2011年より中古住宅購入とリノベーションのワンストップサービス「ゼロリノベ」をスタート。 「大人を自由にする」をコンセプトに、住宅購入をゴールにしない、購入後の経済的なゆとり、豊かな時間が過ごせる自分らしい空間をテーマに「徹底的に寄り添う」サービスを展開。無理しない予算計画を羅針盤とした、物件探しから住宅ローン相談、リノベーションの設計・施工・アフターフォローまで、中古住宅購入とリノベーションの一連の流れをワンストップでサポートしている。 この著者の記事一覧はこちら(ゼロリノベ)

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