広島の連敗ストップ 今季6点目D・ヴィエイラとコーナーフラッグを「真剣に守った」青山に見える”良き雰囲気”

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2023年05月29日 19:18  サッカーキング

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D・ヴィエイラを中心に喜ぶ中、青山(右端)はフラッグをカバー [写真]=J.LEAGUE
 頼れるストライカーが冷静に仕留めた。ゴールレスで迎えた79分、PKキッカーを務めたのはFWドウグラス・ヴィエイラ。自分の間合いで右足シュートを沈めて待望の先制点を奪うと、チームメイトがいるベンチ近くのコーナーフラッグへと向かいながら雄叫びを上げた。

 サンフレッチェ広島は27日、明治安田生命J1リーグ第15節で湘南ベルマーレをホームに迎えた。試合開始13分に相手選手の一発退場により数的優位に立ったが、チャンスを活かしきれず、ゴールが遠い苦しい時間が続いた。

 60分に途中出場したD・ヴィエイラは、「味方にかなりチャンスがあったので、そこはプラスに考えていた。とにかく点を取ることを意識していた」という思いでピッチに入った。今季は4月の5試合だけで、途中出場から計5得点を記録。J1月間MVPにも輝いた頼れるストライカーだが、「自分の調子がいいとマークが厳しくなるけど、それをうまく利用して、例えば味方がフリーになったり、相手を引きつけて味方をうまく使えたりできたらいいと思っていた」と得点以外の狙いもあった。

 76分、ペナルティエリア中央のD・ヴィエイラがMF森島司からの浮き球パスを右足で落としてチャンスを演出。そのボールをMF松本泰志がダイレクトで叩くと、相手DFのハンドを誘発してPKの判定となった。勝負を左右する大事な場面でPKキッカーを務めたブラジル人FWは、「冷静になることを考えて、どこに蹴るかを決めるために時間をかけた」と振り返る。しっかり自分の間合いを作って右足を振り抜くと、シュートは相手GKにコースを読まれながらも、そのままゴール左隅に突き刺さった。

「いいイメージをしながら落ち着いて蹴れた。自分が思ったよりも芝がドライだったので、スピードがなかったけど、コースは狙ったところに行った。自分としてはいいPKだったと思う」

 今季6点目を決めたD・ヴィエイラは自軍ベンチの方向へ駆け寄って喜びを爆発させた。すると、チームメイトは近くにあったコーナーフラッグを守る仕草を見せる。誰よりもフラッグの前に立ちはだかっていたMF青山敏弘はそのシーンについて「僕は真剣に守っていましたよ」と言い切ったところで真面目な表情を崩し、「僕は最初から最後まで真剣に守ってました」と言って笑顔を見せた。

 約1カ月前の4月29日、アウェイで行われた第10節のセレッソ大阪戦で、D・ヴィエイラは後半アディショナルタイムに決勝ゴールを挙げたが、喜びの余りコーナーフラッグを蹴って破壊。のちに1試合の出場停止処分を受けていた。今節はそのC大阪戦以来の得点となり、もちろん愚行を繰り返すはずはないが、チームメイトからはゴールパフォーマンスのネタにされていた。

「以前、みんなから『ゴールを取ったら(コーナーフラッグを)守るからね』って言われていました(笑)。それでわかると思うけど、みんなが仲良いというか、すごくいい雰囲気で練習も試合もできているので、すごくいいチームだと思う」(D・ヴィエイラ)

 特に青山のようなベテランが率先して楽しむことで、チームの雰囲気の良さを醸し出しているようだった。青山としては背番号9への期待があったからこその行動だったという。

「やっぱり点を取れる選手が絶対に必要ですし、ああいう時間から出てきてチームを助けてくれるのは僕らにとって絶対に必要だから。今日のゴールもまた流れを作っていけるようなゴールだったし、みんなもそれを求めていた。サポーターも大声援だったし、全部含めていい試合だったと思う。また(コーナーフラッグを)守ります(笑)」

 広島は公式戦3連敗中と苦しい状況だった。青山も出場時間が少ない苦境にいるが、それでもチームのことを考えて行動してきた。「チームが苦しいときに何ができるか、自分なりのアプローチで、チームへの接し方はしっかりしようと思っていた。まずは勝つところを明確にして、そのために1つになる準備をしてきた。まあいつも通りですけどね。先頭に立って、やるべきことをちゃんとやるっていうところですね」

 広島は湘南に1−0で辛勝し、公式戦の連敗を止めた。過密な連戦が続く中で、この試合はMF柏好文、MF茶島雄介、DF住吉ジェラニレショーンなど出番が限られていた選手たちも躍動。泥臭い内容ではあったが、チーム一丸で勝利をつかんだ。それが再び流れに乗るきっかけになるはずだ。

 次節は中3日の31日に行われる浦和レッズ戦。D・ヴィエイラは、「相手はACLを優勝している強いチームなので、簡単な試合ではないけど、勝ちに行く気持ちは変わらない」と闘志を燃やし続ける。青山は、「またここから上がっていくきっかけにもなったと思うし、この流れを続けていきたい。ベテランたちが次もやる気満々なので、僕も必死になって戦っていきたい」と力強く語った。

取材・文=湊昂大

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