<最高のママ友は元カノ>【第13話】10年の秘密が明かされた。罪を感じた私の口から出た言葉は

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2023年05月30日 12:40  ママスタジアム

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前回からの続き。マサエのママ友メグミには学生時代から大好きで忘れられない人がいました。マサエの旦那であるユウゴです。メグミは他の男性と結婚して子どもを産んでも、その思いは変わらなかったようです。離婚をしたメグミは大好きだったユウゴの地元の街で、偶然にユウゴと彼の家族を目にします。そしてどうしてももう一度会いたい思いで引っ越してきて、彼の奥さんのマサエとママ友になったのです。マサエと数カ月つき合ううちに、とうとうユウゴに会うチャンスが訪れました。そのときマサエの目を盗み、2人はお互いの想いを確認したのです。


BBQでの再会のあとにユウゴとメグミは連絡先を交換し、ときおり連絡を取り合うようになりました。マサエに内緒のLINEでの会話にメグミの心は浮きたちます。
“ユウゴ、いま、ちょっといい?”
“どうした?”
“今日、息子がサッカーをやりたいって言い出して。ボールっていろんなサイズがあるじゃない? どれを買えばいいの?”
“小学生なら4号球かな。商店街のスポーツ用品店に行けば、詳しく教えてくれるよ”
“そっか、ありがとう。さすがサッカー部、やっぱり詳しいね”
“ウチの息子は今のところスポーツには興味ないけどな。息子とサッカーやるのが夢だったから、興味持ってほしい”
“今度、ウチのタイキのコーチやってよ!”
“みんなでサッカーやるのも楽しそうだな”

LINEでおこなうユウゴとの他愛のない会話でも、メグミはすごく幸せな気持ちになれました。マサエファミリーと仲よくさせてもらい、彼女の隣で笑っているユウゴを見ていると、思わず自分がユウゴの隣にいれたかもしれない未来を想像してしまうこともありました。その度にマサエさんの存在を確認しては、「違う、違う……」と言い聞かせます。

事態が大きく変わったのは、ユウゴの友達であるタカシがユウゴの家に来たとき。学生時代からつきあいがあるタカシは、当時ユウゴの彼女としてメグミも遊んだこともありました。ピーンポーン。チャイムが鳴って、マサエがメグミに言いました。

「ピザ来たかな。ゴメン! メグちゃん、出てくれない? 今、手が離せなくて。お金はテーブルの上にあるから!」
「了解」

そう言ってドアを開けたときのタカシの驚いた顔は今でも忘れません。

「メグちゃん? な、なんでいるの?」

慌てて出てきたユウゴが話をしました。でもやはりメグミが元カノであることは、すぐにマサエに知られてしまいました。メグミは彼女に公園に呼び出されます。

「ゴメンナサイ!」

メグミはひたすら謝りました。でも……。マサエさんにバレたらすべてが終わる。それは覚悟していたことでした。ショックを受けて青ざめたような顔をして、マサエが口を開きました。

「本当に、私のこと知らなかったの?」

メグミは本当のことを言ってしまおうかと悩みました。すべて最初から知っていたの。ユウゴに会いたかったの……。でも、それを言ってしまうと、さらにマサエを傷つけることになる。メグミはきっぱりと言いました。

「本当よ! 本当に偶然だったの」

メグミは最後の嘘をついたのです。

それからマサエ一家は引っ越しをしていきました。メグミはユウゴと会うことも、もちろんマサエと会うこともなくなりました。マサエと会わなくなってから半年。メグミにとっての「家族ごっこ」は終わりました。

(私は何がしたかったんだろう。ユウゴとどうなりたかったのだろう)

ユウゴはマサエと別れて、メグミと再婚したかったわけではありません。メグミもユウゴに恋をしていたかといえばそうではありませんでした。元カレとして「好き」は「好き」だったけれど、あの頃のようにときめいていたわけでもありません。

(きっと私は、優しいユウゴの温かさに、甘えたかっただけだったんだ……。楽しかったあの頃を思い出させてくれ、私の全てを知ったうえで受け止めてくれる彼の存在に甘えていただけ。会いたかったのではなくて、都合よく寄りかかりたかっただけか)

メグミの独り言に、タイキが不思議そうな顔をしました。

「ママ? どうしたの?」
「なんでもないよ」
「寂しいの?」
「ううん。大丈夫。ママにはタイキがいるもん」

メグミはタイキを抱きしめました。息子の髪の毛が鼻をくすぐります。

「タイキ、ママはおじいちゃんとおばあちゃんのところに帰ろうと思うんだけど、いいかな?」

メグミは決心しました。

私が本当に向き合わないといけないのは息子、そして両親。私の弱さが原因でマサエに苦しい思いをさせた罪を背負いながら、もう一度地元に帰って両親とじっくり話し合い、人生をやり直したい。



【編集部のあとがき】
長年の親密なつき合いだったママ友同士の関係は終わりを告げました。近所に住み共に子育てをするママ友同士、家族のように助け合ってきたのです。出会いこそウソがあったとはいえ、マサエとメグミは共に懸命にお互いの子どもを守ってきました。「何があっても絶対に味方でいてくれるママ」との別れは、つらいものだったはず。それぞれの道を歩むことになった2人。年を取り、子育てを振り返ったとき、どんな思い出としてよみがえってくるのでしょう。楽しい子育てだったと感じることができたならと願わざるを得ません。

文・編集部 編集・ここのえ イラスト・カヲルーン

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