ヤマハのクルマ関連技術は用途が多彩! 得意の「改造」も炸裂?

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2023年06月02日 11:41  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
ヤマハ発動機といえばバイクのイメージが強いが、実はクルマの領域でも存在感を発揮してきた企業だ。古くはトヨタ自動車「2000GT」の開発に関わっているし、近年ではレクサスのスーパーカー「LFA」でエンジンを手掛けた実績がある。今後は電気自動車(EV)が増えていきそうな自動車業界だが、この流れ、ヤマハにとってはチャンスになるかもしれない。同社の自動車向けコンセプトブランド「アライヴ」の製品群を見てそう思った。


ヤマハは「人とくるまのテクノロジー展 2023」に自動車向けコンセプトブランド「αlive」(アライヴ)の製品・技術を展示した。いくつかを実際に見て、解説員に話を聞いてきたのでレポートしたい。

○EV向けに「エンジン」を作る?



クルマの電動化が進んでいけば、内燃機関=エンジンが活躍する機会は減っていく。そんな中、ヤマハが作っているのがEV向けの「エレクトリック・エンジン」だ。



電気のエンジン? そんなものが世の中に存在するのかと思って聞いてみると、ヤマハの説明員によれば「要するにモーターとインバーターなんですが、ヤマハはエンジンにこだわりがあるので、あえてエレクトリック・エンジンと呼んでいます」とのことだった。


展示品は高出力帯モビリティ製品への搭載を想定した最大出力420kWクラスの電動モーターユニット。ギアとインバーターが一体となった「機電一体型」だ。出力420kWといえばけっこうなパワーだが、ヤマハでは同ユニットを1台のクルマに4基あるいは複数機搭載することを想定しているとのこと。4つ載せれば全てのタイヤで独自のトルク制御ができるので、EVの走りをより緻密にコントロールできそうだ。



ハイパワーなEV向け電動モーターユニットを作っている理由はいくつかある。例えばEV時代のスーパーカー向け需要に対応したいとか、EV時代のモータースポーツ存続のためといった感じだ。100kW、200kWクラスのユニットを作っている企業はほかにもあるので、あえて高出力、高電圧に挑戦しているという側面もあるそうだ。


超ハイパワーモーターの実用化に向けては、このモーターを動かすための電池を用意できるかどうかが課題になるという。一瞬だとしても最大出力で加速するためには大きな電力が必要になるので、高電圧で放電ができるバッテリーが必要となるからだ。それに、すぐに電池切れにならないような工夫も重要になるだろう。

○電動モビリティの「距離」を伸ばす



ヤマハが培ってきた小型軽量ハイパワーエンジン技術とモーター技術を組み合わせた「αlive RX」(レンジエクステンダー)は、電動モビリティの活用領域を拡大する技術だ。端的にいえば、動ける「距離」(レンジ)を「伸ばす」(エクステンド)ための機械である。エンジンを発電機として使用し、燃料を燃やして電気を生み出して、その電気でEVなどの電動モビリティを動かす技術なのだが、ヤマハでは同技術をドローンに使えないか検討を進めている。


そもそもバッテリーは重い部品なので、たくさん積むとドローンは遠くまで飛ぶのが難しくなる。それならレンジエクステンダーを積んでおいて、ガソリンで発電しながら飛んだ方が遠くまでいけるし、着陸したところで給油できればすぐに帰ってくるか、あるいはもっと遠くまで飛んでいくこともできる。空飛ぶクルマの実用化には必須となりそうな技術だ。


○水素エンジンを何に使う?



電動化が進んでも内燃機関の技術を残す手はある。例えば水素など、CO2を排出しない燃料を燃やせばいいわけだ。ヤマハはホンダ、カワサキ、スズキとバイク向け水素エンジンの基礎研究を進めるなど、次世代燃料を使った内燃機関の開発に積極的な姿勢を見せている。



では、この展示物はどんな乗り物なのだろうか。サイズから考えると、1人乗りのマイクロモビリティか何かだろうか。そう思ってヤマハに聞くと、このタイヤと取っ手の付いた水素エンジン搭載車は「発電機」なのだという。


「タイヤが付いているので乗り物かと思いきや、発電機だとは想像できませんでした。さすがは『魔改造』が得意なヤマハですね」と説明員に水を向けてみると、「ありがとうございます(笑顔で深々と一礼)。前には水素エンジン、後には2つの水素タンクを載せていて、タンクを交換すれば使い続けられるというというコンセプトです。水素エンジンがいろんな用途で使えることを示す実例として作りました」とのことだった。(藤田真吾)
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