デッドストックを集積した「KISARAZU CONCEPT STORE」が公開 デザイナーズブランドも展開

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2023年06月02日 12:32  Fashionsnap.com

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「KISARAZU CONCEPT STORE」外観

Image by: FASHIONSNAP
 三井不動産が、規格外品やデッドストック品を集積した新ストア「KISARAZU CONCEPT STORE」を6月8日のオープンに先立って公開した。スマイルズが展開する「パスザバトン(PASS THE BATON)」がプロデュースを手掛け、オープン時はユナイテッドアローズやマッシュホールディングス、ベイクルーズといった国内の大手アパレルメーカーのほか、「クロエ(Chloé)」や「ジル サンダー(JIL SANDER)」「メゾン マルジェラ(Maison Margiela)」「マックスマーラ(Max Mara)」「ミキオサカベ(MIKIO SAKABE)」といったハイブランドやデザイナーズブランドを含む1万〜3万点を揃える。ブランドを区切らずミックスしたMDで試着室を多く設け、試着点数無制限で「服の袖を通す楽しさ」を訴求する。

 三井不動産は「ららぽーと」をはじめとするフルプライスビジネスや、アウトレットビジネスを展開。一方でファッション業界では余剰在庫を抱えるブランドが多く、社会課題として挙げられている。パスザバトンがプロデュースする新ストアは「ファッションを楽しむテーマパーク」「新たな服のサイクルを生み出す実験場」と位置付け、アイテムの見せ方や売り方、買い方を変えることでユニークな購買体験を提供し、三井不動産のデベロッパーとしての活動にとどまらず社会課題の解決につなげたい考え。パスザバトンの起用では、セレクトリサイクルショップに始まり、現在は規格外品やデッドストックアイテムを集めた蚤の市「パスザバトンマーケット(PASS THE BATON MARKET)」を継続的に開催するなどの実績を評価したという。運営は双日インフィニティが手掛ける。

 新ストアは「三井アウトレットパーク 木更津」の駐車場だった約7300平方メートルの場所に建設した。建物の延床面積は約3000平方メートル。高校生以上を対象に、入場には一人税込300円が必要となっており、入場料は社会課題を解決するための取り組みを行う企業や団体に寄付する「コントリ」という仕組みを導入した。券売機でチケット購入時に協賛先を選ぶことができる。オープン時は、不要になった衣服を肥料にアップサイクルするクレサヴァ、裁断くずなどの廃棄繊維を紙の原料に活用する一般社団法人サーキュラー コットン ファクトリー、服を燃料に変える研究開発を行う文化学園大学 服装学部ファッション社会学科の3団体を選択肢として用意する。なお、中学生以下は入場無料となっている。

 北棟と南棟をつなぐ建物は、A〜Eの5つのショッピングエリアのゾーンで構成。加えて、環境に配慮した新素材やものづくりの技術を紹介するファクトリーラボや、カフェを併設した。南棟に位置するAゾーンはカジュアルウェアやストリートウェアが並ぶ「DAILY OUTFIT」、Bゾーンはウェアから小物まで幅広く集積し、宝物探しのようにアイテムを見つけることができる「DIGGING」、Cゾーンはシューズやアクセサリーなどの小物を揃える。北棟にあるDゾーンはキッズアイテム、Eゾーンはデザイナーズアイテムを中心に展開。いずれのゾーンもディスプレイ用の什器の一部は、パスザバトンの店舗や三井不動産の商業施設のテナントが内装で使った什器を再利用している。

 参加企業は約100社。割引率はアイテムによって異なるが、およそ7割引きで提供する。ブランドで売り場を区切らず横断したMD構成と、多数用意した試着室が最大の特徴で、試着室は1部屋に複数人で入って撮影も楽しめる「フィッティングスタジオ(FITTING STUDIO)」も備えた。試着できるアイテムの点数は無制限とし、接客を極力行わないセミセルフ式販売を採用することで気軽に服に袖を通してファッションを楽しめる環境作りを徹底したという。

 この構想は、スマイルズの野崎亙取締役社長の実体験に基づいている。自身がファッションを好きになったきっかけは京都のとあるブティックで気軽に試着できた経験から来ているという。「実際に着てみることで、想像以上に洗練されたイメージを知ることができる。これはブランドの凄みを感じられる体験でもある。まさに“袖を通してなんぼ”。モノを見るだけではわからないことがたくさんある」(同氏)。従来のブランド店舗では試着点数に制限があったり接客されることではばかられることがあるなど、「購入」に至るまでの障壁を感じる人も少なくはない。新ストアではそれをすべて排除した。
 プロジェクトが始動したのは約3年前。オープンを前に、当時の企画書を改めて振り返ったという野崎氏は「7〜8割はやりたいことができた」と手応えを示した。
 ブランド横断型のMD構成は通常であればブランド企業から許容されにくいが、「社会課題を解決したい」という三井不動産の姿勢と同社のこれまでの実績を評価し、約100社が参加企業として集まった。新ストアを通じて新規で取引が始まった企業もあるという。木更津は郊外立地だが、同社の担当者によるとアウトレットには年間1000万人以上が来場していることから、アウトレットの来場者に加えて、新ストアに興味関心を持つ新たな客層の獲得にも期待をにじませた。定量的な目標については設けておらず、当面は反響を見ながら模索していく。なお、都心への出店は計画していないという。

■KISARAZU CONCEPT STOREオープン日:2023年6月8日(木)営業時間:10:00〜20:00(最終入場19:30、※営業時間変更の可能性あり)入場料:300円(中学生以下 無料)所在地:千葉県木更津市金田東2丁目9番1 (三井アウトレットパーク 木更津 隣地)交通:東京湾アクアライン「木更津金田IC」から1km、JR内房線「袖ヶ浦」駅からバス約10分
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