重いウエイトに反する速さ。40kgのau坪井、32kgのSTANLEY山本、予想外の予選順位に驚き隠せず

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2023年06月04日 01:00  AUTOSPORT web

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予選2番手、そして24号車の降格によってGT500初ポール獲得となった坪井翔(au TOM’S GR Supra)
 スーパーGT第3戦鈴鹿のGT500予選は、さまざまな点で予想を覆す展開となった。その中のひとつが、ランキング上位でサクセスウエイト(SW)が重いクルマたちの上位進出。特に前回優勝でランキング3位、40kgを搭載しての予選2番手獲得(その後、ポールのリアライズコーポレーションADVAN Zの車検不合格によりポール)のau TOM'S GR Supra、ランキング4位で4番手(その後3番手に)SW32kgのSTANLEY NSX-GTは、それぞれメーカー内でもっとも重いウエイトながら、メーカー最上位というリザルトを残した。その背景に、コンディションへの対応とセットアップといった、今のGT500の難しさが見られた。

 土曜のフリー走行(FP)の走り出しから上位タイムをマークしたau TOM'S GR Supra。予選Q1では宮田莉朋が6番手で通過すると、Q2を担当した坪井翔は2番手タイムをマークする速さを見せた。この速さには、坪井自身も驚いていた。そもそも、鈴鹿でこの予選内容はどこまで予想していたのだろう。

「いや、まったく予想できなくて(笑)、正直今回はQ1に通れないかもなと思うくらい、通れたら万々歳だなと思うくらいのつもりで来ていました。去年の鈴鹿での戦いぶりとか、サクセスウエイトのことを考えたら、2位を取れたというのは予想外ですし(その後、ポール)、本当に嬉しい結果ですね」

 今年の坪井は第1戦、第2戦とQ1を担当していたが、この鈴鹿で担当を変えたのはなぜなのか。

「今回、1年以上ぶりに予選Q2を担当したので、ちょっとひさびさだったので緊張しましたね(苦笑)。実はQ1を担当するのがどちらも嫌で、前回の富士で僕が担当したので『今回の鈴鹿は(宮田)莉朋でしょ』と。そんなノリじゃないですけど、エンジニアといろいろ考えた上で去年、37号車の時に莉朋がこの鈴鹿でいい走りをしていたこともありますし、事前テストでも莉朋がたくさん乗っていたこともあるので、そのフィードバックとQ1のアタックを今回、莉朋が担当するのはいいんじゃないかなと僕も思っていました。でもまさかこんないい結果が出るとは思っていなかったので、良かったです』

 坪井の言葉にもあるように、GR Supra勢としては、この鈴鹿は苦手な部類のサーキットでもあった。NissanZやNSX-GTに比べてダウフォースの面で苦労しており、高速で左右の切り返しが多い鈴鹿は、ここ数年、トヨタ/GR陣営として鬼門でもあった。その状況での36号車auの好結果の理由のひとつには、台風後の強い風の影響があったと考えられる。

 土曜日の鈴鹿はバックストレートで追い風、2コーナーからは向かい風となる強烈な強さの風が吹いていた。その風はダウンフォースに課題のあるGR Supraのウイークポイントを消してしまうほどの効果があったのではないだろうか。その仮説を坪井に聞いてみる。

「ダウンフォースがきちんと出るセットアップをいろいろ考えて来てはいるので、風の影響がなかったとしても、もしかしたらこの速さが出せたかもしれないし、風の影響がなかったら厳しかったかもしれないし、それはちょっとわからないですけど、ただ、タイムを見る限り、風は悪影響を及ぼした感じはまったくないので、少なからず、風をうまく味方にできた感じはあるかなと思います」

「アタックは、莉朋からQ1のフィードバックをしっかりもらっていて、クルマとかタイヤとか、どうアジャストしていけばいいか聞いていたので、そのイメージどおりアタックに行けたと思いますし、フリー走行から比べて風は強くなっていましたけど、その風もしっかりと味方にすることができて、非常にいいアタックができたと思っています」と坪井。

「一番はニッサン勢、23号車(MOTUL AUTECH Z)と3号車(Niterra MOTUL Z)、そして100号車(STANLEY NSX-GT)のランキングが近いチームより予選で前に出ることが一番大事だと思っていたので、そこをまず達成できたので、2番手からのスタートなら優勝争いができると思うので、明日は力強い走りを見せて、ここまで来たら2連勝するしかないと思っています」と、決勝に意気込む。

 同じく重めのSWで予選で好結果を残したのが、100号車STANLEY NSX-GTだ。Q1で牧野任祐が8番手で通過すると、Q2では山本尚貴が4番手でチェッカーを受けた。ランキング4位で32kgのSWを考えると、上出来の結果と言える。

「良かったと思います」と予選を振り返る山本。

「朝からクルマのバランスを取るのに手こずっていた感じがあったので、牧野(任祐)選手が予選Q1を8番手で通過できて、驚いたくらいでした。8番手で通って良かったと思うところと、彼が頑張って8番手だったら、Q2はどの道、厳しいなという感じは内心ありました。ただ、そこで彼のフィードバックからQ2に向けてクルマをどうしたらいいかをエンジニアさんと話して、それを入れ込んでもらったら、すごく乗りやすくて、FPの時とは比べものにならないくらい良くなっていました。自分のフィーリングとクルマのフィーリングがタイム、順位にきちんと反映されたので、個人的にもいい予選だったなと思います」と続ける。

 強く吹き続けていた風についても、「風も考慮した上でエンジニアさんもクルマを作ってくれていて、風もこれだけ舞っているので、タイミングによっていい風だったり、よくない風だったり、選手によってはあったかもしれないですけど、特段、僕には悪い方には出ていなかったです」と、山本が振り返る。

 100号車も重めのSWだが、最近のGT500ではSWの影響が小さくなったようにも見える。山本はどのように感じているのか。

「SWの影響が関係なくはないですけど、最近のGT500はウエイトの比重よりもセットアップの比重の方が今は効いてるのかなと思いますね。もちろん、重い方がいいわけではないですけど、重いなりにもセットアップがドンピシャなところに入っているクルマの方が予選でも上に行けるように見えますし、ウエイトが軽いからといって、セットアップや持ち込んできたタイヤによってはパフォーマンスがいいわけではないのかなと」

「Q1とQ2でもコンディションの変化や、ちょっとしたセットアップの変更で順番とかタイムが全然変わってきてしまうことがあるので、そのあたりが今のGT500の難しさでもあるので、僕らはそう感じているのですけど、見ているお客さん含めて、なかなか伝わりづらい大変さがあるなと思っています。それくらい、今のGT500は細かいことをやっています」と山本。

 第2戦富士の決勝結果と同じような顔ぶれになった第3戦鈴鹿の予選。もし決勝でもこの2台がそのまま上位でチェッカーを受けることになれば、雨のニスモ勢、ドライの36号車、100号車と、今年のGT500のチャンピオン争いの顔ぶれは3戦目にして固まってくることになるのかもしれない。

GT500初ポール🥇SFに続き最高峰の初めては素直に嬉しいです😊切り替えて明日は明日でしっかりレースしたいと思います!#supergt #TomsRacing pic.twitter.com/ytHHiv3kVL— 坪井翔 (@RaceSho) June 3, 2023

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