ゆるキャン△でも話題に、レトロポップな超ベストセラー「Vino」ってどんなスクーター?

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2023年06月05日 17:01  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
マンガやドラマで話題となった「ゆるキャン△」。その中で主人公の相棒として活躍し、ケナゲでかわいいセリフも印象的だった原付スクーターは、ヤマハ発動機の「Vino(ビーノ)」がモデルとなっています。街中でもよく走っているのを見かけるはずです。



今やスクーター界の人気者となった「Vino」ですが、人気の秘密はやはりレトロポップなルックスでしょう。現在は三代目となった「Vino」の歴史を振り返りつつ、そのデザインの魅力に迫ります。



⇒開発者インタビュー、大ヒットスクーター「Vino」に込められたデザイナーの思い


<取材にご協力いただいたヤマハ発動機、デザイナーのみなさん>



星野茂さん(写真:中央)

クリエイティブ本部 プロダクトデザイン部

初代「Vino」の立体デザイナーとして参加し、二代目ではチーフデザイナーを担当



中山ルミさん(写真:右)

クリエイティブ本部 プロダクトデザイン部

2012年から二代目「Vino」のカラーリングデザインを担当



土屋さおりさん(写真:左)

クリエイティブ本部 プロダクトデザイン部

2023年の新色から現行の三代目「Vino」の新色カラーリングデザインを担当



○1997年:PUFFYとともに初代「Vino」誕生



初代の「Vino」が生まれた1997年は、スポーツ系バイクのブームも落ち着きはじめてファッション性を重視したモデルがヒットする時代になったそう。スクーターもまた、レトロテイストのモデルに注目が集まるようになります。


その流れを受け、ヤマハもレトロなモデルを急ピッチで開発。エンジンや車体は既存の「JOG(アプリオ)」をベースとして、ボディワークをクラシカルなデザインに変更した初代「Vino」が、今から26年前の1997年に誕生しました。


当時、人気急上昇中だった女性ボーカルデュオ「PUFFY(パフィー)」をCMモデルに起用し、バイク雑誌以外にもテレビやファッション雑誌などのプロモーションによって「Vino」はデビューしてすぐに人気モデルに。その後もオシャレなカラーバリエーションや限定モデルを追加して注目を集め続けました。


○一目で「Vino」とわかる特徴的なデザインはどうやって生まれた?



おしゃれな古いスクーターといえば、イタリアのピアッジオ社が手掛ける「Vespa(ベスパ)」が有名。映画『ローマの休日』でオードリー・ヘップバーンが乗った姿を観たことがある人も多いのではないでしょうか。「ベスパ」に似た"ネオクラシック"と呼ばれるモデルも多数販売されましたが、「Vino」は「ベスパ」とは異なるデザインにしたそう。初代「Vino」に詰め込まれた、こだわりのデザインを見ていきましょう。


ハンドルはネイキッドバイクのようにバーハンドルに、またヘッドライトをボディにマウントする手法がとられました。


シート後部に取り付けられたグラブバーも今までのスクーターのような荷台にはせず、ボディに沿うような尻下がりのスタイルになっています。この太さや形状にはかなりこだわったそう。

○2004年:二代目「Vino」は女子高生がターゲット!



初代のデビューから7年後の2004年、「Vino」は排出ガス規制によるエンジンの4ストローク化で二代目にフルモデルチェンジをします。デザインも全面新設計となりました。


二代目「Vino」は初代の面影を残しつつも、新しい時代にふさわしいレトロポップな姿に。メインターゲットは「女子高生」で、バイクを知らなくても直感的に『かわいい!』と思えるデザインにこだわったそうです。かわいいデザイン、そしてさまざまなブランドとのコラボも展開しながら初代を上回る人気モデルとなります。


○女性デザイナーの「なでしこチーム」も結成



二代目の中期には、女性デザイナーによる「なでしこチーム」が参加します。それまで男性が考えていた「かわいさ」から、繊細な女性目線での「かわいさ」をかたちにすることで、「Vino」のカラーバリエーションやグラフィックの魅力を大きくアップさせました。


○「しまりん仕様のビーノ」も話題に



2015年に連載開始、ドラマ化もされたマンガ『ゆるキャン△』がヒットすると、登場人物の女子高生「志摩リン」が乗っていたスクーターのモデルとなった「Vino」の人気も急上昇。バイク屋さんに『リンちゃんが乗っていたバイクをください!』と買いに来る人もいたそうです。


○2018年:ホンダと手を組んで登場した三代目「Vino」



2018年に登場した三代目「Vino」は、本田技研工業のOEM供給となりました。50ccの市場が減少するなか、ビジネスとしては難しくても、それを必要としている人にこたえるのがメーカーの責任という両社の思いから、ライバルメーカーのホンダとヤマハが手を組んだと当時を振り返ります。


しかし、ホンダのOEM車となっても、シンプルなアイコンとして定着していた二代目のデザインは上手に引き継がれています。まだまだ「Vino」はエントリー向けのスクーターとして人気モデルになるでしょう。

○時代はジェンダーレスに



女性をメインのターゲットとしている「Vino」ですが、2023年モデルの新色は少し変化しています。これは、最近は男性でも赤い「Vino」に乗る人がいたり、女性でも「女子すぎないもの」を好む傾向にあるのが理由だそう。


1997年からモデルチェンジを重ねながら若い世代の「かわいい」気持ちをつかんできた「Vino」。再びレトロブームが起きているなか、ユーザーにどんな提案を行い、どのような展開をしていくのか、今後も目が離せないモデルです。

○コミュニケーションプラザで「しまりん仕様のビーノ」を発見!



今回うかがった「コミュニケーションプラザ」は、ヤマハ発動機とその製品を紹介する企業ミュージアム。1階には出川哲朗さんの旅番組でおなじみスイカ仕様の「e-Vino」、2階には「ゆるキャン△」に登場するスクーターを再現した「しまりん仕様のビーノ」が展示されていました。近づくとボイス実装で『\コンニチワ/』『\マカセトケ/』とおしゃべりしますが、見た目と声のかわいさの破壊力はハンパじゃありませんでした!


今回取材した「コミュニケーションプラザ」では、コンサートや企画展など、さまざまなイベントが開催されるほか、サーキットや公道を駆け抜けた懐かしい名車たちもズラリと勢ぞろいしています。バイク好きなら、ぜひ一度は足を運んでみてはいかがでしょうか?


ヤマハ発動機 コミュニケーションプラザ

〒438-8501 静岡県磐田市新貝2500

入館無料

平日:9:00〜17:00、毎月第2・第4土曜日と翌日曜:10:00〜17:00

※11名以上で来館の際は1週間以上前に予約が必要

問い合わせ先:0538-33-2520


津原リョウ 二輪・四輪、IT、家電などの商品企画や広告・デザイン全般に従事するクリエイター。エンジンOHからON/OFFサーキット走行、長距離キャンプツーリングまでバイク遊びは一通り経験し、1950年代のBMWから最新スポーツまで数多く試乗。印象的だったバイクは「MVアグスタ F4」と「Kawasaki KX500」。 この著者の記事一覧はこちら(津原リョウ)
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