S広島R、今季ホーム最終戦で勝利…DF呉屋絵理子が覚悟のビッグプレー「自分が積み重ねたことを出せた」

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2023年06月05日 23:04  サッカーキング

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S広島RのDF呉屋絵理子 [写真]=WE LEAGUE
 サンフレッチェ広島レジーナは3日、Yogibo WEリーグ第21節でちふれASエルフェン埼玉と対戦し、1−0で勝利した。今季ホーム最終戦を9試合ぶりの白星で飾り、サポーターたちと喜びを分かち合った。

 この試合でDF呉屋絵理子が7試合ぶりの先発出場を果たした。シーズン後半戦は再開後6試合連続でスタメンの座を掴んでいたが、4月15日の大宮アルディージャVENTUS戦でベンチに回ると、直近の5試合はメンバー外が続いていた。

「悔しい気持ちはもちろんあった。でも、私自身は(調子が)悪くないと思っていたので、やり続けることでアピールしていた。それが、今日の試合のスタートで使ってもらった部分でもあると思う」

 前を向いて取り組み続け、約2カ月ぶりに訪れたチャンス。久々に立つピッチだったが、見据えていたのは無失点での勝利。そのための活躍を心に決めていた。

「緊張感というよりは、自分はここでやらないといけないっていう覚悟を持って入った試合でした」

 4バックの左センターバックに入った呉屋は、試合を通して粘り強いディフェンスが光り、最後尾からロングボールも使ってトライし続けた。中村伸監督も試合後の会見で、「呉屋はコンディションをしっかり上げてきてくれたし、今回はボールを握る部分で彼女の良さがチームにプラスになると思い起用した。試合に関しては準備してきたものを、しっかりと表現してくれた」と評価した。

 チームは試合の立ち上がりから積極的に攻め続けたが、再三のチャンスを活かせずにもどかしい時間が続いていた。試合終盤に入り、75分にFW中嶋淑乃のシュートが相手のオウンゴールを誘って待望の先制点を獲得。だが、その後はS広島Rの出足が鈍り出し、EL埼玉の勢いある反撃を受ける。

 それでも、呉屋は動じずに粘り強く戦った。「相手が前にロングボールを蹴って背後を狙ってくる感じだったので、ディフェンス陣としては集中を切らさずにやるぞってピッチでずっと声をかけていました」

 1点リードの83分、EL埼玉からロングボールが入ると、反応したDF左山桃子は相手MF吉田莉胡にうまく入れ替われて突破を許す。同点になってもおかしくない決定的なピンチ。だが、すぐさまカバーに入った呉屋は冷静だった。

「(吉田に)裏に走られた時にワントラップしてもらったら自分にチャンスがあると思っていた。予想通り相手がそのプレーをしてくれたので、落ち着いて自分の思い通りに運べました」

 ペナルティエリア内に抜け出した吉田にシュートを打たれた瞬間、が飛び込んできた呉屋が果敢なスライディングでブロック。「ゼロで抑えたら勝てると思っていたし、それが私たちの仕事だと思っていた」。背番号3の覚悟が宿ったビッグプレーだった。



 ピンチを救われた左山も「どうにか(ボールに)触れば良かったんですけど、触れなかった。それでも、ああやって(呉屋が)体を投げ出して滑り込んでくれたので助けられました。本当にありがとうって思っています」と感謝していた。

 この直前にはGK木稲瑠那の好セーブもあり、チームは苦しい時間帯を守り切って6試合ぶりのクリーンシートを達成。無失点での勝利は昨年12月4日に行われた第5節の日テレ・東京ヴェルディベレーザ戦以来、今季2度目となった。

 フル出場で勝利に貢献した呉屋はプレイヤー・オブ・ザ・マッチに輝いた。「試合の入りは相手に押し込まれたところもあったけど、自分は意外と冷静にできたし、決定機を防いだ場面でも冷静に自分の思い通りにできた」と振り返り、「あと1試合ありますけど、この1年間で自分が積み重ねてきたことを公式戦のピッチで出せたと思う」と無失点達成に胸を張った。

 S広島Rはこの勝利で9位から6位に再浮上。最終節の1試合を残して、5位〜8位で終わることが決まった。WEリーグ2年目のラストマッチは10日に行われるノジマステラ神奈川相模原とのアウェイゲーム。6位だった昨季よりも一つ上へ。呉屋は、「ラストで勝てば順位を上げられると思うし、まだまだやれるチームだと思うので、何がなんでも勝ち点3をとって帰ってきたい」と力強く語った。

取材・文=湊昂大

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