ヘンリー王子、法廷で証言台に立つことに 英国では約130年ぶりの歴史的出来事

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2023年06月06日 13:51  Techinsight Japan

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英タブロイド紙を提訴した裁判で証言台に立つことになったヘンリー王子。法廷では、長時間にわたってプライベートに関する尋問を受けることになる
ヘンリー王子が英タブロイド紙の発行元を提訴した裁判に出廷し、証言台に立つことが明らかになった。英王室の上級メンバーが法廷で証言するのは、1891年のエドワード7世以来、約130年ぶりの出来事となる。王子は予定されていた初日の裁判に姿を現さず、2日目となる現地時間6日に出廷すると報じられている。

ヘンリー王子は、複数の著名人とともに英タブロイド紙『Daily Mirror』『Sunday Mirror』『Sunday People』などの発行元「Mirror Group Newspapers(以下、MGN)」を不法な情報収集の疑いで提訴していた。王子らは、MGNが電話盗聴などの違法な情報収集を行ったと主張している。

5月10日には英ロンドンの高等裁判所で裁判が開始され、法廷ではヘンリー王子の弁護士が出廷していた。当時、MGNは法的文書で「違法な情報収集のすべての事例について率直に謝罪し、このような行為を決して繰り返さないことを約束します」と、同社の記者が第三者に対して、王子を含む複数の著名人に関する違法な情報収集を指示したことを認めていた。

裁判の続きは現地時間5日に開始し、ヘンリー王子が出廷して証言台に立つ予定だと報じられた。当日は裁判所前に多くのメディアが駆けつけたものの、王子は姿を現さなかった。そのため法廷では、ティモシー・ファンコート判事が「驚いた」と述べ、MGNの弁護団は「全く異例のことだ」と驚きを隠せない様子だったという。

この日はヘンリー王子の弁護士であるデヴィッド・シャーボーン氏が出廷し、MGNの違法な情報収集について「(MGNの)記者だけではなく、同社の取締役会の上級メンバーや法務部門も知っていたにもかかわらず隠蔽されてきた」と述べた。

そして同氏は、MGNの出版物にはヘンリー王子が学校に通っていた少年時代、1997年の母ダイアナ妃の事故死、成長してからの軍事訓練や社会人生活を始めるまでの間など王子の私生活に関する記事が2500件ほど掲載されていたと主張した。

さらにヘンリー王子とメーガン妃が、2020年に王室離脱し米国に移住して以来、ウィリアム皇太子との間に不信感を生じさせたとMGNを非難。同社が2003年に掲載した、ヘンリー王子とウィリアム王子(当時)がダイアナ妃の元執事への接し方をめぐり意見が対立したという記事について「兄弟の間に、不和の種が蒔かれ始めたことを示している」と指摘した。

MGNの弁護士アンドリュー・グリーン氏は、ヘンリー王子の電話が常習的どころか一度もハッキングされたという証拠はなく、ボイスメール(留守番電話)のメッセージを違法に聞いたと認めた人物の中に、王子をターゲットにしたと言った者はいなかったと主張した。

法廷でシャーボーン氏は、生前のダイアナ妃の携帯電話が『Daily Mirror』に盗聴された可能性についても示唆した。同氏はダイアナ妃がテレビ司会者マイケル・バリモアに送った手書きの手紙を読み上げ、2人の間で交わされた会話が同紙に掲載されたことに「ショックを受けた」といった内容が綴られていたことを明かした。

ヘンリー王子は6日に行われる裁判に出廷する予定で、証言台では長時間に及ぶ尋問を受けることになる。王室の上級メンバーが法廷で証言するのは、1891年以来のことだ。国王に即位する前のエドワード7世が、カードゲームをめぐる名誉毀損裁判の証人として証言台に立っていた。
(TechinsightJapan編集部 寺前郁美)

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