ピンク・リバティの新作は、幽霊の姉とその家族の物語

0

2023年06月07日 16:51  チケットぴあ

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

チケットぴあ

撮影:高木陽春
映画監督やドラマ脚本家としても活躍する山西竜矢が、自身の演劇ユニット「ピンク・リバティ」で新作を発表。ともに初参加となる森田想、岡本夏美を主演に迎え、『点滅する女』を6月14日(水)から上演する。そこで稽古中の山西、森田、岡本に話を訊いた。

新作誕生の経緯について山西は、「家族の話をやりたいというのと同時に、死んだ姉ちゃんの幽霊に憑りつかれた知らん女の人が来る、という設定を思いつきました。というのも人間ではない視点が入ることで、より人間が生々しく見えることってあると思っていて。すでに姉の千鶴と妹の鈴子のキャラクターはある程度固まっていたので、そこに合う、さらにお芝居も素敵なおふたりに声をかけました」と振り返る。

鈴子役の森田は「私自身、生粋の妹気質で」と切り出し、「その設定としてまず入りやすいと思いました。鈴子にはお姉ちゃんの死によって少しドライな部分があるのですが、それ以前の、彼女本来の温度感みたいな部分も出せたらと思います」と、役への考えを明かす。千鶴役の岡本は、「私がやる千鶴の妹は、想がやる鈴子以外には考えられないほど、まったくストレスを感じなくて!」とふたりの相性の良さを強調。さらに演出の山西やほかの共演者に対しても、「無理をしている瞬間がまったくない、本当に楽しい稽古場です」と笑顔を見せた。

稽古の感触を山西に訊ねた時も、「演出サイドが考えなければいけないことはまだたくさんありますが、キャストの皆さんは現時点ですでに面白いですし、素敵です」と絶賛。続けて「キャスティングやスタッフィングって根本的な演出だと思うんです。最初の読み合わせや顔合わせの段階で、『もう大丈夫やな』と思えるかどうかが大切だと思っていて」と、自分にとって座組の構成がいかに重要かを語った。

フラットな空気は演出家と俳優の間にも流れているようで、山西について岡本は「変な人です」と笑いつつ、「私も想も演劇畑ではないですが、山西さんも映像などいろいろなことをやられてきた人。だから常に味方でいてくれる気がします」と語り、さらに森田も「こちらの状況もすぐにキャッチしてくださり、とてもやりやすい環境を作っていただいていると思います」と山西への信頼の強さを感じさせた。

森田、岡本という若手を筆頭に、大石将弘、金子清文、千葉雅子ら演劇界の巧者も参加。「間口の広い作品」と山西も言うように、誰の心にも響く、そんな家族劇が期待出来そうだ。

取材・文:野上瑠美子
    ニュース設定