フィオレンティーナとウェストハムが激突! ECL決勝戦について知っておきたい9つのこと

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2023年06月07日 19:32  サッカーキング

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今季のECL決勝ではフィオレンティーナとウェストハムが激突 [写真]=Anadolu Agency via Getty Images
 日本時間6月7日の28:00(8日の4:00)にチェコの首都プラハで行われるヨーロッパカンファレンスリーグ(ECL)決勝戦では、フィオレンティーナ(イタリア)とウェストハム(イングランド)が対戦する。“ヴィオラ”と“ハマーズ”のどちらが勝っても久々のヨーロッパのタイトルとなるこの対戦に先立ち、様々なデータを紹介する。

[写真]=Getty Images、Icon Sport
■前回のヨーロッパのタイトルは1960年代

 欧州大会の決勝戦というのは両チームにとって頻繁にあるものではない。フィオレンティーナにとっては1989−90シーズンのUEFAカップ(現:ヨーロッパリーグ)でユヴェントスに敗れて以来のことだ。“ヴィオラ”が欧州主要大会の決勝で戦うのは今回が5度目。勝ったのは1960−61シーズンに第1回のカップ・ウィナーズ・カップの1度だけで、それがクラブにとって唯一の欧州でのタイトルとなっている。一方、ウェストハムは1975−76シーズンにカップ・ウィナーズ・カップの決勝でアンデルレヒトに敗れて以来の登場だ。最後に勝ったのは1964−65シーズンに同大会で1860ミュンヘンを破ったもの。“ハマーズ”は1999年のUEFAインタートトカップでも優勝しているが、こちらは優勝が複数クラブあるため、決勝戦という意味ではカップ・ウィナーズ・カップを最後とするのが一般的なようだ。

■対戦はこれが3度目

 ウェストハムの前身『テムズ・アイアンワークス』は1895年に創設され、フィオレンティーナもその約30年後となる1926年に誕生するなど。両チームともに古い歴史を誇っている。だが、これまでに両者が対戦したのはわずか2回のみ。1975年、現在はなくなったアングロ・イタリアン・リーグカップという大会をホーム&アウェイで戦い、どちらもフィオレンティーナが1−0で勝利を収めた。なお、アングロ・イタリアン・リーグカップは1969年から1971年、1975年から1976年まで行われ、イングランドのカップ戦(FAカップかリーグカップ)優勝チームとイタリアのコッパ・イタリア優勝チームが参加する大会。ウェストハムは1975年にFAカップを制し、フィオレンティーナは同年にコッパ・イタリアを制しての参加だった。

■悔しい思いをした両者

 フィオレンティーナがカップ戦の決勝戦を戦うのは、これが今シーズン2度目だ。ただ、5月24日に行われた今季のコッパ・イタリア決勝戦ではインテルに1−2で敗戦。ヴィンチェンツォ・イタリアーノ監督は「プラハではコッパ・イタリアの決勝とは異なる結末を迎えることができるか見てみたい」と“リベンジ”に燃えている。一方、ウェストハムは昨シーズンのヨーロッパリーグ(EL)準決勝でフランクフルトに敗戦し、欧州大会での決勝進出という“夢”にあと一歩届かなかった。その直後にキャプテンのイングランド代表MFデクラン・ライスが「我々は必ず戻ってくる」と宣言。コンペティションは違うものの、見事に有言実行を果たした。フィオレンティーナはセリエAで8位に終わり、ウェストハムはプレミアリーグで14位。ともに来シーズンの欧州大会に出場するにはここで勝つしかなく、クラブの命運も大きく変える対決となる。

■舞台はエデン・アレーナ

 決勝戦が行われるのはチェコの首都プラハにある『エデン・アレーナ』。スラヴィア・プラハが本拠地として使用しているスタジアムで、フィオレンティーナのチェコ代表MFアントニン・バラク、ウェストハムの同代表MFトマーシュ・ソウチェク、同代表DFヴラディミール・ツォウファルにとっては古巣となる。開催地について、バラクが「決勝がプラハというのは僕にとっては感慨深い。言葉を失うほど興奮している」と意気込むと、ソウチェクも「僕のキャリア最大の試合。ビッグゲームの経験はあるけれど、ヨーロッパのタイトルが懸かった試合は初めてだし、しかも会場は『エデン・アレーナ』だ」と張り切る。ツォウファルは「あまりに多くの人がチケットを頼んできたから、私だけで完売させられたよ」とジョークを交える余裕を見せ、優勝した暁にはチェコのビールをチームメイトに奢る約束までしているという。ちなみにチェコで欧州の主要大会の決勝が開催されるのは、これが初めて。3人とも思い出の地でタイトルを掲げる姿を見せようと、高いモチベーションで臨むことだろう。

■攻撃力が売りのフィオレンティーナ

 かつて“カテナチオ”の国として名を馳せたイタリアだが、フィオレンティーナは今大会で最も攻撃力の高いチームだ。14試合で36ゴール(1試合あたり2.6ゴール)は最も多く、これはチャンピオンズリーグ(CL)で最多のマンチェスター・C(31ゴール)をも凌ぐ数字となっている。また、シュート数(261本)と枠内シュート(94本)も大会最多。その中で最も存在感を見せているのはブラジル代表FWアルトゥール・カブラウだ。大会初ゴールはグループステージ最終戦まで待たなければならなかったが、そこから怒涛のゴールラッシュを見せ、現在7ゴールでバーゼルのスイス代表FWゼキ・アムドゥニと並び得点ランキングトップタイに位置している。データサイト『OPTA』によるとxG(ゴール期待値)は4.6で、22本のシュートは全てペナルティエリア内からのものだという。なお、アシストランキングでも“ヴィオラ”のコートジボワール代表FWクリスティアン・クアメとイタリア代表DFクリスティアーノ・ビラーギがともに5でトップタイとなっており、ウェストハムがこの攻撃陣をどう抑えるかは注目ポイントの1つだ。

■鍵を握るのは“タクティカルファウル”?

 フィオレンティーナの攻撃が危険なのは事実だが、ウェストハムも今大会27ゴールで“ヴィオラ”に次ぐ得点力を持ったチームだ。フィオレンティーナのイタリアーノ監督はウェストハムのカウンターに警戒感を示し、「彼らに危険なボールを与えないようにし、“タクティカルファウル”やタックルなどでカウンターを避けるようにしていく」と早めの対策を講じることを公言している。データを見るとイタリアーノ監督の心配も無理はない話だ。『OPTA』によると、ウェストハムは今シーズンのECL出場チームの中で相手のゴールから40m以内でのボール奪取が121回と最も多く、そこからのシュート(26本)も、自陣でボールを奪ってからのカウンターからゴール(3)も最多となっている。しかし、カウンターを未然に防ぐタクティカルファウルはカードが出ることも少なくはなく、同じ選手が何度もやれるものではない。やり方次第では決勝戦で数的不利になるという最悪の事態を招きかねないため、繊細なバランス感覚が求められるだろう。

■裁くのはスペイン人主審

 この試合の主審を務めるのはスペイン人のカルロス・デル・セロ・グランデ氏。同氏はマテウ・ラオス氏とともに今シーズン限りでラ・リーガの主審を勇退することが決まっている。最終節で担当を務めたレアル・ソシエダ対セビージャの試合前には、両チームの選手たちが花道を作り、同氏を迎える一幕もあった。なお、デル・セロ・グランデ氏はカードが多い傾向にある主審だ。同氏は今シーズンのCL6試合とECL1試合で主審を務め、28枚のイエローカードと2枚のレッドカードを提示。ちなみにECLの1試合は決勝トーナメントプレーオフ・ファーストレグのブラガ対フィオレンティーナ。その試合では55分にブラガのブラジル人DFヴィトール・トルメナが退場したこともあってかフィオレンティーナが4−0で勝利を収めた。“ヴィオラ”は同氏に良いイメージを持っているかもしれない。

■PK戦も見据えて

 5月31日に行われたEL決勝戦ではセビージャとローマが対戦し、PK戦までもつれこんだ末にセビージャが優勝を果たした。フィオレンティーナのイタリアーノ監督はPK戦の可能性について聞かれると、「練習の後、それを見据えて全員にPKを蹴らせた。冷静な選手が8、9人いるが、決勝でそういう展開になった時に誰が蹴る気になるかは見てみよう」としっかりと準備をしていることを明かした。一方、ウェストハムはECLの全試合でフランス代表GKアルフォンス・アレオラにゴールマウスを託してきた。だが、アレオラは11月に行われたカラバオ・カップのブラックバーン戦でPK戦になった際、8本連続で反対に飛ぶなど10本のPKを1度も止められず、チームも敗れていた。逆に普段は正守護神に君臨している元ポーランド代表GKウカシュ・ファビアンスキは、PKストップの名手として知られている。データサイト『Transfermarkt』によると、キャリアで67本のPKを経験し、その約30%となる20本をストップしている。仮にPK戦になった場合、今大会1分も出場していないファビアンスキが投入され、大きな役割を果たす可能性もある。

■予想オッズは?

 日本時間7日12時現在、英国大手ブックメーカーの『ウィリアム・ヒル』は、90分での勝者についてはフィオレンティーナとウェストハム、両者に「2.7倍」と全く同じオッズをつけている。なお、引き分けは「3.1倍」だ。ただし、全く違う予想もある。『OPTA』はスーパーコンピューターを使い、90分での勝率でフィオレンティーナを「47.6%」、ウェストハム「28.1%」、引き分けを「24.3%」と予想。完全に“ヴィオラ”が優勢だと見ているようだ。

(記事/Footmedia)

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