かわいいだけじゃない? 三菱「デリカミニ」で悪路も高速も走ってみた

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2023年06月19日 10:01  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
「やんちゃ坊主」なかわいいデザインで、これまで三菱自動車工業のクルマに興味を示さなかった人も引き付けている「デリカミニ」。予約開始から注文が殺到して滑り出しは成功した形だが、肝心の走りや乗り心地はどうなのか。試乗して確かめた。


○大径タイヤ装着の恩恵は?



デリカミニは三菱自動車の軽スーパーハイトワゴン。グレードは「G」「G Premium」「T」「T Premium」の4種類でTはターボエンジン搭載。各グレードで2WDと4WDが選べる。価格は180.4万円〜223.85万円だ。



試乗したのは「T Premium」の4WD。ボディカラーはカタログの表紙にもなっている人気色「アッシュグリーンメタリック」だ。外観を改めてじっくり眺めてみると、無骨ながらもかわいらしさがある。乗る前からワクワクさせられるクルマは久しぶりだ。



乗り込んで最初に感じたのは「高い」ということ。着座位置が高くて視界がよく、「運転しやすいぞ」とデリカミニが語りかけてきているようだった。視界の良さは「大径タイヤによるところが大きいと思います」と話すのは、三菱自動車工業 商品戦略本部 CPSチーム 商品企画の中村洋介氏だ。



「開発にあたって、さまざまなサイズを履き替えながら、デリカミニに最適なタイヤを選択しました。一般的な軽自動車には14インチのタイヤを装着していることが多いと思います。しかしデリカミニには15インチのタイヤ(165/60R15)を装着しました。これにより、車高がわずかに高くなったことで視界がよくなったと思います」


大径タイヤの恩恵はそれだけではない。最低地上高が上がったことで、段差のあるわだちや凹凸の激しい悪路、除雪されていない雪道などでもスムーズな走行が可能になったという。テスト走行を繰り返してチューニングした専用のショックアブソーバーも相まって、乗り心地や走行時の安定性などが大幅に向上しているそうだ。


あえて道路脇の縁石に乗り上げてみても、揺れは少ないように思えた。スーパーハイトワゴンとしては、かなり安定した乗り心地だ。



こうした点について中村氏は「大径タイヤ、専用ショックアブソーバーが運転のしやすさに大きく貢献しています。ボディサイズの小さい軽自動車には、いかに路面からのショックを吸収できるかが求められます。走行性能を高めるために、テストを繰り返しました」と、デリカミニの乗り心地や安定性に対するこだわりを語ってくれた。


○高速道路の直進安定性はどうなの?



アウトドアでの使用を想定したSUVの場合、悪路でのハンドルのブレを軽減するため、ハンドル回転時の遊びを大きくしていることがある。そうなると、高速道路上での直進安定性に欠けるというデメリットがある。デリカミニは、セダンやミニバンよりはハンドルに遊びがあった。その遊びがどう影響するのか、高速道路で確認してみた。


結果からいえば、デリカミニの直進安定性は全く問題ない。時速100キロでも、ほぼブレることなく安定して走行できた。道路にあるわずかなくぼみやへこみなどでもハンドルがとられることは少なかった。道路のつなぎ目でもブレや振動が少なく安定していた。

それと同時に驚いたのが、車内の静けさだ。時速100キロでのエンジン回転数は3,500rpm前後で、普通であれば決して静かとはいえない回転数なのだが、実際にはうるさいと感じなかった。本線車道流入時にアクセルを踏み込んだときに聞こえる軽自動車特有のエンジンの唸りも、かなり静かだったように思う。時速100キロで巡航中も、軽自動車にしてはロードノイズがかなり抑えられている。おそらく、大径タイヤや専用ショックアブソーバーの恩恵がこうしたところにもあらわれているのだろう。


○軽なのに悪路が得意?



「デリカ」を名乗っている以上、気になるのはデリカミニの悪路走破性だ。今回の試乗で積雪路やぬかるんだ道路を走行することはかなわなかったが、傾斜のある砂利道を走ることができた。



印象としては、振動が少なく無理なく走れるといった感じ。前述した大径タイヤや専用ショックアブソーバーだけでなく、前後輪でわずかに回転速度に差をつけ、4つのタイヤに常に駆動力を配分するフルタイム4WDによって、さまざまな悪路を快適に走破できる性能がデリカミニにはある。片輪だけが空転した場合には、そのタイヤにブレーキ制御をかけることで路面に接地している方のタイヤの駆動力を確保し、クルマの発進をサポートしてくれるグリップコントロールも頼もしい。

○内装に改善の余地あり?



完璧な1台だ、と言い切りたいところだが、改善してほしい部分もある。それは内装だ。外観のデザインはかなり凝っており、ワクワクする。ところが車内に乗り込むと、そのワクワクは半減してしまった。内装が普通だからだ。全体的にプラスチックが多く、標準仕様ではアクセントになるようなパーツがない。


例えばパワーウインドウスイッチにしても、エアコンのタッチ式温度調節スイッチにしても、いたって普通か、安っぽくさえ感じる。高級感を望むわけではないが、遊び心はほしかった。


USBポートが前席にない点も改善を望みたいところ。助手席の背面に1口あるし、ディーラーオプションで前席にも付けられるとのことだったが、最新のクルマなのであれば標準で用意しておいてほしかった。車内でスマホを充電したいのは、後席に座った人だけではないはずだ。


アウトドアの趣味を楽しむために買ったクルマだとしても、海や川、山へ行くためには舗装された幹線道路や高速道路を走行していくことになる。どんなに悪路走破性が高かったとしても、舗装路で快適に運転できなければクルマとしての魅力、商品価値は下がってしまう。その点、デリカミニはオン・オフの両方で快適に走行できるだけの性能を十分に備えていた。


デリカミニの受注台数は2023年5月25日時点で1.6万台。人気の理由は、背が高く安定性に欠けがちなスーパーハイトワゴンというジャンルでありながら、未舗装路でも不安なく走れて、高速道路でも快適に運転できる高い安定性と、やんちゃでかわいい外観を高い次元で両立しているからだとわかった。試乗してみて、このクルマの完成度の高さを強く実感した。



室井大和 むろいやまと 1982年栃木県生まれ。陸上自衛隊退官後に出版社の記者、編集者を務める。クルマ好きが高じて指定自動車教習所指導員として約10年間、クルマとバイクの実技指導を経験。その後、ライターとして独立。自動車メーカーのテキスト監修、バイクメーカーのSNS運用などを手掛ける。 この著者の記事一覧はこちら(室井大和)

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  • デリカミニ、こないだ初めて乗っている方を見ましたが、カッコ良かったです。自分が乗っているディズルークスも、三菱と共同開発した車なので走りや足回りは気に入っています。
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