スバル「インプレッサ」のモデルチェンジで「先代」の中古車が狙い目に?

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2023年06月21日 11:41  マイナビニュース

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スバルが「インプレッサ」のフルモデルチェンジを実施しました。新しいインプレッサも当然ながら魅力的なのですが、それと同時に、新型の登場によって比較的安価になった「先代の中古車」も大いに気になります。もしも今、あえて先代「インプレッサ スポーツ」を狙うとしたら、選ぶべきはどのグレードなのでしょうか? リアルな中古車事情に詳しい伊達軍曹さんに聞いてみました。


○「総額120万円前後」で好条件な1台が狙えるが…



2023年4月20日にスバルが「インプレッサ スポーツ」あらため「インプレッサ」を発売したことで、先代に相当する「インプレッサ スポーツ」(GT系/2016〜2023年)の中古車価格が比較的安価になってきている。具体的には車両価格で100万円前後、支払い総額で見ても120万円前後という格安予算にて、走行1万km台から2万km台の「1.6i-L アイサイト」というグレードが狙える状況だ。


しかし中古車というのは「とにかく安けりゃそれでいい」というものでもない。「安物買いの銭失い」という言葉があることからもわかるとおり、場合によってはある程度高めの予算を投じたほうが、結果として総合的に満足できる――ということもある。



はたして“旧型”となったインプレッサ スポーツの中古車は買いなのか? それとも大してお買い得ではないのか? 虚心坦懐に考えてみることにしよう。

○そもそも「インプレッサ スポーツ」とはどんなクルマか?



まずは現状把握である。最初にインプレッサ スポーツ(GT系/2016〜2023年)とはそもそもどんな車であったかを、端的にご紹介しよう。



「GT系」と呼ばれることの多い先代インプレッサ スポーツは、スバルが2016年10月に発売した5代目のインプレッサだ。新世代プラットフォームである「スバルグローバルプラットフォーム」を採用し、5ドアハッチバックである「インプレッサ スポーツ」のほか4ドアセダンの「インプレッサ G4」もラインナップした。


基本となるパワートレインは2Lまたは1.6Lの水平対向4気筒ガソリンエンジン+CVTで、駆動方式はFF(前輪駆動)とAWD(4輪駆動)の双方を用意。途中からは2Lエンジンにモーターを加えた「e-BOXER」というパワーユニットも追加した。当初のアイサイトは全車「ver.3」という世代である。



その後は2017年9月と2018年10月に少々の改良を行ったのち、2019年11月には大幅改良を実施。エクステリアデザインを変更するとともに、アイサイトをver.3から「ツーリングアシスト」に格上げした。



その後もさまざまな小改良や新グレードの追加などが実施され、2023年4月20日に現行型である「新型インプレッサ」にバトンを渡した――というのが、GT系インプレッサ スポーツの大まかな流れである。


○狙い目となるのは前期型の1.6Lまたは2Lエンジン車



そして冒頭でちらりと申し上げたとおり、2023年6月中旬現在、「総額100万円台前半で購入できる走行3万km台までの先代インプレッサ スポーツ」は、おおむね以下のとおりとなっている。


候補1|大幅改良前の1.6i-Lアイサイト


候補2|大幅改良前の2.0i-Lアイサイト


2019年11月以降の後期型は総額150万円以上となるケースが大半で、モデルライフの後半に追加されたe-BOXER(マイルドハイブリッド)やSTIスポーツは総額200万円以上となる。それらも魅力的ではあるが、「お手頃予算でインプレッサ スポーツを手に入れる」という本稿の主題からはいささか外れることになる。


○新型との性能差は「微差」ゆえに先代のコスパが光る!



現状把握が終わったということで、やっとこさ本題に入る。「総額100万円前半の先代インプレッサ スポーツはそもそも“買い”なのかどうか?」を考えるため、先代インプレッサの実力を「現行型インプレッサ」および「先々代インプレッサ スポーツ」と比べてみよう。



まずは現行型との比較であるが、これはもう当然ながら現行型インプレッサのほうがすべてにおいて明らかに優秀である。走りは上質であり、音も静かで、内外装もちょっとカッコよくなっている。


しかし、それらはすべて「微差である!」と言うこともできる。



現行型インプレッサの基本的なプラットフォームは先代インプレッサ スポーツと同じであり、パワーユニットも、先代の後期型と基本的には同じだ。もちろん「基本的には同じ」といっても各部は思いっきりブラッシュアップされているため、前述のとおり「現行型インプレッサのほうがすべてにおいて明らかに優秀である」という結果にはなっている。



しかし、同じプラットフォームかつ同じパワーユニットであるがゆえに、「新型は旧型の何倍も良くなっている」というわけでもないのだ。数値化しにくい話ではあるが、体感としては「新型のほうが10〜15%ぐらいイイ」というニュアンスである。



しかし、それでいて「価格」はずいぶん違う。ここまで述べてきたとおり、先代前期型の中古車であれば、走行2万kmぐらいのやつを総額120万円前後で買えるわけだが、現行型の新車を買うとなると、中間グレードのFF車であっても支払総額は300万円を軽く超える。中古車の(おおむね)3倍である。



仮に同じ金額を出すのであれば、それはもう言うまでもなく「現行型の新車」を選んだほうがいい。しかし「300万円以上VS120万円ぐらい」「性能差は体感で10〜15%ぐらい」という条件のもとで考えるのであれば、「先代の中古車」のお買い得っぷりは否応なしに光り輝いてくることになる。


○格安中古車としては魅力的な「先々代」だが…



お次は、先代GT系インプレッサ スポーツを先々代「インプレッサ スポーツ」(GP系/2011〜2016年)と比較してみよう。


……これはもう比べるまでもなく、先代GT系の圧勝である。



先々代であるGP系も決して悪い車ではなく、中古車価格の面でも「総額60万円から」という格安っぷりが大いに魅力的ではある。だが、この世代は前述した「スバルグローバルプラットフォーム」がまだ採用されていなかったため、乗り味は先代や現行型とはかなり異なる。まぁ先ほども言ったとおり悪い車ではなく、むしろけっこういい車ではあるので、「悪くない車を格安予算で入手したい」と考える場合にはナイスな選択肢だ。



しかし「いいモノをお手頃予算で入手し、日々シアワセをかみしめたい」と考えるのであれば、総額100万円以上を出してでも先代インプレッサ スポーツ(GT系)を選ぶことをおすすめする。

○1.6Lと2L、どちらがよりおすすめかと言うと…



最後に、総額100万円台前半で先代インプレッサ スポーツを狙う場合の2つの選択肢、すなわち1.6Lエンジンを搭載する「1.6i-L アイサイト」と2Lエンジンを積む「2.0i-L アイサイト」のどちらを選ぶべきか――という問題を考察して、本稿を終えたい。



この問題については「基本的にはどちらでもいいと思いますが、筆者のおすすめは、価格的に手頃な1.6i-L アイサイトです」ということになる。



動力性能も各種装備も、当然ながら2.0のほうが優れてはいるのだが、それは「大差がある」というほどのものではない。また、やや重さを感じる2.0より、軽快感を感じる1.6のほうが普段づかいには気持ちいいと思うから――というのが、筆者が1.6i-L インサイトを「どちらかといえば」のレベルでおすすめする理由だ。



とはいえ前述したとおり「基本的にはどちらでもいいと思います」というのが事の本質なので、内外装や基幹部分のコンディションと整備履歴の良し悪し、ボディカラーの好み、ご予算などを総合的に勘案したうえで、ご縁があったモノを選べばいい。



多少燃費性能に難はあるものの、先代インプレッサ スポーツはとにかく気持ちよく走ることができる、ナイスな実用車だ。その低走行良質物件を総額120万円前後で入手できたなら、それはまさに「いい買い物!」というほかない。



伊達軍曹 だてぐんそう 1967年東京都出身。外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、大手自動車メディア多数に記事を寄稿している。中古車選びの流派「伊達心眼流」の創始者(自称)。 この著者の記事一覧はこちら(伊達軍曹)

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