京都・建仁寺で、国宝名画と禅庭に出逢う旅

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2023年06月26日 10:01  オズモール

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オズモール

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◆京都・建仁寺で、躍動感あふれる名画と、静かな禅庭の美しさに出逢う/京都ノ彩リ、出逢ウ巡ル。

#京都ホテル  #京都レストラン
二十四節気×色をテーマに、京都在住の広報・PRとして活躍する西井さんが紹介する「京都ノ彩リ、出逢ウ巡ル。」。じっとりとした蒸し暑さから梅雨の訪れを肌で気づく「夏至(げし)」のころ。

薫風が吹き抜ける京都・建仁寺では、躍動感あふれる2人の絵師の傑作と、静謐な美しさをたたえる日本庭園に出逢えます。静と動の調和した心地よい空間で目を閉じれば、心が磨かれ、静寂までが聴こえてくるかのよう。


◆京都“夏至”ノ彩リ、出逢ウ巡ル。/建仁寺

建仁寺とは、その歴史は?
今回訪れたのは、京都最古の禅寺である建仁寺です。建仁二年(1202年)に源頼朝の長男である鎌倉幕府 第2代将軍 源頼家(よりいえ)が支援を行い、“禅とお茶”を日本に初めて伝えた栄西禅師(えいさいぜんし)によって開創されました。

創建当時は天台・密教・禅の三つの宗派を学べる道場でしたが、正元元年(1259年)には純粋な禅の道場となり、室町時代に入ると京都五山 第三位として幕府からの厚い保護を受けて大いに栄えたそうです。

建仁寺では、毎月第2日曜日午前7時半より、どなたでも坐禅と法話に参加できる機会があります。朝から心を磨き、爽やかな1日を始めることも、旅の楽しみかもしれません。



緑風が吹き抜ける方丈と、謎多き絵師が描いた襖絵
建仁寺の方丈は慶長四年(1599年)に、現在の広島県にある安国寺から恵瓊(えけい)が移建したもの。入母屋造りで、木の薄板を幾重にも重ねた“こけら葺き”の屋根が特徴の美しい禅宗建築となります。

方丈内部には、安土桃山時代から江戸時代にかけて活躍した海北友松(かいほうゆうしょう)の襖絵が飾られ、5本の名作を間近で見ることができます。



とくに客が最初に通される「礼の間」にある襖絵『雲龍図』は、北面に咆哮する龍と西面に睨みをきかす龍の2匹が圧倒的な迫力。

恐れさえ感じさせるような作風に、武家出身である海北友松の力強さが伺えます。※常設展示は複製となります。

現在に残される作品のほとんどは、狩野派から独立した60歳以降の作品であり、前半生については、東福寺の小僧として過ごしたかもしれないことと、海北友松の息子が描いた文書の一部でしか分からず、どのように人生を過ごしてきたのか、いまだに謎が多いようです。



独創性に溢れた“風神雷神”の色彩
琳派の祖 俵屋宗達の真作かつ晩年の最高傑作と称されている、日本を代表する国宝のひとつ『風神雷神図屏風』も必見です。

二曲一双の屏風全面に金箔が押され、右隻に風神、左隻に雷神が描かれています。本物は京都国立博物館に寄託されていますが、その高精細複製作品が展示されていて、本物と変わらない色彩に感動します。

とくに独創性が表れているのが“色彩”。古くから角が生えた鬼は赤や青で描かれることが多かったのですが、宗達はこれを“白と緑”で描くことで、文殊菩薩と普賢菩薩が乗る“獅子の緑”と“象の白”を表現したとされています。

なぜこのような色彩で描かれたのだろうと思いを馳せるのも、楽しみのひとつになりそうです。




禅の心に近づく「枯山水庭園」の悟り
方丈前にある、巨石に白砂、松や苔島を配した広大な枯山水庭園『大雄苑(だいおうえん)』は、中国“百丈山(大雄山)”の景色がモチーフ。植熊三代目・加藤熊吉によって昭和15年(1940年)作庭されました。

枯山水庭園を眺めるときは、ひときわ大きい主石を見つけることから始めるのだと教えてもらいました。

この主石が“人生の起点”となり、白砂に描かれた“砂紋”が波打つ様子や穏やかに流れる様子によって、いつしか景色として眺めていたものが、自分自身の心に重なって、“悟り”に結びついていくのだそう。

このような背景を知ってから眺めると、法堂や雄大な空も庭園のひとつとなり、眼前の景色を静かに眺め続けることができます。



静寂が聴こえるような「潮音庭」の美しさ
方丈に沿うように廊下を進むと、本坊中庭にある「潮音庭(ちょうおんてい)」が目の前に広がります。

中央に三尊石、その東には坐禅石、まわりに紅葉を配し静謐な美しさを追求した禅庭は、平成に作庭されたもの。大書院・小書院・回廊にわたる四方のどの場所からも眺めることができます。

この“四方正面”で、拝観される方にとっては季節・時間・天候によって変化する自分だけの“正面”に出逢えることも、また魅力のひとつです。
建仁寺
住所/京都市東山区大和大路通四条下る小松町
拝観時間/午前10時〜午後4時30分受付終了(午後5時閉門)
拝観料/一般 600円 中高生 300円 小学生 200円
※小学生未満のお子様は無料
※小学生以下のみでの拝観は不可
※障害者手帳をお持ちの方は無料で拝観可能(介助は有料)
アクセス/京阪電車「祇園四条駅」より 徒歩7分
阪急電車「河原町駅」より 徒歩10分


◆建仁寺の“よりみち”スポット/立礼茶室 然美

日本の美意識を現代に伝える、立礼茶室
建仁寺で庭を通して禅の心と触れ合った後は、花見小路の石畳をカランコロンと鳴らしつつ祇園のまちへ。

京都の人々が大切にしてきた町屋文化の原風景を進んでいくと、大正時代初期に建てられた町屋に数寄屋造りを調和させた建物。日本茶と菓子のペアリングコースをいただける立礼茶室「然美」が、姿を現します。

“立礼茶室”とは、近代茶道の先駆者とされる裏千家11代家元 精中宗室(玄々斎)が創案した椅子に座ってお茶をいただく“立礼式茶法”を、こちらの亭主Taiga Takahashi氏が再解釈した茶室のこと。



「日本古来の未意識を再び現代に甦らせたい」という、Taiga Takahashi氏のもてなしは、店内の工芸品ひとつひとつからも感じられます。

壁面に京都唐紙工房「かみ添」に特注した和紙を施し、立礼式茶法の特徴である椅子は「桜製作所」と共作。

また床においては“乱張り”という手法を用い、異なる細さの木を並べることで豊かな表情を作り出したのだそう。



訪れるたび新しい味わいと出逢える「月替わりの茶菓懐石」(5500円)は、老舗和菓子司の職人が創り出す伝統と革新が融合した5つの菓子に、厳選茶葉を使用した日本茶やカクテルをペアリングしたコース。

茶人の美しい立ち居・振る舞いから始まるもてなしに引き込まれ、“一期一会”の茶菓子と日本茶・カクテルに儚さを感じてみてはいかがでしょうか。
立礼茶室 然美
住所/京都府京都市東山区祇園町南側570-120 T.T 2F
営業時間/完全予約二部制13:00〜、16:00〜
定休日/なし
アクセス/京阪本線「祇園四条駅」より徒歩7分


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