「アレクサ、助けを呼んで!」6歳の娘がスマートスピーカーで母親の命を救う(スコットランド)<動画あり>

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2023年07月06日 05:11  Techinsight Japan

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娘のダーシーちゃんは「スマートスピーカー」を使って、病を抱えている母親のエマさんの命を過去2回も救っている(画像は『Sky News 2023年7月3日付「Glasgow schoolgirl saves mum by calling for help on Alexa device」』のスクリーンショット)
昨今、インターネットを介して音声操作に対応したAIアシスタント機能を持つ「スマートスピーカー」が普及しつつあるが、スコットランドで6歳の女児がスマートスピーカーを使って母親の命を救ったことが話題となっている。英メディア『The Mirror』などが伝えている。

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スコットランド、グラスゴー郊外ロブロイストン在住のエマ・アンダーソンさん(Emma Anderson、27)は、6歳になる娘のダーシーちゃん(Darcey)に、過去2度も命を救われている。エマさんは、15歳の時に肥大型心筋症と診断され、以来普通の人と同じように活動ができなくなってしまった。

医学辞典『MSDマニュアル』のウェブサイトによると、この疾患は心臓の下側にある2つの部屋となる心室の壁が肥大して硬くなってしまうもので、失神、胸痛、息切れ、動悸などの症状が見られ、場合によっては突然死に至る恐れがあるという。そのためエマさんは発作による突然死を防ぐため、胸に「植込み型除細動器」をつけていた。

それでもエマさんは時々失神したり胸が苦しくなることがあり、救急車を呼ばなければならないほど危険な状態の時もあったようだ。そんな彼女はダーシーちゃんに日頃から「ママは心臓が良くないのよ」と言い聞かせ、万一の時のために自宅に設置しているスマートスピーカーの「Amazon Echo」にダーシーちゃんが「アレクサ、助けを呼んで!」と呼びかければ、近所に住むエマさんの母親に電話がかかるように設定していた。

幼いダーシーちゃんはエマさんが教えたことをしっかり覚えており、エマさんの症状が危険な状態だと判断すると、即座に「アレクサ、助けを呼んで!」と呼びかけ、過去に2度もエマさんの命を救ったのだ。エマさんはダーシーちゃんについてこのように語っている。

「ダーシーは私のために何度かアレクサに呼びかけなければなりませんでした。場合によっては彼女が直接救急車を呼んでくれることもありました。そのとき私は本当にひどい状態だったので…。私は本当にダーシーを誇りに思っています。彼女は私の小さなスーパースターです。」

エマさんは心臓移植希望者として長い間ドナーを待っていたが、ある日の定期検査で心臓の状態が著しく悪化していることが判明し、緊急に心臓移植手術が必要となった。エマさんの名前は通常の待機リストからすぐに緊急移植リストへ移され、ドナーの心臓が入手できるまでの間、病院に入院することとなった。

ドナーを待つ間にもエマさんの心臓はどんどん弱っていき、ついには心臓が止まってしまわないように「大動脈内バルーンポンプ」を装着しなければならなかった。幸いにもその後すぐにドナーが見つかり、2022年4月にクライドバンクにあるゴールデン・ジュビリー大学国立病院にてエマさんの心臓移植手術が無事に行われた。

エマさんは手術後に病院で、スコットランドの歌手トム・ウォーカー氏(Tom Walker)の曲「The Best Is Yet To Come」を使って、当時の自分の心境を伝える動画をTikTokに投稿したところ、エマさんの動画に感銘を受けたウォーカー氏本人からビデオ出演のオファーを受けた。


エマさんは「(困難な状況に負けないように)人々を勇気づけるためにも、ロンドンに来てミュージックビデオに出演して欲しい」と頼まれたそうで、当時を嬉しそうに振り返った。しかしウォーカー氏の「最高潮はこれから来る」という意味の歌詞のとおり、彼女の幸運はこれだけに留まらなかった。健康状態が改善して生活の質も上がったことで、彼女は昨年7月にパートナーのコナーさん(Conner)と結婚に至ることが出来たのだ。

またエマさんはダーシーちゃんにとって普通の母親がしているような事が出来るようになったことで幸せを感じているようで、このように明かしている。

「心臓の移植手術を受けて以来、私は全く新しい人生を歩んでいます。ダーシーの学校まで歩いて迎えに行って、一緒に歩いて帰ってくる事ができるんです。イースター祭の休みの間もダーシーをスイミングプールに連れて行ったり、プレイパークやファームパークに一緒に行ったりと、以前はできなかった簡単なことができるようになったのです。私は今、ちゃんとダーシーのママでいられるんです。」

今回のダーシーちゃんのように、子供の親への愛情は危機が迫った時に大きな力を発揮することがある。2021年5月にはイギリスで、言語障がいのある4歳男児が発作を起こした母を救うために咄嗟の判断で「999」に緊急通報した。言葉に遅れのある男児は必死に『ママ、倒れた』『ママ、助けて』など、たどたどしい言葉でオペレーターに助けを求めていたという。また男児は、パトカーのおもちゃに『999』と書かれていたのを覚えていたことで緊急通報することを思いついたそうだ。



画像は『Sky News 2023年7月3日付「Glasgow schoolgirl saves mum by calling for help on Alexa device」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)

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