還暦で海外留学。大きなチャレンジを成功させるために必要なものとは?(後編)

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2023年07月13日 18:01  新刊JP

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『還暦の留学生』著者の松木さん(写真:本人提供)
刺激的な人生を送るためには、大きなチャレンジが必要だ。
そして、そのチャレンジの先には新たな自分が待っている。そうした変化にわくわくできれば毎日は豊かなものになるはずだ。

コンサルティング会社を経営する松木 梯さんは、息子の留学についていく形でアメリカに渡航。そして、60歳にしてアメリカ・カリフォルニアのアーヴァイン・ヴァレー・カレッジへの留学を果たす。長年の夢だった「海外留学」を成功に導いたのは、まさに成功哲学の実践だった。

今回はそんな松木さんに、チャレンジの記録がつづられた『還暦の留学生[文庫改訂版]』(幻冬舎刊)についてインタビュー。後編では異文化の中での生活についてお話を聞いた。

(新刊JP編集部)

■異文化の中で生活するために大切なこととは?

――松木さんは60歳でアメリカのカレッジに留学するという夢を叶えたわけですが、カレッジに通われていた中でどんなギャップを感じましたか?

松木:国籍や年齢のギャップはそんなに感じませんでした。それは自由の国アメリカというお国柄なんでしょうね。日本で私のような年齢の人が大学に通っていると目立つのかもしれませんが、アメリカはすべてを受け入れる寛容さがありました。

――カレッジでは様々な学生とコミュニケーションをされたと思いますが、印象深いエピソードはありますか?

松木:タイの高校を卒業してカレッジに入ってきた学生とよく話していたんですけど、彼は2年間のカリキュラムを終了したらUCLA(カリフォルニア州立大学ロサンゼルス校)に編入して、その後はハリウッドでスターになると言っていました。アメリカの外からカレッジに入っている学生たちはそうした大きな夢を持って来ていることが多くて、印象深かったですね。

――松木さん親子はカリフォルニアに住んでいましたが、そこでの日常生活のエピソードから、異文化の中に住むとはどういうことかということを知ることができました。生活面でもかなりの苦労があったかと思いますが、その中で異文化に身を投げることの良さ、注意すべき点を教えてください。

松木:異文化に身を投げることの良さでいうと、逆に日本の良さに気づけるということですね。私は今まで45か国に行ってきましたが、毎回そう思います。外国の文化や習慣を知ることが日本を知ることにつながるんです。だから、多くの日本人に外国を訪ねてほしいと思いますね。

一方で注意すべき点でいうと、他の国の文化を理解することがとても重要だということです。本の中でも書きましたが、アメリカではパブリックスペースで飲酒をすることは原則禁止とされています。日本のように軽い気持ちで家の玄関先でお酒を飲むのはNGなんです。ましてや道端で飲酒なんてもってのほかです。

だから、海外に行ったらその国の文化をしっかり理解して過ごすことが大切です。

――このインタビューの冒頭にもおっしゃっていた「郷に入っては郷に従え」ですね。

松木:まさにそうですね。「When in Rome, do as the Romans do. ローマにおいてはローマ人のようにふるまえ」とも言いますが、その通りだと思います。

――ここまでお話を聞いてきて、アメリカへの渡航は刺激的な時間だったことがうかがえます。ただ、このような大きなチャレンジは年齢を重ねるとなかなか難しいと思う人も多いかと思います。そういった方々に新たなチャレンジをするためのアドバイスがあれば教えてください。

松木:人生は一度きりです。そして、自分の人生が終わりを迎えるときに後悔したくないと誰もが思っているはずです。ただ、そうは思いながらも日々に流されていってしまいます。

会社を退職して、自由な時間がたっぷりあって、お金も若い頃と比べると多少の余裕はある。そんな状況なら、本当にやりたいことを形にできるはずです。でも、なぜそれをしないかというと勇気が足りないから。チャレンジには勇気が必要です。その一歩はもしかしたら、清水の舞台から飛び降りるような気持ちが必要かもしれません。ですが、まずは一歩を踏み出してみる。本の最後にも書きましたが、「No pain no gain」(痛みなくして得るものなし)です。

――松木さんはチャレンジにとてもポジティブですが、その秘訣はなんですか?

松木:これを成し遂げたらどんな人生が待っているだろうとイメージすると、わくわくしてくるんです。還暦でアメリカのカレッジに留学して、あれから10年経って70歳になるんですが、今でも「次はどんなチャレンジをしようか」と毎日考えています。この本も一つのチャレンジです。

新しいチャレンジに年齢は関係ありません。人間は心から老いていくと言いますが、たとえば65歳で定年退職をしたら、人生100年と考えれば余生は30年から40年もあるということになります。そう考えれば、できることはたくさんあると思いませんか?

だから、やりたいことがあるけどなかなか踏み出せないのであれば、それにチャレンジをして成功したらどんな人生が自分に待っているかをイメージする。そうするとわくわくすると思いますし、勇気が湧いてくると思うんですよね。

――まさに「イメージ力」ですね。では最後に、本書をどのような方に読んでほしいとお考えですか?

松木:やはり留学を考えている人ですね。少しでも参考になる部分があると思います。また、何よりも老若男女問わず、何かにチャレンジをするすべての人に読んでいただきたいですね。

ただ漠然と生きている人ってあまりいないと私は思っていて、人生は小さなチャレンジの連続でできていると考えています。朝起きて、顔を洗って、歯を磨き、ご飯を食べて、着替えて、電車に乗って、会社に行くという日々の日常は、結局自分の決断の結果の積み重ねの上に成り立っているのだと思います。

そうであれば、そこに小さなチャレンジを入れてみる。たとえば会社へ行く道を少し変えてみるとか、1つ前の駅で降りて歩いてみるとか、そういうことって誰でもできるはずですし、きっと皆さん小さなチャレンジを毎日の生活の中に取り入れているはずです。

ただ、それが留学であったり、事業を立ち上げるというような大きなチャレンジになると二の足を踏んでしまう人は多いと思います。でも、何事もやってみなければ結果は出ません。成功の反対語は失敗ではなく、何もしないことです。失敗をしても、それは成功の途中経過にしか過ぎないわけで、何もせずに後悔するような人生を送ってほしくはないので、そういったすべての人のチャレンジする気持ちを、本を通して感じて頂ければ幸いです。

(了)

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