新型「N-BOX」の車内はアイデア満載? ホンダにこだわりを聞く

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2023年08月05日 11:41  マイナビニュース

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ホンダの新型「N-BOX」は外観こそキープコンセプトだが、車内はいろいろ変わっている。新しいデザインや盛り込んだ工夫、遊び心あふれるアイデアなどが満載だ。気になるところが多かったので、新型N-BOXのCMFを担当したデザイナーに話を聞いてきた。


○オシャレなトレーは存在感抜群! でも何に使う?



新型N-BOXに乗り込んで真っ先に目が行くのは助手席の前にあるトレーだ。ノーマルバージョンはコルクっぽくておしゃれだし、カスタムでは石のような硬質な感じがクールな印象だ。このトレー、どんなイメージで採用したのか。本田技術研究所 デザインセンター CMFデザイナーの松村美月さんはこう語る。



「何か、自分のお気に入りのモノを置きたくなるようなスペースにしたかったんです。出窓のようなイメージで、そこにお花などを飾ったりする感覚です。目立たせたいという思いもあって、ほかの部分には使っていない樹脂を使用しました。ただ、樹脂の表面のシボはほかの部分にも使っているものにして、統一感も持たせています」


利便性重視の設備なのか、それとも乗る人の気分を上げるのが目的の設備なのか。そのあたりについては「どちらも兼ねています。機能と加飾を両立したトレーです」とのこと。置くモノについては「お気に入りのサングラスだったり、USBポートが近くにあるのでスマホでもいいですよね」という話だった。



ノーマルのベージュは触るとコルクのように少し柔らかそうで、カスタムの黒は硬そうに見える。同じ樹脂の色違いではあるが、見せ方を変えてノーマルとカスタムの差別化を図っている。カスタムの黒い樹脂は「木目調」ならぬ「石目調」と呼んでいるそうだ。樹脂なので「ガリガリやってもはがれにくいタフネスがありますし、粒々の模様が入っているので、汚れたりキズが付いたりしても、そこまで目立たない」ところも利点だという。


○リビングっぽい雰囲気をシボで表現



ノーマルN-BOXは「毎日すっきり使えるリビングライクなデザイン」がテーマ。リビングのような雰囲気を高めるべく、シボ(樹脂の表面に施す模様)にもこだわっている。ドアの内側などに使っているシボは「壁材のクロスを思わせるイメージ」で決めたそうだ。


今までのようなシボ(革のような表現のもの)もダッシュボードのところに使っている。こちらはこちらで「キズに対するタフネスがあったり、しっとり感があったりして」いいのだが、「より家っぽく」したいとの思いもあって、壁材のようなシボを新規開発したそうだ。


○グローブボックスの容量拡大! どうやった?



新型N-BOXではグローブボックスの容量が拡大しているが、これは前席のロングスライド機構をなくしたことで実現できたという。


ホンダがN-BOXの使い方を調べたところ、実際にロングスライド機構を(最大限に)使っている人はそこまで多くなかったそう。一方でグローブボックスは多くの人が使う収納スペースだが、これまではマニュアルを入れたら一杯になってしまうくらいの空間しか確保できていなかった。ホンダとしては「本当に使ってもらっているところ、多く使っているところをよりよくしたい」(松村さん)との考えから、ロングスライドをやめて、その分のスペースをグローブボックス拡大に振り向けたのだという。

○後席には子供目線の工夫が!



後席のシートを見ると、座面の先端だけ色がダークグレーに変わっている。これには「視覚効果」で車内を広く見せる狙いもあるのだが、別の理由もある。この部分は子供がクルマに乗り込むときや後席に座っているときなどに頻繁に触るところなので、汚れても目立たないよう色を変えてあるのだ。


後席のドア内側には、ボックスティッシュなどを入れて置ける収納スペースがある。この収納は中が見えるような構造になっているのだが、これも子供や子育て家族のことを考えた工夫だ。このスリットがあることで、子供は中に入っているおもちゃを目視できる。これにより、後席の子供が「お母さん、あのおもちゃが見当たらない!」とぐずることがなくなれば、運転している親も安心できる。そんな効果を狙ったそうだ。


この収納スペースの下には、横方向にたくさんの溝が入った部分がある。この溝は、子供がミニカーで遊ぶ際に、タイヤをはめて走らせるという使い方を想定して用意したとのこと。さすがはホンダ、子供はミニカーで遊ぶものと仮定してクルマ作りを進めているのが面白い。


N-BOXは初代が2011年に発売となり、今度の新型で3世代目となる。現行型(2世代目)は今でもかなり売れている人気モデルなので、フルモデルチェンジといってもガラッと変えるのは難しかったはず。そのあたりについて松村さんは、「変えすぎると受け入れられないというのはありました。今回は、実際によく使っていただいていて、便利だと思っていただけているところについてはよりよくしようと注力し、ノイズになっていた部分はそぎ落としてシンプルにして、もっと乗りやすく、ということを目指しました」と話していた。(藤田真吾)

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