【漫画】イラストレーターが騙されたSNS詐欺の手口とはーー体験談を綴った漫画に気が引き締まる

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2023年08月27日 15:11  リアルサウンド

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ももさん(@momo_imo_821)提供

 SNSを通じた詐欺の手口は多様化しており、被害に遭うリスクはいたるところに潜んでいる。SNSで作品を発表しているクリエイターも例外ではなく、イラストレーターとして活躍するももさん(@momo_imo_821)も、詐欺被害に遭ったひとりだ。しかし、ももさんはただでは負けず、被害金額を取り戻した上で、その手口と自身の経験を漫画にして発表。同様の被害を広げないよう訴えている。


(参考:SNS詐欺に遭った体験漫画を読む


 ももさん曰く、外国人と思われるアカウントから、ある日「300ドルで息子のためにペットの絵を描いてほしい」というイラスト作成の依頼があった。ただ、謝礼を受け取るためにオンライン決済サービスのビジネスアカウントを立ち上げる必要があり、そのためには200ドルを支払う必要があると説明を受けたという。冷静になれば詐欺と気づけたかもしれないが、翻訳アプリを使ったり、海外の友人と電話しながらの対応、さらに他の仕事も重なり、送金してしまったももさん。その後、相手からの連絡はパタリと途絶え、調べるなかで同様の被害が出ていることを知るのだったーー。


 ももさんは、持病の療養生活を漫画化し、同じ悩みを抱える人に寄り添いたいという目標を持つ、心優しいクリエイター。今回のケースはその優しさにつけ込まれてしまった部分がありそうだ。詐欺の手口と騙された理由、今後について話を聞いた。(望月悠木)


■英語でのやりとりに疲弊していた


――そもそも、PayPalのビジネスアカウントの立ち上げに200ドルは必要なかったのですね。


もも:必要ありません。大前提として私はやりとりをする際、ビジネスアカウントを作り終えていたのですが、それでも向こうは「まだビジネスアカウントの立ち上げに追加で200ドルの金額が必要」と言ってきました。また、被害後にPayPalに問い合わせた際、「そのような手続きの必要はない」と言われました。「200ドルが必要」というのは詐欺の手口だったと思います。


――今振り返ると、なぜ200ドルを払ってしまったのでしょうか。


もも:やりとりの中で「500ドル(依頼料300ドル+200ドルの補填分)はすでに振り込んだ」と言われたので、指定されたアカウントに振り込んでしまいました。ただ、実際に500ドルの振り込みは確認できず、そのことを伝えると「反映に時間がかかる」と言われてはぐらかされるばかりで……。


――詐欺被害に遭ったことに加えて、英語でのやり取りにかなり時間を奪われたことも精神的にしんどかったそうですね。


もも:そうですね。メール文章が英語なので、翻訳アプリを活用したり、海外移住している友達に翻訳をお願いしたりなど、いろいろ手間暇がかかりました。詐欺だと発覚して、やり取りするために費やした時間も全て無駄だとわかった瞬間はとても辛かったです。


■相手の力になりたいと思ってしまった


――振り返って詐欺被害に遭った要因としてどういったことが挙げられますか?


もも:優しそうな老婦人の画像のアカウントから可愛い柴犬の画像を送られ、「息子のためにイラストを描いて欲しい」と言われ、素直に「力になりたい」と思いました。やりとりもすぐに返信が来て、いわゆる定型文のような感じもなく好印象でした。


――最初の印象がとても良かったと。


もも:はい。やりとりを進めていくと、「海外在住のためココナラなど日本のサービスでは金銭のやりとりができない」と言われ、徐々にPayPalでやりとりするように怪しい方向へと誘導されました。ただ、別の仕事の傍ら、慣れない英語でのやりとりを半日間で100通以上も行ったため、私自身疲弊して判断力が鈍った部分も被害に遭った要因だと思います。


――「もっとこうしておけば被害に遭わなかったのに」と感じていることはありますか?


もも:私が普段使用している「ココナラ」や「メルカリ」であれば、ある程度運営側が守ってくれるシステムになっていいます。そういった既存の売買の仕組み以外で金銭のやりとりをする場合は、一度詐欺を疑ってみようと感じました。


 今回のケースではもう少し疑いを持って、ネット検索などして情報を集めておけばよかったです。「海外 柴犬 ペイパル」と検索すれば、私が遭ったような詐欺被害を注意喚起するページも見つかりました。それらを見ていればお金を送金することもなかったので。今後そういった依頼があった際には、一度キーワード検索をする習慣をつけようと思いました。


――最後に今後はどのように創作活動を行っていきたいですか?


もも:『ツレがうつになりまして』という漫画や映画がありました。自分も同じように精神疾患を持っており、そういった経験をいつかエッセイとして発信していければと思っています。まだまだ病気の波に振り回されながら生活をしていますが、着実に回復には向かっています。そんな療養生活を漫画にすることで、自分と同じような当事者やその家族の苦労に寄り添えるような作品が作りたいです。うつ病は本当に恐ろしい病気で、気付くと周りに誰もいない気分になり、さらには先のことが真っ暗に感じてしまいます。同じように悩む人たちのお役に少しでも立てたらいいなと思っています。


(取材・文=望月悠木)


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