東京都が"チルドレンファースト"の社会をつくる取り組み推進 - 都庁ではアンバサダー就任式を開催

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2023年08月29日 10:21  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
東京都は8月28日、都庁第一本庁舎にて「こどもスマイルムーブメント」のアンバサダー就任式を開催。こどもアンバサダーには村山輝星さん、アンバサダーには伊集院光さんら7名の著名人が就任した。東京都では今後、子どもの笑顔につながるアクションを積極的に展開していくとしている。


■こどもスマイルムーブメントとは?



冒頭、小池百合子都知事は「東京都ではチルドレンファーストという政策をとっております。その一環として2021年12月より、子どもの笑顔あふれる社会を目指した『こどもスマイルムーブメント』をスタートしました。社会全体で子どもを大切にする機運を高め、大きなムーブメントにしていこうという取り組みです。企業・NPO・学校・区市町村など、幅広い主体と連携しながら、子どもの笑顔につながる様々なアクションを展開していきます」と挨拶。


ムーブメントに参画する企業や団体は、食育やモノづくりを通して子どもの成長をサポートしたり、子どもの居場所づくりに取り組んだりと各自の強みを生かし、子どもの目線に立った活動を推進していく。こうした活動をさらに広げるため、都では子どもを大切にする企業団体同士の交流やコラボレーションへのサポートにも力を入れていく考え。また家族の時間を大切にするため、男女を問わず誰もが『育業』しやすい社会を目指した取り組みも行っていくとした。


■各アンバサダーが意気込みを語る



このあと、こどもアンバサダーに就任した村山輝星さん、アンバサダーに就任した伊集院光さん、尾木直樹さん、野口聡一さん、ハラミちゃんには、小池都知事から任命状が手渡された。そして都合により出席できなかった栗山英樹さん、谷真海さん、平井一夫さんからはビデオメッセージが寄せられた。



村山さんは、自分が笑顔になるときってどんなときだろう、と思いを巡らせたという。「私は自分の存在を周りに認めてもらえたとき、嬉しくなって笑顔になるんだと気が付きました。『あなたのおかげで私も頑張れた』とか『あなたがいたから成功した』などと言われると、私も誰かの力になれたんだって思って嬉しくなるからです。ほかの子どもたちも、みんな同じことを思うのではないでしょうか。そこで、子ども1人ひとりの存在や成長を認めてあげられるような、そんなムーブメントを皆さんと一緒に作り上げられたら良いな、と思います」と弾ける笑顔で話した。


伊集院さんは「最初にお話をいただいたとき、本当にボクで良いのかと思いました。子どもがおらず、子育てもしたことがありません。自分の子ども時代を振り返っても、登校拒否もしたし学校も辞めた。フラフラして、なんとかここに行き着いたという感じです。でも、今日出席された皆さんの顔を見て、自分が選ばれたワケもなんとなく分かりました。子どもたちの笑顔を増やそうという取り組みですが、世の中には何らかの理由で笑顔が絶えてしまった子どももたくさんいる。そんな子たちに、もう一度笑ってもらいたい、自分はそんな立場からサポートできるんじゃないか。ほかのメンバーみたいな活躍ができるか分かりませんが、もしかしたら、自分だから手伝えることもあると思います。色々と頑張りたいと思います」。


尾木さんは「ボクは元々目線が低いから、子ども目線が得意です(笑)。今週、すでに学校が始まったところもありますね。早く2学期が始まってほしい、早く友だちに会いたいと言う子どもがいる一方で、辛いなぁ、学校に行きたくないと思う子どももたくさんいます。そういう子たちの声にも、しっかり耳をそばだてて、たくさんの子どもたちを笑顔にしたい。人は、たとえウソでも笑うと元気が出てくるんです。元気が出てきて、免疫力もアップして、幸せホルモンもいっぱい出る。だからみんなが笑顔であふれるように、精一杯、頑張っていきたいと思います」。


野口さんは「今回、こうした大きな役目をいただいて、素晴らしいアンバサダーの皆さんと一緒に活動できることをすごく楽しみにしています。私は大人と子ども、という乖離ではなくて、大人だって夢は大事だし、子どもたちも社会に向けて『自分には何ができるだろう』って考える必要もあると思うんです。そういう意味では、大人も子どももお互いにしっかり敬意を持って接していけるように、その上で子どもたちの笑顔が絶えないような社会になると良いのでは、と思っています」。


ハラミちゃんは「私は小さな頃からピアニストを目指していましたが、あるときに挫折して、ピアニストの夢を諦めて会社員になりました。そこでもちょっと落ち込み、休職期間をもらって、なかなか笑顔になれなかった時期があって。そんなときに、仲の良かった会社の先輩に『都庁にストリートピアノがあるよ』と教えてもらったんです。そこで半年ぶりに引きこもっていた家を出て、ピアノに触れたんですね。その様子を先輩がiPhoneで撮っていて、それを見たら笑顔になっている自分に本当に驚いて。東京都さんがストリートピアノを置いてくださったから、私は笑顔を取り戻すことができました。今度は東京都さんと一緒に取り組んで、子どもたちの笑顔を守り、たくさんの笑顔を作っていく立場になりました」。


ビデオメッセージのなかで、栗山さんは「これからの時代はすべて、若い人たちが作っていきます。子どもたちには、そのまま純粋に元気よく成長して欲しいと思います。家族が子ども1人ひとりを成長させていく環境をつくっていくことは当たり前ですが、地域全体で子どもたちを育てていく、という繋がりも必要だと思っています。それは遊びであったり、スポーツであったりするでしょう。そうしたことにも目を向けて応援していきたい。子どもたちは、ものすごく大きな魅力を持っています。それをみんなで引き出していければと思います」。

谷さんは「私はこれまで、夢を思い描くことで自分自身の様々な試練を乗り越えることができました。夢というのは、本当に大きな力があります。これからの未来を担っていく子どもたちが大きな夢を持てるよう、社会全体がそんな夢をサポートできるよう、そうした社会になってほしいと願っています。笑顔あふれる社会、子どもたちが夢を持って叶えたくなるような社会を、皆さんと一緒に作っていけたらと思います」。



平井さんは「あらゆる子どもたちが、自分の将来に対して夢や希望を持てる。それが当たり前の世界になるように、全力でサポートします。子どもたちのために、子どもが中心となる社会を一緒に作っていきたいと思います」。

■こども記者から質問が……



東京都では取り組みの一環として、子どもの目線で新たな発見や魅力を発信する体験プログラムを実施している。この日は、公募によって選ばれた2名の"こども記者"から各アンバサダーに質問が寄せられた。


中学1年生の小林さんは「子どもが笑顔でいられるためのイチバンのポイントは何だと思いますか」と質問。これに対して、村山さんは「自分を認めてもらうこと、特に『頑張ったね』と結果を認められるよりも『頑張っているね』といままで努力してきた時間を認めてもらった方がより笑顔になれると思います」と回答。


野口さんは「子どもらしくいられる、屈託なく笑える、っていうのは大事ですよね。夢を持て、とはよく言われることです。そのときの夢は、押し付けじゃない夢。大人から押し付けられるような夢を追うのは、つまんないことだと思うんです。本当に自分がやりたいことを自由に追っていけるような、そういう社会になると良いのかなと思っています。ここに来ているアンバサダーの皆さんも、それぞれの夢を叶えてここにいると思う。自分の中から浮かんでくる夢を、ぜひ追いかけて欲しいと思います」。


尾木さんは「ボクは、お話を聞いてくれるお友だちに囲まれていると、なんだかホッとして、それで『もっと頑張ろうかな』っていう気持ちにもなれるんです。褒めてもらえるとニコッとします。だから、お話を聞いてくれる人がたくさん周りにいると良いなぁと思います」。



続いて、小学5年生の肥田木さんからは「大人のことは『カッコイイ』『優しい』と思って憧れることもありますし、ときには『面白い』と思い、怒られるときは『怖い』と思います。大人は子どものことを、どう思っていますか」と質問。


ハラミちゃんは「大人にとってお子様は、気付かせてくれる、学ばせてくれる、そんな存在です。大人になると『こうするのが得かな』とか『損するかな』とか、『周りの人にどう思われるんだろう』みたいな目線が気になったりするんだけど、お子様っていうのは本当に自分が心の底から楽しいこと、興味があることに一生懸命に向き合える。そんなところが素晴らしいな、っていつも思っています。私も大人になったけれど、しっかりと自分の奥から出てくるエネルギーとか"楽しい"ってことを忘れちゃいけないな、と思います。それに気付かせてくれる存在が、お子様だと思います」。



野口さんは「小学5年生から見ると、大人ってすごく大きいように見えるけれど、ほとんどの大人は小学5年生より賢くありません(笑)。中身は、そんなに変わらないんです。ボクたち大人も、かつては小学5年生だった。小学5年生も、やがては大人になります。そういう意味では、子どもでも社会のため持続可能な社会のために考えなきゃいけないときもあるし、逆に大人であっても夢をしっかり持たなきゃいけないときもある。お互いに刺激し合いながら、社会全体を明るい方向に、夢を持てるように、みんなが笑顔を保てるようにしていければ良いかなと思います」。



伊集院さんは「大人に憧れるときがあるって言ってくれて、なんかホッとするやら嬉しいやらです。実は、大人は子どもに憧れているんです。だけど大きな違いは、子どもたちはこのあと大人になれるけれど、ボクらはもうどんなに努力しても子どもには戻れません。だから、子どもたちに憧れるボクらは、子どもたちがより楽しく暮らせるように、頑張れるようにすごく力を入れるんです。ところが、これが難しい。頑張れ頑張れ、と言うことでプレッシャーをかけちゃう、頑張りづらくしちゃうこともある。大人も、人生で初めて大人をやっているので、うまくいかないこともいっぱいあるんです。でも、大人はみんな子どもたちに『頑張れ』と思っている。子どもに憧れているんだよ、ということはちょっと心のどこかで覚えておいてほしいです。オジサンたちの『頑張れ』が強すぎてキツイんですけど、ってときは言ってもらえたら。それはもう、憧れすぎてそうなっちゃってることなので」。

■スマイルあふれる東京都に



最後に、アンバサダーの活動について紹介があった。尾木さんとハラミちゃんは、すでに東京都のWebサイト「こども・子育てお悩み相談室」に出演中。そして村山さん、尾木さん、野口さんは9月18日(祝)に開催する「こどもスマイル大冒険スペシャル」に出演が決定しているという。なお、同イベントはオンライン配信も予定しており、全国各地から視聴できるとのこと。さらに村山さんはPR動画、ポスターへの出演、そして伊集院さんはラジオCMの出演を予定しているとした。


閉会の挨拶で、小池都知事は「アンバサダーに就任の皆様のメッセージは1つ1つに重みがあり、多くの方の心に響いたのではと思います。そして、こども記者の皆さんも素晴らしい質問をしてくれました。アンバサダーの皆さんも、一生懸命に答えてくださって。こどもスマイルムーブメントは、子どもがスマイルになると大人もスマイルになるんだな、ということを改めて思いました。フランスの作家に『星の王子さま』を書いたサン=テグジュペリという人がいます。その作品のなかには『大人もみんな子どもだったんだよ』っていう文章があるんですね。みんな、昔は子どもだった。そういう子ども時代を思い出しながら、子ども目線に立って、子どもたちはどうやったらスマイルになれるのか―――。アンバサダーの皆さんにもこれから協力いただいて、スマイルがあふれる東京都にしていきたいと考えております」と笑顔で結んだ。



近藤謙太郎 こんどうけんたろう 1977年生まれ、早稲田大学卒業。出版社勤務を経て、フリーランスとして独立。通信業界やデジタル業界を中心に活動しており、最近はスポーツ分野やヘルスケア分野にも出没するように。日本各地、遠方の取材も大好き。趣味はカメラ、旅行、楽器の演奏など。動画の撮影と編集も楽しくなってきた。 この著者の記事一覧はこちら(近藤謙太郎)
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