『プロスピ』で二刀流育成に挑戦!ゲームでも実感する「大谷翔平のとてつもない凄さ」とは?

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2023年09月11日 07:11  ベースボールキング

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ゲームで“二刀流”の難しさを体感
◆ 野球ゲームの移り変わりから見るプロ野球史〜第32回:プロ野球スピリッツ2021

 「治ったんですか? 大谷」

 先日、スポーツ新聞を読みながら髪を切ってもらっていたら、美容師が手を止めて一面の「大谷出場可能」という見出しに反応した。

 右脇腹は軽症だったらしいと伝えると、「野球はそんなに見ないけど大谷は好きなんです」と彼女は答えた。


 毎朝テレビの映像で、スマホアプリの速報で、または仕事から帰宅した夜のニュースで大谷の活躍を楽しみにしている人は多いだろう。

 これだけ人々の日常に密着したプロ野球選手は、長い球史でも昭和の長嶋・王、平成のイチロー・ゴジラ松井、そして令和の大谷翔平だけである。

 だから、右肘の靱帯損傷というニュースが出た時は、まるで自分の当たり前の日常の一部が失われてしまったように気持ちが沈んだ。そして、大谷翔平がやっている異次元の二刀流のハードさを再確認するわけだ。

 というわけで、今回はニンテンドースイッチ『eBASEBALLプロ野球スピリッツ2021 グランドスラム』の野球人生を疑似体験できる「スタープレイヤー」モードで、二刀流選手がどれだけ難しいことなのか挑戦してみよう(なお、本題とズレるので最強選手を作る的なゲーム攻略サイトの類いは一切見ないでプレイ)。


◆ 最初にぶつかる二刀流の“壁”

 基本設定は西宮生まれの父親が松永浩美と山田久志のファンで、選手の名前は「令和浩美」、18歳。松永と同じく伝説の「背番号02」と右投げ両打ちに、山田ばりのアンダースローでプレー。

 身長203センチの巨漢で、プロレスラーのザ・ロックに憧れて筋トレに励みスキンヘッドに。しかもDHのないセ・リーグの巨人所属で、日本ハム時代の栗山監督がルーキー大谷を見て「大型ショートも面白いかも」と言っていたのを受けて、投手以外では遊撃ポジション適性……といきなりめちゃくちゃ難易度の高い二刀流設定でスタートだ。

 ちなみに、スタープレイヤーモードで二刀流挑戦が可能になったのはプロスピ2015から。大谷の出現は野球ゲームの常識すらも変えたのである。





 まずプロ1年目の3月、原辰徳監督から「お前さん、二刀流をやってみないか」と打診され快諾。ただ、二刀流は投手起用ランクと野手起用ランクを両方上げる必要があり、先発以外の中継ぎや抑え起用はできず、二軍に落ちると投手のみのプレーと縛りも多い。

 二刀流でいきなり直面する問題が、練習の難しさだ。当然、人間だから時間と体力の限界値がある。このモードでは練習法が3つ設定できるが、ルーキーイヤーから投打をバランスよく均等に鍛えるというのが難しい。

 なので、最初は選手の長所を重点的に伸ばす練習法になってくる。令和浩美の場合は、徹底的にパワー系強化トレーニングを優先させた。

 ゲームが進むにつれ、チームメイトから話しかけてきて、交友を深めることができる。開幕一軍入りを果たすと、クローザーの大勢から食事に誘われ、麻婆豆腐を食べたらなんと10万円の出費。さすが日本代表選手、行く店のレベルが違うぜ……と震えていたら、ゲームを勧められたので、30万円出して70インチの液晶テレビを購入した。





 以降はゲーム好きのチームメイトと交流を図り、親しくなれば先輩の持つ特殊能力を身につけられる。ゲーマーで知られる丸佳浩からは「高弾道」を伝授され、徐々に打球が上がるようになった。シーズン中のオフ日は、スポーツ新聞記者やデータ解析会社の社員とも交流。普通のプロ野球選手の日常を体験できるが、肝心の野球の方が難しい。

 二刀流育成を焦って、「強めに練習」を設定するとすぐ違和感を訴え不調に。1年目の22年シーズン、打撃の方は77試合で打率.321、10打点と上々の出来も、投手の方は7月1日の広島戦でプロ初勝利を挙げたが、16試合で1勝6敗、防御率6.00。途中2度の二軍落ちも経験する。

 140キロ台中盤の直球とほとんど曲がらないスライダーのみという投手能力の停滞に加え、もちろん守備力を上げる練習をする余裕がなく、1年目の終盤には「守備負担の大きい遊撃希望は無謀だった。そりゃあ大谷さんも基本DHだよな……」と今さら気付く令和浩美であった。


◆ 意外なところで気が付く大谷翔平のスゴさ

 だが、明るい兆しもあった。スポーツショップ店員との打ち合わせで、女性社員・似鳥沙也加と出会うのである。

 「もしご迷惑でなければ、連絡先を渡してもいいですか?」と猛アタックされ、デートに誘うと「車を持っていないんですか?」と車の中なら目立たないからと強引に車購入を勧められる。

 今の時代、球界もコンプライアンス的に色々と気をつけた方がいいんじゃ……と思いつつ、とりあえずすぐさま500万円をぶっこみ国産車を購入。無事デートにこぎつけ、部屋にも呼び、思い切って告白して、沙也加さんが彼女になったのであった……って俺はいったい何のゲームをしているんだろうか?とふと気付いたらプロ2年目の3月に突入していた。





 リアルだ……。練習設定は適当に流して、女の子を追いかける誘惑の日々。本業の野球どころじゃなく、まさに典型的な遊びにうつつを抜かす若手プロ野球選手である。あらためて、日本ハム時代に先輩選手から飲みに誘われても、「食事は行きますが、飲みには行きません」と断固たる態度で断り、練習に励んだ大谷翔平の意志の強さをリスペクトだ。

 とか言っている内に、なんと巨人はCSで敗退した責任を取りタツノリが監督辞任して、桑田真澄新監督、内海哲也投手コーチの新体制でリスタート。ちなみに、桑田監督は18歳のときに目標を聞かれ、「笑われるかもしれませんが、2ケタの勝利をあげ、打率が3割、ホームランをシーズン10本打てる投手です」と答えた二刀流を先取りした選手でもあった。





◆ 「漫画のような」「ゲームのような」を超越した存在

 令和浩美の2年目、23年シーズンは5月のDeNA戦でプロ初アーチを放ち、95試合で打率.330、2本塁打、24打点と代打の切り札として活躍。

 しかし、投手ではスタミナ不足が露呈し、25試合で3勝7敗、防御率4.11。夏には彼女の沙也加にプロポーズするも「浩美さんがチームの中心選手になった時、このプロポーズを受けたい」なんてやんわり断られ、未来の姉さん女房に上手くコントロールされる20歳のヒロミくんであった。





 そして迎えた3年目、ついに野手として飛躍する。開幕早々に坂本勇人が故障離脱、史実で活躍する門脇誠はこのゲームにはまだいないため、令和浩美が遊撃レギュラー出場するケースも増えた。

 守備面はミスが目立ったが、序盤に一時は村上宗隆とホームランダービーを争い、ペナント中盤には4番・岡本和真のあとの5番を任せられる。119試合で打率.365、25本塁打、57打点。投手登板翌日は強制的に休養日のため、規定打席にこそ届かなかったが、驚異のOPS1.167を記録する。

 一方で投手では25試合で1勝2敗、防御率3.74と伸び悩んだ。チームは2位だったが、オフの契約更改では8300万円アップの年俸1億1000万円を提示され、さらに将来の結婚資金も考え、データアナリストから入手した詳細なデータを持ち出し1000万円の上積みに成功。年俸1億2000万円でサインした。





 ついに勝ち取った1億円プレーヤーの称号。同時に思った。自分は投手じゃ先が見えたから、野手一本で勝負したいなと。正直、打者として成績を残せば残すほど、投手登板や練習が足枷になっていたのも事実。その分、弱点の守備や走塁練習に励みたい。

 ゲーム上のルールでは、「二刀流をやめたら投手専念」という選択肢しかないが、プロ3年間二刀流に挑み、「俺は日本一の打者を目指す」という結論に達して、桑田監督に野手専念を申し出る令和浩美であった。

 球団側も大黒柱・岡本和真のメジャー移籍に備え、この男を次期4番候補として起用したい思惑があった。いったい、令和浩美はどんな大打者に成長していくのだろうか? 

 というわけで、後半の結末はやや妄想が入りつつ、スタープレイヤーモードを終えたわけだが、例えプロスピの二刀流挑戦でも、大谷のようにメジャーで2ケタ勝利に40本塁打をクリアという投打で超一流レベルは、尋常じゃなくハードルが高いことを痛感した。

 よく「漫画のような」とか「プレステのゲームのような」とその規格外のプレーが表現されるが、ある意味、大谷翔平はすでに漫画もゲームも超えているのである。


文=中溝康隆(なかみぞ・やすたか)

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