冨安健洋、アーセナルで学んだ「試合を殺し切る」重要性…欧州勢に連勝も「当たり前になるべき」

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2023年09月13日 03:18  サッカーキング

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冨安健洋(撮影は9日のドイツ代表戦) [写真]=Getty Images
 日本代表は12日、キリンチャレンジカップ2023でトルコ代表を4−2で下した。これで9日に行われたドイツ代表との国際親善試合(○4−1)に続き、2連勝を飾って欧州遠征を終えることとなったが、今回79分からピッチに送り出されたDF冨安健洋(アーセナル/イングランド)はトルコ代表戦の内容と結果には決して満足していない。

 日本代表は15分にMF伊藤敦樹(浦和レッズ)が左足で強烈なミドルシュートを突き刺して先手を取ると、28分にはMF久保建英(レアル・ソシエダ/スペイン)の放ったミドルシュートのこぼれ球をMF中村敬斗(スタッド・ランス/フランス)が押し込んで追加点を記録。36分には高い位置でボールを奪ったDF毎熊晟矢(セレッソ大阪)の折り返しから中村が決めてリードを広げた。

 だが、ここからは日本代表にとって苦しい時間帯が続いた。自陣に押し込まれる中でなかなか保持の時間を作れず、自陣から抜け出す際にもロングボールを拾われる場面が目立っていく。前半終了間際にセットプレーから1点を返されると、61分にはFWベルトゥ・ユルドゥルム(レンヌ/フランス)にゴールを許して1点差まで迫られたが、75分にコーナーキックの跳ね返りを拾ったMF伊東純也(スタッド・ランス/フランス)がスピードに乗って自らボールを持ち運び、PKを獲得。このPKを伊東自身が決め、勢いに乗っていたトルコ代表にトドメを刺した。

 終盤まで外から試合を見ていた冨安は「間違いなくちょっと緩みは出ましたよね」と振り返る。所属クラブのアーセナルでは主導権を握る試合がほとんどの中、冨安が常に言われているのは「試合を“殺し切る”」という言葉だ。「アーセナルでも同じような展開で、前半の早い時間帯に2−0とかになった時、ちょっと緩みが出て結局2−1とかで終わって、後味の悪い試合も少なくはないです。試合を殺し切ること、3−0から4−0にして決め切るところ、あとは緩みを出さないところはやっていかなければなりません」。このような言葉で気を引き締めた冨安は、実際に試合終盤にピッチに送り出されると、守備陣に安定感をもたらして“逃げ切り”に貢献した。

「ちょっとケガで何人か交代するアンラッキーな日ではありましたが、常に準備はしていましたし、見てもらったらわかるように締める時間帯だったので、しっかりと(出場してから)ゼロで抑えることを意識して入りました」

 トルコ代表戦を4−2で勝利し、9月の欧州遠征を2連勝で終えることとなったが、冨安に気の緩みは見られない。“ヨーロッパ勢”相手の2連勝だが、冨安に言わせれば「僕らにとってはそれが当たり前になるべき」だからだ。「ドイツ戦の後ほどスッキリした感じはなかったですし、後味が悪いとまでは言わないですけど、完勝ではなかったです。というよりは自分たちが難しい状況を招いた。ゲームマネジメントは今日の試合はうまくいかなかった」と課題を口にした。

 だが、完勝ではなく課題が見つかったトルコ代表との一戦をポジティブに捉えている部分もある。「僕だけでなく、他の選手たちもスッキリと勝ったわけではないという感覚を持っていることに間違いはないです」と話すと「そういう意味では良い状況かなと思っています。勝てば良いのではなく、より上を目指しているからこそ、そういう空気が出てくるんで」とチームの状況を明かす。成長を求めるチームだからこそ、ドイツ代表とトルコ代表に2連勝して慢心するのではなく、今後も常に勝利した上で課題を抽出していく重要性を主張した。

「もちろん、ゼロで抑えて4−0や5−0で勝てれば良かったですし、今のチームはそれができる力を持っていると思います。より高いところを目指していきたいですし、この期間中に勝ち癖をつけるというところで、ワールドカップまで3年ありますが、全部勝てればいいですし、それを目指さなければいけないと思っています」

 そして、日本代表が「勝ち癖」を身つけるために、冨安はそれぞれの選手が「代表に来た時に頭のスイッチを切り替えてやるべき」だと話す。その理由については「選手によってチーム内での立ち位置、チームのリーグ内での立ち位置も変わってきます。主導権を握るチームなのか、我慢しながら勝ち点を拾っていくチームなのかって部分はそれぞれで違うので」と説明。「選手それぞれが色々な経験をして、また代表に来て、今後もワールドカップに向けて準備していければいいなと思っています」と話した冨安も「僕も含めてしっかりと試合に絡んでいく必要がある」という言葉の通り、代表での活動が終わればアーセナルでの激しい定位置争いが待ち受けている。

 この後、アーセナルはトッテナムとのノースロンドン・ダービーやマンチェスター・シティとの一戦を控えており、7シーズンぶりに参戦するチャンピオンズリーグ(CL)も開幕するなど、過密日程の中で重要な試合が続いていく。冨安はこれまで任されてきた両サイドバックだけでなく、センターバックでの出番もあるかもしれない。10月のインターナショナルマッチウィークまでの7試合を、冨安はどのように捉えているのだろうか。

「次の代表まで多分7試合くらいあって、CLも入ってくるのでタフな日程にはなりますが、まずはしっかりとフィットした状態でいることを最優先します。そして、代表とアーセナルとではサッカーがまた変わるので、その中で高い要求に応え続けることが必要ですし、試合に絡んでいけるようにやっていきたいです」

 トルコ代表との一戦を終え、日本代表の9月の活動は一旦終了する。ドイツ代表戦で圧巻のパフォーマンスを見せ、トルコ代表戦では終盤からの投入で落ち着きをもたらした冨安は、所属クラブのアーセナルで10月までにどれほどの進化を見せてくれるだろうか。

このニュースに関するつぶやき

  • 勝ったのに閉塞感があったのは、「緩み」だったんだと理解できた。日本は「サッカー選手」は多いけど、「勝負師」がいないのでゲームマネージメントが難しい。監督も「勝負師」タイプでないし。
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