テスラの次に売れてる? ボルボの電気自動車「XC40」はどう進化したのか

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2023年09月13日 11:41  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
ボルボ・カー・ジャパンによれば、同社が販売する「XC40」は日本でテスラの次に売れている輸入電気自動車(バッテリーEV=BEV)なのだという。どんな魅力があるクルマなのか。最新モデルはどんな進化を遂げているのか。後輪駆動化の理由は? 実際に乗って確かめてきた。


○後輪駆動化の効果は?



「XC40 リチャージ(Recharge)」はボルボのSUV「XC40」のBEVバージョン。2018年に日本で発売となったガソリンエンジン搭載モデルのXC40は、「日本カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞するなど高い評価を受けたモデルだ。リチャージは2022年7月に日本デビューを果たした。



XC40 リチャージの最新版となる2024年モデルでは、これまで前輪駆動だった駆動方式を後輪駆動に変更している。バッテリーの容量は69kWhから73kWhに拡大。従来は160km/hだったスピードリミッターを180km/hに変更するなど、性能向上を果たしている。試乗した上位グレード「XC40 Recharge Ultimate Single Motor」は、ピクセルLEDヘッドライトが標準装備となる。


普段から前輪駆動と後輪駆動を乗り比べる機会が多い筆者だが、実際に後輪駆動となったXC40 Rechageを試乗しても、いわれなければ変化を実感するのは難しいというのが正直なところだ。とはいえ、後輪駆動になったことで、よりクイックなハンドリング、機敏な操舵を実現しているという。カーブなどではステアリング操作が鋭くなり、アンダーステアが低減するというメリットもある。大柄なSUVやミニバンなどにありがちな応答性の悪さはなく、路面の情報をダイレクトに読み取れるスポーティーな走行体験が得られた。



BEV特有のモーター音がほとんど聞こえてこない点も、後輪駆動化の恩恵だろう。アクセルペダルを思いっきり踏み込みこんでも、モーター音は遠くの方からわずかに聞こえてくる程度。そうでもなければ車内は極めて静かだ。



後輪駆動についてボルボ・カー・ジャパンの商品担当は、「駆動方式の違いを実感するのは難しいと思いますが、これにより静粛性や走行性を高められるというメリットがあります。後輪駆動化は正常進化と考えてください」とする。


車体の安定性もレベルが高い。車体の底部(床下)に敷き詰めた容量73kWhのリチウムイオンバッテリーにより低重心なXC40 リチャージは、急なカーブでも大きく揺られることなく、安定して曲がってくれる。バッテリーが床下にあるため、トランクスペースの荷室がしっかりと確保されている点も嬉しい。


車内の質感の高さにも言及せずにはいられない。



ボルボではリサイクル素材を積極的に採用し、クルマの製造による環境負荷の低減を進めている。「高級車といえば本革シート」という先入観がある中、ボルボはレザーを一切使用しない「100%レザーフリー」を達成。それなのに、シートは本革かと勘違いしてしまうくらい上質だ。サステナビリティと美意識、この両方を兼ね備えたシンプルなデザインは、スウェディッシュ・デザインの真骨頂といえる。


○ワンペダルは路地裏でこそ真価を発揮



XC40 Rechageは「ワンペダルオート機能」を搭載している。ワンペダルとはつまり、アクセルペダルのみで加速と減速を行える機能のことだ。最大の特徴は、3つのモード設定によってクルマを自在にコントロールできる点だろう。モードを「On」にしてアクセルペダルを離せば、強めの制動がかかりブレーキを踏まなくてもクルマが完全に停止する。「Auto」にすれば、前を走るクルマとの車間距離を考慮し自動で制動がかかる。「Off」にすれば制動はかからなくなる。


実際にワンペダル走行を試してみたところ、オート機能を「On」に設定しておいたら、クルマに乗り込んでから目的地に到着するまで、一度もブレーキを踏まずにたどり着けてしまった。アクセルペダルを離すだけで減速、停止ができるため、ブレーキペダルに踏みかえる必要がなく、足も疲れない。



この機能が真価を発揮したのは路地裏だった。なぜなら、路地裏では道幅の狭いところで対向車とすれ違ったり、電柱を避けたり、飛び出してくる自転車や歩行者を警戒したりといったように、絶えず加速と減速を繰り返さなければならないからだ。徐行で走り続けるときにも、アクセルペダルをわずかに踏み込み続ければ時速5〜10km/h程度で巡航することは容易だった。。


ボルボは2025年までに新車販売の50%をBEVにするという目標を掲げており、今から7年後の2030年にはBEV専業の自動車メーカーになることを志向している。XC40 Rechageはボルボの電動化の先陣を切る1台であるといえる。



ちなみに筆者はガソリン車が大好きなのだが、そんな自分でもXC40 Rechageの乗り味に満足できたことは付け加えておきたい。



室井大和 むろいやまと 1982年栃木県生まれ。陸上自衛隊退官後に出版社の記者、編集者を務める。クルマ好きが高じて指定自動車教習所指導員として約10年間、クルマとバイクの実技指導を経験。その後、ライターとして独立。自動車メーカーのテキスト監修、バイクメーカーのSNS運用などを手掛ける。 この著者の記事一覧はこちら(室井大和)
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