iPhone 15シリーズの4台(無印/Plus/Pro/Pro Max)を、9月22日の発売日に先んじて試用することができたので、新しく設けられたUSB-Cコネクターに何をつなげることができるか試してみた。
【画像はこちら】iPhone 15/ProのUSB-Cと接続できるデバイスたち(他12枚)
結論からいえばかなり便利になるのだが、動作しないものもあり、その理由がよく分からなかったりもする。そのあたりは、今後知見が増していくことで利用できるようになったりするかもしれない。筆者の知識不足という点もあるかもしれない。とにかく、USB-C接続まわりは難しい。
※本記事は、9月22日の発売日の前にAppleから借りた端末を元に執筆している。新しいOSの利用についても許可を得ている。
●まずはUSB-C規格についての基礎知識
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というわけで、まず新しいiPhone 15シリーズがLightningコネクターに代わって採用したUSB-Cコネクターについて簡単に説明しておこう。
USB-Cというのはコネクターの規格で、このコネクターを介して充電したり、データ通信したりする。ただしその「用途」によって、さまざまな規格があり、両端に接続されるデバイスと、ケーブルがその規格に適合していないと望んだ結果が得られない。例えば、通信速度の速いデバイス同士をつないでも、間のケーブルが規格に適合していないと、速度が出ないということもある。
電源に関してはiPhone 15シリーズは全てUSB-PD規格で27Wまでの充電が可能になっている。対して、データ通信については、iPhone 15と15 PlusがUSB 2、iPhone 15 Proと15 Pro MaxがUSB 3となっている。
ただし、このUSB 2とUSB 3という表記、Appleが「複雑な表記は分かりにくいから」ということで、簡単に表記したもの。一般的な言い方をすると「USB 2.0」と「USB 3.2 Gen2」(USB 3.1 Gen2も同義)ということになる。前者は480Mbps、後者は10Gbpsのデータ通信が可能。つまりスペック上のデータ通信速度に20倍以上の差がある。文字通り、iPhone 15 Proシリーズは、プロユースに耐えるだけの通信速度を確保したということになる。
ちなみに、同梱されているUSB-C to USB-Cケーブルは充電用ということで、データ通信に使ってもUSB 2相当の速度しか出ない。iPhone 15 Proシリーズに同梱されいてるケーブルも同様だから注意したい。通信速度が必要な場合デバイス側にケーブルが付属しているだろうから、それを使えということなのだろう。確かに、高いスペックの規格を通すためにもコストがかかるから、これは合理的ではある(そもそもAppleではUSB 3対応のCtoCケーブルを単体含め販売していない)。
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●ディスプレイはキレイに映るものが多い
まずは、USB-C接続のディスプレイ。
PFUのRICOH Light Monitorを試してみた。1920×1080ピクセルの有機ELを備えたモバイルモニターだ。これは接続するだけで簡単に使えた。
これは、iPhone 15 Proシリーズでも、iPhone 15シリーズでもフル画素で視聴できた。DisplayPort規格で接続されているのだと思う。
ただ、よく考えてみると、iPhoneの方から電源は4.5Wしか供給できないので、バッテリーレスのタイプだと別途電源が必要になる。筆者所有のRICOH Light Monitorはバッテリー内蔵タイプだから、ケーブル1本で動作したのだ。
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続いて、Apple純正の変換ケーブルを使ってHDMI経由で4Kディスプレイに接続してみた。これも接続可能だった。おそらく普通のテレビにも同様に接続できるに違いない。
ただし、iPhone 15シリーズの場合は解像度が低下した。iPhone 15 Proシリーズの場合は高解像度で出力できている。
●USB-CのSSDは動く Thunderboltは動作しない
続いて、筆者愛用のOWC Thunderbolt接続SSDドライブ「Envoy Pro」を接続してみた。Macと接続すると超高速でデータをやりとりできる優れモノだ。
しかし、「Thunderboltアクセサリは使用できません」というメッセージが表示されて使えなかった。残念。M2のiPad Proと違ってThunderboltコントローラーを内蔵していないので当たり前といえば、当たり前なのだが。
そこで、同じくEnvoy ProのUSB-Cタイプを接続してみた。こちらは見事に接続できて、「ファイル」アプリ経由で、データを動かすことができる。
●SDカードの読み取りもOK
続いて、フォーカルポイントのTUNEWEAR ALMIGHTY DOCK C2経由でSDカードを読み取ってみた。
SDカードはファイルアプリでも写真アプリも読み取ることができた。これはけっこう便利。
●Ethernet接続も可能
TUNEWEAR ALMIGHTY DOCK C2経由で、Ethernetをつないでみた。
すると設定アプリの接続先にEthernetという接続先が表示された。そんなシチュエーションがあるかどうかは分からないが、Wi-Fiを使えない場合、もしくはノイズの多い環境で安定して高速接続を行いたい場合に便利かもしれない(イベント会場などでのYouTubeライブの送信側とか)。
●iPad Proとつなげるとどうなる?
iPad ProとiPhone 15 Proを直接つないでみた。
iPad Pro側の写真アプリにはiPhoneが表示されて、読み取ることができた。
逆はアプリ的に出来なさそうだった。
また、相互にファイルアプリを開いてみたが、お互いに認識してはいないようだった。なぜだろう……。
もちろん、言うまでもないがMacと接続することもできる。
●LightningモデルのAirPods Proも充電できる
最後に、AirPods Proを接続してみた。
実は今回、近日発売予定のUSB-C接続のAirPods Proが借りられなかったので、従来型のLightningコネクターを持つ第1世代を接続してみた。それでも問題なくiPhone側から電源供給できた。この場合、4.5Wまでの電力供給が可能なようだ。
●コネクターは統一されたが、仕様は複雑に
変換コネクター経由とはいえ、HDMI接続のモニターにつながったのは便利そうだった。また、SSDやSDカードに直接データを読み書きできるのも利便性が高い。Ethernet接続も活用できる可能性がある。
反面、接続できない場合に、アプリ的な仕様なのか、iPhoneの仕様なのか、データ通信規格の問題なのか、ケーブルの仕様なのか……と切り分けて判断せねばならず、なかなか難しい部分があると感じた。あらためて意識してみると、身の回りにある多くのUSB-Cコネクターを持つケーブルは、USB 2.0しか対応しておらず、USB 3.2 Gen 2などの高速データ通信可能なケーブルは少ないということを実感した。iPhone 15 Proを使うなら、1本購入して、他のケーブルと間違わないようにマーキングしておかなければならないだろう。
なお、Amazonなどには10Gbpsと表記しつつ、そんな仕様をまったく満たしていない詐欺まがいのケーブルもあるので注意されたい。高ければ良いというワケではないが、信頼できるメーカーのものを選びたい。データ通信はまだしも、電源ケーブルが仕様を満たしていない上に、通信上の仕様を偽る仕組みがあったりすると、火事の原因になる可能性もあるので、くれぐれも慎重に。
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