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2021年に終了した、NTTドコモのウォレットサービス「ドコモ口座」のドメイン「docomokouza.jp」が、GMOインターネットのドメイン登録サービスでオークションに掛けられていた件について、ドコモは原因を「社内管理の不手際」と説明した。加えて、出品されていたドメインはドコモが取り戻しており、現在同社の管理下にあることも明かした。
【画像はこちら】402万円で落札された「ドコモ口座」のドメイン、実はドコモが取り戻していた(他3枚)
ドコモは現在、各サービスのドメインを「docomo.ne.jp」へ統合する作業を進めており、現在使用しているもの、すでに使用をやめたものを含め同社の専門部署で一括管理しているという。そのうえで「dokomokouza.jp」については、社内管理の不手際により、一時的にドコモの保有ではなくなっていたとしている。
今回の「docomokouza.jp」はドコモが取り戻したため不正利用される心配はなくなったが、こうしたドコモ保有のドメインを失った場合はどういった対応を取るのだろうか。同社は「弊社の商号、商標を含むドメインが第三者に取得されて不正に利用された場合は、JP-DRP(JPドメイン名紛争処理方針)という公的な指針によって必要な措置をすみやかに取る」としている。
JP-DRPは、ドメインにまつわる商標権者とドメイン登録者の紛争処理に関する規約を定めたもの。ドメイン名の不正登録・使用を回避するためのもので、ドメインの転売や商標権者のドメイン取得の妨害、ユーザー誤認を狙って第三者の商標を不正に登録することなどを防ぐ。もし申し立てが認められれば、ドメインの取り戻しか抹消が可能となる。
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ドコモも「いろいろなケースがあるが、抹消や移転などの弊社側に戻すケースなどがある」と説明する。そのため、もし第三者の手に渡ったとしても完全にコントロールできない状態に陥るわけではないようだ。
なお、オークション自体にドコモが参加していたかについては「回答を差し控えさせていただく」と明かされなかった。そのため、ドメインを402万円で落札したのがドコモ自身だったのかについては不明のままだ。
●なぜドコモのドメインをGMOが出品していたのか?
ドコモ側の不手際でドメインが失効されてしまったとはいえ、なぜそのドメインがGMOインターネットの「お名前ドットコム」でオークションに掛けられることになったのか。GMO側に聞くと該当のドメインを取得したいという希望が複数の顧客からあったからと話す。
「具体的な情報について申し上げられないが、更新の期限が過ぎたドメインは一般に開放される状態になる。当社にそのドメインを取得したいという注文を受けて弊社が取得し、そのドメインに対し複数のお客様が取得を希望されていたのでオークション形式で出品した」という。
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お名前ドットコムには「事前予約サービス」というものがある。これは、すでに第三者が登録しているドメインを事前に予約しておき、ドメインの期限を迎えて一般取得できるようになった時に自動で取得を試みるサービスだ。これで「docomokouza.jp」をオーダーしていたユーザーが複数いたため、オークションに掛けられたようだ。
なお、取得希望が1人しかいなかった場合は、オークションに掛けられることなくそのままそのユーザーが取得できるという。
一方で、そのドメインが公共性の高いものであったり、今回のように二次被害をもたらす可能性が高い場合、出品を取りやめることはないのだろうか。この質問に対しGMOは「前提として、弊社はレジストラーとして取得サービスを提供しているが、場の提供をしているというイメージ」と説明した上で「お客様がどういう目的で取得するかなど、踏み込んでお客様を審査することは基本的にない」という。
「例えば、特定の文字列のドメインがあったとして、弊社として『これは悪質な利用の恐れがある』『この文字列は問題がある』などの価値判断は、どこで線引きするかも非常に困難であり基本的に行っていない」とのこと。このため、たとえSNSなどで特定のドメインが話題になったとしても、取り下げといった措置は基本的に取らないという。
「弊社に限らずレジストラー、ドメイン全体のルールとして、その文字列自体が悪用されるかどうかという判断ができないため、取得の段階で『これは話題になっているから取りやめよう』という判断は基本的にできない。あくまでも取得できる場を提供してほしいという方に、空いているドメインを取得いただくもの。我々の方で特定のものを規制する、取りやめるといった類のものではない」と明かした。
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ただし、ドメイン取得後に悪質な利用方法が明らかになった場合に備えたサポート体制もあるという。「JP-DRPへの案内や、弊社にも相談窓口を設けている。実際に被害の申告があった場合、調査・対応を行う」としている。
今回、「docomokouza.jp」以外にも「covid19-info.jp」というドメインも出品されており、322万円を超える価格で落札されていた。こちらに関しても出品・掲載基準は同じとしており、誰か落札したかについても詳細は明かされなかった。
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