ジャニーズ“歴史的謝罪”から1カ月 東山紀之社長は「10.2会見」で何を語る? 求められる「7つの説明責任」

37

2023年09月27日 08:32  ねとらぼ

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

ねとらぼ

東京都港区赤坂にあるジャニーズ事務所の社屋

 ジャニーズ事務所は10月2日、故ジャニー喜多川氏の性加害問題を受け、2度目となる記者会見を開く。この記事では、9月7日に実施された会見での東山紀之社長らの発言や、その後の動きを踏まえ、先んじて主な注目すべきポイントを7つまとめた。



【画像】ジャニーズ会見で注目すべき7つのポイント



●1.社名変更とその影響



 まずは、すでに大きく報じられているとおり、ジャニーズ事務所の社名変更について注目すべきだろう。



 前回の会見では、就任したばかりの東山社長は性加害問題について「人類史上、最も愚かな事件」「鬼畜の所業」などと断罪した一方で、社名を変更することについて、タレントたちが培ってきたエネルギーやプライドが重要として、「その表現の1つでもいいんじゃないかと思っています」と発言。



 記者から同様の質問が相次ぐと、「とりあえず『ジャニーズ』というのはこのまま続けさせていただくんですけど、社名のロゴとかが変わってくるかもしれません」とロゴ変更の可能性を示唆し、さらに「(社名変更について検討の余地は)それもあります」と認めるなど、その発言が二転三転していた。



 ジャニーズ事務所は9月19日、取締役会を開き、社名変更も含めた今後の会社運営について議論を交わし、その方針について確認したと発表している。社名変更の影響は、ジャニーズ事務所の完全子会社で井ノ原快彦社長率いるジャニーズアイランド、ファンクラブ母体のジャニーズファミリークラブのほか、「関ジャニ∞」「ジャニーズWEST」といったグループ名、ジャニーズJr.といった名称などにも及ぶ可能性もある(参考:TBS による報道)。



●2.新会社の設立



 新会社の設立についても注目ポイントだ。ジャニーズ事務所は取締役会で所属タレントと社員の将来についても議論したとしており、広告契約の解除やテレビ番組での露出減など、打撃を受けている所属タレントたちを新会社に移籍させる可能性がある。



 帝国データバンクによる9月20日時点の調査では、ジャニーズ事務所のタレントをCMなどの広告に起用する上場企業65社のうち、約半数の32社が「放送等中止」「契約を更新しない」と表明している。



 すでにジャニーズ事務所は9月13日、今後1年間は広告出演や番組出演などの出演料は全てタレント本人に支払い、芸能プロダクションとしての報酬は受け取らないと表明している。



 だが、これは「CM撤退ドミノ」などと言われる打撃を受けもなお、ジャニーズ事務所を継続させるための方針に過ぎないとの批判的な見方もある。新会社の設立は、将来的には被害者への賠償を終えた後の解散も視野に入れたものなのかなど、厳しいまなざしが向けられるものと思われる。



●3.ジュリー氏の保有株のゆくえとその背景



 前回の会見では、藤島ジュリー景子前社長が100%保有するジャニーズ事務所の株を手放さず、同事務所に取締役として残留することが明らかになった。ジュリー前社長はその理由について、「被害者の方々に対する補償を責任を持ってまっとうするため」と説明していた。



 だが、もとは言えば、「外部専門家による再発防止特別チーム」は性加害問題が起きた背景として「同族経営」の体質を問題視していた。ジャニーズ事務所の株について、同事務所は取締役会ではジュリー前社長が持つ株式の取り扱いについても議論が及び、今回の会見でその進捗内容を具体的に発表するとしている。



 また、ジュリー前社長が代表取締役に残留した背景をめぐっては、『週刊文春』がその主な理由は会社や個人事業の後継者が取得した一定の資産について、贈与税や相続税の納税を猶予する「事業承継税制」の特例措置で税優遇を受けるためだった、と9月28日に報じ、ジャニーズ事務所に対して批判の声が高まっている。



 すでに一部メディアの問い合わせに対して、ジャニーズ事務所はこのような指摘について「そうではありません」などと否定しているが、会見ではあらためて事実関係の説明が求められると予想できる。



●4.白波瀬傑前副社長の不在



 引責辞任が発表された白波瀬傑前副社長はなぜ会見に出席していないのか。前回の会見では同様の質問が相次いだ。



 再発防止特別チームの調査報告書によると、白波前副社長は1975年、ジャニーズ事務所に入社した「最古参の幹部」という。1982年ごろに創設された宣伝部をメリー喜多川氏の直下で担当し、1996年以降は取締役、専務、副社長に専任されているものの、引き続き主に宣伝部(広報)業務を担当していた。



 白波前副社長は半世紀近くにもわたり「ジャニーズ帝国」を支え、特に「メディアコントロール」に長けていたとされる。再発防止特別チームの聞き取り調査のなかで、白波前副社長は当初、現在でもジャニー氏が性加害をしたとは考えていないと否定していたが、後に「ジャニー氏が世話になっていた人の子息がジャニー氏から性加害を受けたと最近被害申告したことを知り、ジャニー氏が性加害を行ったのは真実だろうと思うに至った」などと、性加害を事実だと認めている。



 記事執筆時点では、今回の会見に白波前副社長が出席するという報道は見当たらない。すでに死去したジャニー氏とメリー氏に続き、白波前副社長は性加害問題について「すべてを知り尽くしている」とも言われる。白波前副社長がまた会見の場に姿を現さなければ、ジャニーズ事務所の性加害問題に対する姿勢が十分ではないとみなされ、東山社長らは再び厳しい批判に晒されるだろう。



●5.東山社長のハラスメント疑惑に関する進展の有無



 東山社長の発言が二転三転していたのは、社名変更に関する回答だけではない。自身の過去のハラスメント疑惑についても、同じく煮え切らない態度を見せていた。



 元ジャニーズJr.の山崎正人さん(ペンネームは木山将吾さん)が2005年に刊行した告発本『Smapへ―そして、すべてのジャニーズタレントへ』(鹿砦社)のなかでは、下半身を露出して「僕のソーセージを食え」と発言するなど、東山社長による複数のハラスメントがあったと訴えられている。



 東山社長はこれらの疑惑について、当初は「僕は(性加害を)したことはないです」と回答していたものの、途中から「本当に覚えてないことのほうが多くてですね」「したかもしれないし、してないかもしれないというのが本当の気持ちですね」と、曖昧な回答に切り替えていた。



 会見以降、ジャニーズ事務所が発表したプレスリリースには、東山社長による過去のハラスメント疑惑についての記述は見当たらない。約1カ月の時を経てもなお、疑惑を払拭するために何かしらのアプローチをしていないと明らかになれば、その姿勢や資質を問う声が再び上がる可能性がある。



●6.賠償の具体的な内容と謝罪



 前回の会見後、ジャニーズ事務所は外部専門家からなる「被害者救済委員会」を設置すると発表。補償受付窓口を開設し、タレントまたは研修生(ジャニーズJr.など)として所属していたことがある人などで性加害を受けた人を対象に、金銭補償を受け付けるとしている。今回の会見では、取締役会での議論を経て被害補償について、より具体的に報告する予定だ。



 また、性被害を告発していた元ジャニーズJr.で俳優の橋田康さんは、東山社長と井ノ原社長から直接謝罪を受けた、とSNSなどで明かしている。同じく元ジャニーズJr.で歌手のカウアン・オカモトさんおよび橋田さんは、ジュリー社長(当時)から対面で謝罪を受けていたが、東山社長らによる対面での謝罪は初とみられる。東山社長と井ノ原社長はその場で何を語ったのか、質問が及ぶだろう。



●7.メディアへの圧力や忖度のゆくえ



 ジャニーズ事務所によるマスメディアに対する圧力や忖度をめぐる問題も、引き続き注視する必要がある。



 前回の会見では、退社した元ジャニーズ事務所によるタレント活動を妨害しないことや、テレビ局にジャニーズ事務所への忖度が必要ないことなどを明言するように求められ、東山社長は「もちろんです」「必要ないと思っています」と明言していた。



 にもかかわらず、東山社長がキャスターを務めていた報道番組「サンデーLIVE!!」(テレビ朝日系、東山社長は社長就任にともない降板)では会見後、その内容について一切報じないなど、いまだにジャニーズ事務所に対する忖度は一部のマスメディアでは続いているとみられる。



 一方で、テレビ局や番組によっては性加害問題について著名人による言及もみられ、ジャニーズ事務所に所属する「ジャニーズWEST」の中間淳太さんは同事務所の社名について、「僕も変えるべきだ思っていますし、『ジャニーズWEST』の名前がなくなることも覚悟もできています」と発言した(参考:TBSによる報道)。



 また、司会者の上沼恵美子さんは性加害問題について、「みんな知ってたよ」と芸能界では周知の事実だったとして、「(ジャニーズ事務所の名前を残すなんて)吐き気がするわ」と怒りをぶちまけていた。今回の会見では、これら著名人による発言を踏まえた質問が寄せられる可能性も否めない。



 ジャニーズ事務所による2度目の記者会見は、10月2日に実施される。東山社長らは何を語るのか。テレビ各局の放送のほか、YouTubeなどの配信でリアルタイムで視聴できるとみられる。


このニュースに関するつぶやき

  • 現最高取締役が社長を辞める時、当時の副社長も辞めたでしょ。その当時の副社長については、ほとんど触れられることが無かったけど、性加害も含めて様々な疑惑があるみたいだね。
    • イイネ!5
    • コメント 1件

つぶやき一覧へ(27件)

ニュース設定