50周年のアンパンマン、デビュー時は酷評された 「顔を食べさせるなんて残酷」「もう描かないで」大人気ヒーロー誕生のストーリー

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2023年09月27日 10:50  まいどなニュース

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インタビューに笑顔で答えるやなせたかしさん(2010年12月28日撮影、高知新聞2013年10月16日掲載)

子どもたちに大人気のアンパンマン。2023年は、アンパンマンの絵本が誕生して50周年という節目の年です。

【写真】アンパンマンの原点になった「あんぱんまん」

初めて登場したのは1973年、フレーベル館から刊行されている月刊絵本「キンダーおはなしえほん」10月号でした。

作者のやなせたかしさんによると、デビュー作は「大悪評だった」そう。「顔を食べさせるなんて残酷」「もう描かないで」。数々の“逆境”を乗り越えたヒーローの誕生秘話を、やなせさんの言葉から振り返ります。

おなかをすかせた人に顔を差し出す…誕生時から変わらないアンパンマン

アンパンマンの作者・やなせたかしさんは1919年(大正8年)に生まれ、高知県内で育ちました。高知新聞社勤務や三越百貨店のグラフィックデザイナーなどを経て、1953年にフリーの漫画家となりました。

アンパンマンが誕生したのは1973年。フレーベル館の月刊絵本「キンダーおはなしえほん」10月号で「あんぱんまん」が刊行されました。

高知新聞で連載されたエッセー「人生なんて夢だけど」で、やなせさんが当時を振り返っています。

(タイトルを)平仮名にしたのは幼児用絵本だからで特別の意味はありません。これまでに出した絵本は幼児用ではなく、この「あんぱんまん」が初体験でした。あまりかわいらしくなく、マントもぼろぼろです。(「人生なんて夢だけど」高知新聞2004年6月29日掲載より)

「あんぱんまん」には「あんぱんまん」「ぱんつくりのおじさん」が登場します。アンパンマンたちも、背景の絵も、今の絵本とは印象が異なります。

ストーリーは、アンパンマンがおなかをすかせた旅人や子どもに自分の顔を食べさせて助けるという、今に通じるものです。

おなかをすかせた人に自分の顔を差し出すというアンパンマンのヒーロー像は、やなせさんの戦争体験から生まれました。

「あんぱんまんを子どもたちは、好きになってくれるでしょうか」

「あんぱんまん」は出版後、「大悪評だった」と、やなせさんは後につづっています。

本が出ると大悪評で、出版社からは「これ一冊限りにしておいて、もう描かないでください」と言われるし、幼稚園の先生からは「顔を食べさせるなんて残酷です」と手紙が来ました。

絵本評論家の「こんなくだらない絵本は図書館に置くべきではない。現代の子どもはこの絵本を読んでも少しも面白がらないはずだ」は良い方で、世間はほぼ完全に黙殺。誰も知らない絵本でした。(「人生なんて夢だけど」高知新聞 2004 年 6 月 29 日掲載より)

当時のやなせさんにも自信はなかったようで、絵本の後書きにこう記しました。

さて、こんな、あんぱんまんを子どもたちは、好きになってくれるでしょうか。それとも、やはり、テレビの人気者のほうがいいですか。

「あんぱんまん」の人気に火を付けたのは、子どもたち

“逆境”の「あんぱんまん」の人気に火を付けたのは、絵本を手に取った子どもたちでした。

或(あ)る日近所のカメラ店にフィルムを買いに行ったところ、店のオヤジが「先生、うちの坊主がアンパンマンの絵本が大好きでね。毎晩『読んでくれ』ってせがむんだよ。人気あるねぇ」と言ったのです。(「人生なんて夢だけど」高知新聞2004年7月3日掲載より)

子どもたちの思いは、大人たちに伝わります。フレーベル館アンパンマン室の宮本麻未さんは「少しずつ、幼稚園や保育所の先生方からも『子どもたちに人気で』『何度も読んでほしいと言われる』というようなお声をいただくようになったそうです」と語ります。

こうして、アンパンマンの絵本は次々と出版されるようになりました。読者の中心が2〜3歳児だったので、アンパンマンの体形は3頭身の幼児体形に。しょくぱんまん、カレーパンマンと、仲間も増えていきました。

ちなみに、ばいきんまんの誕生はさらに後。「悪役が欠けている」と気付いたやなせさんは、「アンパンマンは食品だから、食品の敵はバイキン」と思いつきました。

アンパンマン絵本は950タイトル、8000万部超え

フレーベル館によると、アンパンマンの絵本は全部で約950タイトルだそうです。このうち、やなせさんが描き下ろした絵本が約200タイトルで、アニメイラスト絵本が約750タイトル。累計発行部数は2018年に8000万部を突破しています。

今の子どもたちにとって、アンパンマンはアニメのイラストがおなじみですが、やなせさん描き下ろしのアンパンマンからは手描きならではの温かさが伝わってきます。

フレーベル館の担当者は、やなせさんのイラストを扱う時、思わず笑顔になってしまうことが多いそう。アンパンマン室の宮本さんは、こう説明します。

「同じアンパンマンのイラストでも、その時の自分の気持ちによっては頼もしく見えたり、優しくほほ笑んでいるように見えたり、とてもユーモアのあるお顔に見えたりします。やなせ先生の作品やイラストが、読む人、見る人に寄り添ってくれるような存在だからではないかと思います」

描き下ろし絵本の良さを再び楽しんでもらおうと、フレーベル館から「やなせたかしのあんぱんまん1973」シリーズが刊行されました。

1973年の「あんぱんまん」を含めて、1970年代、80年代の6タイトルが収められています。

「50年前に1冊の絵本から始まったアンパンマンが、今もこうして多くの方に愛されていることは、アンパンマンに携わる者として本当にありがたく、うれしいです」と、アンパンマン室の宮本さん。

「アンパンマンの絵本は大人が読んでも、はっとするような気付きがあります。ご自身の子どもの時の思い出に、今度はお子さまとの思い出をプラスして、一冊の絵本に幾重にも思い出を重ねていただけたら、とてもうれしいです」

(まいどなニュース/ココハレ)

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このニュースに関するつぶやき

  • 私、子供の頃アンパンマンの絵本読みました。確かしょくぱんマンが登場した作品でした。懐かしいですね。
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