サラリーマンに多い腰痛の原因と解消策を解説 年を重ねると、体のあちこちにガタがくるもの。なかでも、腰痛に悩まされる人は多い。腰痛は、仕事や家事、趣味などの生活の質を低下させるだけでなく、放置しておくと、慢性化したり、ひどい場合は手術が必要になったりすることも。ここでは、オルソグループの整形外科医の鞆浩康(とも・ひろやす)氏監修のもと、サラリーマンに多い腰痛の原因とその解消法、そして日常生活でできる予防法を解説していく。
【写真】腰痛防止キャンペーンに参加も…筋トレし過ぎて腰痛になったマヂカルラブリー・野田クリスタル■サラリーマンの腰痛の原因は大きく分けて3つ
そもそも腰痛はどのような原因から起こるのか? サラリーマンに多いのは以下の3つ。
・座り方や姿勢が悪い
・運動不足や筋力低下
・ストレスや疲労
これらの原因は互いに関連しており、例えば、座り方や姿勢が悪いとインナーマッスルの筋力低下につながり、ストレスや疲労も増える。それにより、運動への意欲が低下し、だんだんと運動不足を招く、といったように、ひとつが悪化すると負のスパイラルに陥り、他も悪化させてしまうという状況になっていく。
■解消法1.座り方を改善する
では、これらをどのように改善していけばいいのか、ひとつひとつ紐解いていこう。
3つの原因の中でも、特にすぐに改善できる取り組みとして挙げられるのが、座り方である。無意識に間違った姿勢でいることの多い座り方だが、正しい方法とはどのようなものなのだろうか?
・背筋を伸ばして背中を丸めない
・肩甲骨を寄せて胸を張る
・首や頭を前に突き出さない
・足は床にしっかりつけて開きすぎない
・腰にクッションなどを当てて支える
これらのポイントを守ることで、腰への負担を減らすことができる。また、長時間同じ姿勢で座っていると血行が悪くなるので、理想は30分に1回、難しければ最低1時間ごとに立ち上がって伸びたり、歩いたりすることも重要。
■解消法2.運動不足や筋力低下を改善する
運動不足は血行不良や代謝低下を招き、筋肉や関節の柔軟性や弾力性を失わせる。また体幹部分(背中やお腹)の筋肉は姿勢を保つために重要であり、弱くなると重心がずれてバランスが崩れ、結果、腰に余計な負担がかかる。
これらの問題を解決するためには、適度な運動と体幹トレーニングが効果的。運動は血行や代謝を促進し、筋肉や関節の機能を回復させる。体幹トレーニングは背中やお腹の筋肉を強化し、姿勢やバランスを改善する。運動や体幹トレーニングは毎日続けることが重要だが、無理をしないことも大切。自分の体調やレベルに合わせて、無理のない範囲で行うのがベスト。
■解消法3.ストレスや疲労を改善する
ストレスは自律神経のバランスを乱し、血管や筋肉を収縮させて血流を悪くする。また、ストレスホルモンであるコルチゾールが分泌されると、免疫力が低下し、炎症反応が起こりやすくなる。これらの影響で腰周辺の筋肉や神経にダメージが与えられ、痛みを引き起こすことも。疲労は筋肉の緊張や炎症を増やし、腰に負担をかける。これらの問題を解決するためには、リラックスする時間を作ることが効果的。リラックスすることで自律神経のバランスを整え、血流や代謝を改善し、ストレスホルモンの分泌を抑えることができる。
また、睡眠もストレスや疲労の解消に欠かせない。睡眠中には成長ホルモンが分泌され、筋肉や神経の修復が行われる。睡眠不足は成長ホルモンの分泌を妨げ、腰痛の回復を遅らせる。睡眠の質を高めるためには、以下のようなことに注意する。
・寝る前に刺激的なものを見たり聞いたりしない
・寝室は暗くて静かで快適にする(→起きた後、朝、日光を浴びるとより良い)
・寝る前にカフェインやアルコールを摂らない(15時以降、摂らないのが理想)
・自分の体に合った枕、マットレスを選び、腰に負担のかからない寝姿勢をとる
【専門家からのコメント】
腰痛には内臓の障害から起こるものもあり注意が必要ですが、今回の記事で紹介している運動器疾患からの腰痛は日常生活の少しの気遣いや簡単な運動で予防や改善をすることが可能です。慢性的な腰痛は放置することで、膝や肩の痛みなど他の運動器疾患だけでなく、さまざまな内臓疾患にも繋がります。軽い腰痛でも、一度専門家に相談し改善方法を探って下さい。また、専門家に治してもらうという意識ではなく、自らも一緒に治そうとする気持ちが大切です。
【監修者プロフィール】
鞆 浩康(とも・ひろやす)
整形外科医。オルソグループ会長。1975年、大阪府出身。高知医科大学医学部卒業。岸和田徳洲会病院、大阪市立大学附属病院 整形外科医局等での勤務を経て、手技療法に興味を持ち2004年12月24日にオルソグループを設立。医療・健康産業を通じて世の中の人を笑顔と元気にする「究極の医療グループ」を目指し活動している。