米Metaは9月27日(現地時間)、年次イベント「Meta Connect」でVRヘッドセットの新モデル「Quest 3」の詳細を公開した。日本では9月28日から予約を受け付け、10月10日に発売する。価格は128GBモデルが7万4800円、512GBモデルが9万6800円(いずれも税込み)だ。
記者はわずかな時間ながら実機を事前に試用する機会を得られたため、仕様の振り返りとともに紹介したい。
●Quest 3の主な仕様
基本仕様は次の通りだ。サイズは約160(幅)×98(高さ)×184(奥行き)mm(可動部を最小に設定した場合)、重さは約515g(ソフトストラップや接顔部を含む)。本体前面には6つのカメラセンサーを搭載し、ゴーグル外の風景をカメラ越しに見られるカラーパススルーに対応した。
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パススルーの解像度はQuest Proに比べて約3倍、Quest 2との比較では約10倍にアップしている。パススルー機能の使用中は外部LEDが点灯し、ユーザーが周囲を見ていることを伝える仕組みもある。
深度プロジェクターなどを活用することで、前モデルまで必要だった手動によるルームスケールの設定は不要になっている。自動的に部屋を3Dスキャンし、壁や床、家具などを自動認識できる。
SoCにはSnapdragon XR2 Gen 2を採用し、RAMは8GBを搭載している。前モデルのQuest 2に比べてグラフィックス性能は2倍高速、RAMは33%増となっている。
ディスプレイと光学系について、片目あたり2064×2208ピクセルのディスプレイ2つを搭載し、さらに独自の光学設計により、Quest 2と比較して解像度が約30%向上、Questシリーズで最高の解像度を誇る。リフレッシュレートは90Hzだが、120Hzでの動作もテスト中だという。視野角はQuest 2より約15%広い水平110度、垂直85度となる。
光学系のスペックアップを図りながら、パンケーキレンズの採用などによってレンズ部分はQuest 2から40%のスリム化を果たした。Quest 2ではメガネを着用するユーザー向けに専用のスペーサーオプションが用意されていたが、Quest 3ではメガネ装着時に必要な調整機構を接顔部に内蔵しているため、単体で調節できるのが特徴だ。アイトラッキング機能は搭載していない。
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ステレオスピーカーとマイクも引き続き内蔵する。空間オーディオに対応し、再生音域の音量もQuest 2に比べて40%上がった。3.5mmヘッドフォンジャックも引き続き搭載している。
バッテリー駆動時間の公称値は平均で2.2時間ほどで、Quest 2とほぼ同じとしている。使用環境や起動アプリによって異なる。付属の18Wアダプターを使えば約2時間でフル充電できる。
Meta Quest Linkケーブル(有線)とAir Link(無線)によるPCとの接続にも引き続き対応し、PC向けVRコンテンツも利用可能だ。
●コントローラーも進化 リングを無くしてよりコンパクトに
付属する「Meta Quest Touch Plusコントローラー」は、触覚フィードバック機能を搭載し、従来のコントローラーにあったリング形状がないデザインとなっている。サイズは約67(幅)×43(奥行き)×126(高さ)mm、重さ126g(単三電池1本含む)だ。
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●実際に体験してみた
記者は報道陣向けの体験会で、わずかな時間ではあるがQuest 3の実機を試用することができた。普段使っているQuest 2と比べて、短時間でも進化を実感できた部分は「グラフィック性能の向上」「プレイスペース自動認識の利便性」だ。
実際のスクリーンショットなどは許可されなかったため実例を紹介することはできないが、デモで体験したゲームではグラフィックス性能が大きく向上していることを実感できた。変化を例えるなら、PCゲームのグラフィックス設定を低から高に変更したようなイメージだ。
改善された光学系との相乗効果もあってか、ゲーム中に登場するガラス瓶やアイテムなどの小道具を顔に近づけると、細部まで丁寧に描画されたテクスチャや光の反射に驚きを感じた。
Quest 3のグラフィックス性能をフル活用したゲームタイトルとして、アサシンクリードシリーズやサンバデアミーゴ、映像作品をもとにしたゴーストバスターズ、ストレンジャーシングスがこれから登場する。スタンドアロンのVRヘッドセットでこれだけのクオリティーが遊べるようになるのは非常にうれしいポイントだ。
さらにデモは一定の広さがある部屋で行われたが、四方の壁や置かれた家具を認識して自動でプレイエリアが設定される様は、これまでのQuestシリーズを利用していた人にとってはインパクトがある機能だ。床に線を引いてエリア設定せずに済むだけで、ユーザーの気分的に没入感が高まる。
機会があれば、今後詳報をお伝えしたい。
●Quest 3でMRコンテンツを強化
Quest 3について、報道陣向けの体験会に登壇したMetaの池田亮さん(Meta Reality Labs ストラテジックコンテンツパブリッシング 日本・韓国市場統括)は、「多くのユーザーにとって、Quest 3が初めてのMRデバイスになるだろう」と自信を見せる。
現在までにQuest向けのアプリは500を超えており、後方互換性も確保されている。Quest 3でもこれまでに登場したアプリをそのまま利用できる。2023年内にはゲームパッドを接続して利用できる「Xbox Cloud Gaming」にも対応するという。Metaは今後、世界中の開発会社とともに研究や検証を進めて、MRコンテンツを拡充する考えだ。
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