不動産のプロが教える!“理想の住まい”の叶え方 第13回 「良い中古戸建物件」を見極める6つのポイント

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2023年09月30日 10:01  マイナビニュース

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第12回の前回は「良い中古マンション」を見極める5つのポイントについてお伝えしましたが、第13回は良い「中古戸建物件」の見極め方についてお伝えしていきたいと思います。


【1】「遵法性」- 法律を守って建てられているか?



まず、戸建物件を選ぶ上で非常に重要なのが、新築時にきちんと法律を守って建てられたかどうかです。



そもそも法律を守らずに家が建てられるの?と思ってしまいそうですが、昔はルールが緩かったので、残念ながら、法律を守らずに建てられてしまっている物件がたくさん存在するのです。



よくあるのが、容積率や建蔽率をオーバーして建てられてしまっている物件です。



容積率や建蔽率というのは、その土地に建てられる建物の大きさの制限を表すものですが、その制限を守らずに、敷地ギリギリまで建てられているような物件もよく見かけます。



不動産ポータルサイト等にも容積率や建蔽率がオーバーしてしまっている中古の戸建物件はたくさん掲載されていますが、住宅ローンの審査が通りづらかったり、将来、建て替える際に、今よりも小さな建物しか建てられなくなってしまい、売却しづらくなってしまうリスクがあるので、おすすめすることができません。

【2】「接道条件」- 敷地がいかに道路に接しているか?



戸建物件の資産価値に大きく影響するのが、この「接道条件」です。

敷地が、国や地方自治体が管理している「公道」に接していることが最も望ましいのですが、個人や企業が所有・管理をしている「私道」に面している物件も多く存在します。



接道している道路が私道であっても問題はありませんが、私道の場合は、その私道の部分の「持分(もちぶん)」を自分が持っているかどうか、自由に通行したり、水道工事の際に地面を掘っても良いという「通行掘削承諾」が、私道の所有者同士で交わされているかどうかなどを確認する必要があります。



また、道路から細い通路を通って、奥の方に家が建っているような物件のことを「旗竿地(はたざおち)」などといいますが、旗竿地の物件は周囲を他の建物に囲まれてしまっていることが多く、日当たりや風通しがあまり良く無い物件もあるので、注意が必要です。



そもそも、敷地が道路に「2.0m」以上接していないと、その物件は「再建築不可」という物件になってしまい、原則、建物を建て替えることができなくなってしまいます。



再建築不可の物件は、住宅ローンも組めないことがほとんどなので、価格も非常に安く設定されていることが多いですが、将来的なリスクを考えると、おすすめすることができません。

【3】「建物の状態」- 大きな不具合はないか?



日本にある戸建物件で最も多いのが「木造」の物件になります。

おもに"木"で作られた家になりますので、築後20年や30年も経つと、どうしても何かしらの不具合は出てきてしまいます。



特に床下のシロアリやカビ、雨漏りによる構造の腐食、建物の傾き、屋根の劣化などには注意が必要です。



築年数がある程度経過している中古戸建物件の場合は、契約書にサインをする前に、必ずプロの設計士さんなどに現地を確認いただいて、大きな不具合がないかどうかを確認するようにしましょう。



物件のお引き渡し後すぐに不具合が見つかった場合には、売買契約書に基づいて、売主さんの責任で修補いただける場合もありますが、どうしてもトラブルになってしまうことも多々ありますので、不具合は早めに把握しておく必要があります。



契約前に不具合がわかれば、物件の価格交渉の材料として使えることもあります。


【4】「建物の構造」- 新築時にどのような構造で建てられたか?



建物の構造によっては、お部屋の中に壊すことのできない壁が存在する場合があります。



大手のハウスメーカーさんが建てられた建物に多いのですが、ツーバイフォー工法や軽量鉄骨造で建てられた物件は、注意が必要です。



間取り図を見るだけでは、どのような構造で建てられたのかを判断することは難しいので、売主さんから新築当時の設計図面を入手して確認する必要があります。



間取り変更を伴うようなリノベーションを検討している場合は、希望の間取りが実現できそうかどうか、事前にプロの設計士さんやリフォーム会社に確認するようにしましょう。

【5】「災害耐性」- 危険なエリアに建っていないか?



一般的に戸建物件はマンションに比べると地震や洪水、火災などの災害に対する耐性が低いといわれています。



台風や豪雨による浸水のリスクや、地震による液状化のリスクは、自治体が公開しているハザードマップ等で確認するようにしましょう。



また、火災が発生した時に、消防車が入ってこられないような住宅密集地には注意が必要です。



傾斜地の多いエリアの場合は「擁壁」の上に建っているような戸建物件も多くなりますが、老朽化している擁壁は地震などの際に崩れてしまったり、建物が傾いてしまうようなリスクもあるので、注意が必要となります。

【6】「ガスの種類」- 都市ガスが通っているか?



郊外に建つ物件や、坂道の多いエリアに建つ物件の場合、利用できるガスが、都市ガスではなく「プロパンガス」の場合があります。



建物の外に大きなガスボンベが設置されているような物件です。



一般的にプロパンガスは都市ガスに比べると使用料金が高い場合が多く、敬遠されがちなので、その物件で利用できるガスの種類も念の為に確認するようにしましょう。



現状がプロパンガスの物件であっても、建物の目の前の道路まで都市ガスの配管が来ている場合があり、都市ガスへの切り替えができることもあります。

○■まとめ



中古戸建物件はマンションよりも多くのリスクが潜んでおり、自分でそのリスクをすべて把握することはかなり難しいです。



第三者による有料のホームインスペクション(住宅診断)を依頼するのも良いですし、中古物件をリフォームをする場合には、リフォーム会社の設計士さんが、契約前に物件のチェックをしてくれる場合もあります。



不動産業者さんの中には、どうしても契約を急かしてくる業者さんが多いですが、特に戸建物件の場合は急いで契約書にサインをするのではなく、土地に問題が無いか、建物に不具合が無いかどうかを冷静に、しっかりと確認したうえで契約に臨むようにしましょう



足立 淳 あだちじゅん 東京・恵比寿にある小さな不動産会社「サムタイムズ」代表。日々、お客様の上質な中古物件探しと信頼できるリフォーム会社の紹介を行っている。これまでに延べ1,000組以上のお客様の住まい探しをサポート。自身でも築35年のヴィンテージマンションをリノベし、家族4人で暮らしている。北欧ヴィンテージ家具と観葉植物をこよなく愛する。 この著者の記事一覧はこちら(足立 淳)

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  • ウチは屋根裏収納じゃなく屋根裏部屋になってたんで購入決めた、荷物整理に普通に入りやすいって大事、いちいち梯子卸してだと入れっぱなしで死蔵しちゃうんだよね。
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