
今回は、年金を繰り下げ受給した場合でも在職老齢年金制度の対象になるのかについてです。
Q:繰り下げ中も48万円ルールが適用されると聞きました。事実でしょうか?
「1961年9月生まれ61歳男です。繰り下げ受給しようと思ってますが、繰り下げ中も48万円ルールが適用されると聞きました。事実でしょうか? もしそうなら65歳からの年金見込み額が180万円、個人年金保険が60万円あります。年金カットされないように働くなら、年収はどのくらい以下ならカットされないでしょうか?」(するめニャンコさん)A:繰り下げ期間中の老齢厚生年金も在職老齢年金制度の対象になります
結論からいうと、繰り下げ期間中の老齢厚生年金も在職老齢年金制度の対象になります。繰り下げ受給すると、1カ月ごとに0.7%増額されますが、在職老齢年金制度で支給停止になった老齢厚生年金は増額されません。そもそも在職老齢年金制度とは、60歳以上の人が、老齢厚生年金をもらいながら、厚生年金に加入して働く場合、老齢厚生年金の額(報酬比例部分:基本月額)と、総報酬月額相当額(給与の他、残業代や通勤手当や住宅手当などの各種手当、ボーナスの1/12)を足した金額が、基準額の48万円を超えると、老齢厚生年金の一部または全額支給停止になるという制度です。
在職老齢年金の基準額48万円の計算に含まれるのは、厚生年金に加入して働いて得た収入です。個人年金保険の満期金は含まれません。
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では、相談者が老齢厚生年金の基本月額15万円(180万円÷12カ月)を受け取った場合、在職老齢年金制度により年金カットされない年収を計算してみます。
・支給停止基準額48万円−老齢厚生年金の基本月額15万円=33万円
したがって、年収396万円(月額33万円)を超えなければ年金はカットされません。
監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)
都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。
(文:All About 編集部)