
北海道夕張郡長沼町にて、犬猫の保護・譲渡活動を行っているHOKKAIDOしっぽの会(以下、しっぽの会)。同会では様々な状況で行き場を失った犬猫を保護していますが、2022年7月にとある多飼育崩現場から複数のワンコを迎え入れました。
そのうちに1頭がネオンというメスのミックス犬。保護当初、ネオンは赤ちゃんをみごもっており、より慎重に世話する必要がありました。
多頭飼育崩壊現場には妊娠中のワンコが多い
多頭飼育崩壊の現場では、1頭ずつ適切なケアが行われていないケースが多く、ネオンのように妊娠していることも少なくありません。そのまま放置してきた人間の身勝手により、不幸な末路をたどってしまう子犬・子猫が増え続け、その連鎖により多頭飼育崩壊に至っていることもあります。本来、新しい命の誕生はどの命も等しく尊いものです。しかし、人間が責任を持てる範囲を超え、無責任な野放しの繁殖は絶対にいけません。尊い命も結果的に不幸な道を辿ることになることが多いからです。
しっぽの会でも「責任持って飼育できる範囲内で、犬猫と人間が共生することで、一頭一頭のQOLを上げてあげることできる」と考え、保護した犬猫に関して獣医師の診断に基づいて健康上に問題がない場合、すべてに避妊・去勢手術を施してから、新しい里親さんの元へと譲渡をしています。
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4頭を無事出産。子犬たちは程なくして巣立っていった
ネオンは、しっぽの会のスタッフの献身的なお世話のもと、2022年9月に4頭の子犬を出産しました。この4頭は、いち早く里親希望者さんが現れ、それぞれが幸せな犬生をおくることになりました。
巣立っていった我が子を見送った母犬・ネオンですが、その後、しっぽの会によって前述のような避妊手術を実施。産後4カ月後から、里親募集をスタートしました。
少し神経質で怖がりなところがあるネオンですが、馴れた人にはしっぽをフリフリして笑顔で喜ぶ様子を見せてくれます。もちろん、散歩も大好きで、冬場の北海道の雪道もなんのその、いつも楽しそうに散歩をしていました。
「私もやっと幸せをつかむことができたよ!」
人見知りではある一方、明るい性格と優しさが表情からにじみ出るネオンでしたが、2023年に入り、ついに「迎え入れたい」という里親希望者さんが現れ、第二の犬生を迎えることになりました。
多頭飼育崩壊という劣悪な環境で過ごし、やがて妊娠し、4頭の子犬を産んだネオン。ついにネオンが幸せになる番がやってきたというわけです。
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しっぽの会のスタッフは、巣立っていくネオンの背中を見て「本当に良かった」と胸をなで下ろしましたが、その思いはきっとネオンも同じ。「私もやっと幸せをつかむことができたよ!ありがとうね」とスタッフにお礼を言っているようにも思います。
今日もネオンは温かい里親さんのもとで、いっぱいの笑顔で過ごしているそうです。ネオンのように幸せを掴むワンコを、今後も1頭でも多くお世話していきたいと、しっぽの会のスタッフは改めてその思いを胸に抱きました。
(まいどなニュース特約・松田 義人)
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