82歳のリクガメから膀胱結石を摘出 テニスボールサイズの大きさに驚愕(英)

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2023年10月05日 05:11  Techinsight Japan

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リクガメは非常にタフな生き物で、よほどの体調不良でない限り異変は見せないという。しかしそんなリクガメが異変を見せ、飼い主は慌てて獣医へ連れていった(画像は『BBC 2023年9月29日付「Tortoise’s tennis ball-sized bladder stone removed」(VILIAM HOFERICA)』のスクリーンショット)
英コーンウォールで飼育されている82歳のリクガメが、膀胱結石の摘出のために手術を受けた。摘出された結石はテニスボールサイズで、人間にたとえるとバスケットボールサイズにも相当するほどの大きさになっていた。担当獣医師は「甲羅の一部に穴を開けての手術は、非常に繊細な手術でした」と話したことをイギリスの公共放送『BBC』などが伝えたが、テックインサイト編集部では獣医師から直接話をうかがった。

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膀胱結石の摘出手術を受けたのは、英コーンウォールのペンザンスで飼育されているリクガメの“ジョーイ(Joey、82)”だ。異変に気付いた飼い主が、ジョーイを連れて動物病院を訪れた。最初にジョーイを目にした獣医のヴィリアム・ホフリカさん(Viliam Hoferica、25)は、「ジョーイはいつもとは様子が違い、無気力で、普段ほど歩かなくなっていました。これはリクガメが痛みを抱えているなど、良くないことのサインなのです」と当時を振り返る。

原因を探るため、ヴィリアムさんがレントゲン撮影をしてみると、ジョーイの体内に大きな膀胱結石があることが分かった。手術で摘出することを決意したヴィリアムさんは、コーンウォールのブードにある動物病院「Penbode Vets」でエキゾチック・ペットの高度医療を専門に扱うパスカル・メディナ獣医(Pascual Medina)に応援を要請した。


摘出手術を行うにあたり、2人は電動工具を用いてジョーイのお腹側の甲羅の一部をカットし、穴を開ける手段をとった。テックインサイト編集部では、専門家であるパスカル獣医に取材し、今回の手術の最大のリスクについて尋ねた。

「最大のリスクは麻酔の使用と、“プラストロン”と呼ばれる、腹部側の甲羅に穴を開けることでした。爬虫類の代謝は非常に遅く、環境に左右されます。麻酔薬や処置が期待通りに機能し、物事がスムーズに進むために、理想的な温度帯の環境におく必要がありました。また、甲羅を切り開くためには、特別な道具を使う必要があるのですが、その下にある内臓を傷つけないようにしなければなりません。ノコギリで卵の殻を、中の黄身を傷つけずに開くようなものです。」


非常に繊細な作業が伴う手術だったが、無事にジョーイのお腹の甲羅を一部切り出した後、体内から150グラムもあるテニスボールサイズの結石を取り出すことに成功した。ヴィリアムさんは「今まで見てきた中でも最大の大きさですよ。人間でたとえるなら、バスケットボールサイズになりますね」と話しており、ジョーイの小さな体に、これほど大きな膀胱結石ができていたことに驚いていた。

パスカル獣医は当編集部に対し、巨大な結石ができた原因について「尿路感染症、脱水症状、食生活の乱れ、ミネラルやたんぱく質の摂取過多などがありますが、ここまでの大きさになるのは、やはり時間が大きく関係していると思います。リクガメは非常に強いので、体調不良があってもその兆候を隠してしまうのです。結石は数十年もそこにあり、その苦痛が明らかな臨床症状(無気力や活動量や食事量の減少など)を示すのに十分なサイズになるまで、ゆっくりと大きくなっていったのかもしれません」と見解を述べた。

また、ヴィリアムさんは「ジョーイが異変を見せたのはここ数週間だけですし、それも食べる量や運動量が減った程度でした」と診察を振り返り、飼い主が敏感にジョーイの異変を察知したことに感心していた。

摘出を終えた後、穴を開けたジョーイの甲羅の穴は、樹脂とファイバーを接着剤として利用し、切り出した甲羅を元に戻した。自然に治癒するそうだが時間がかかるため、完全に回復するのは1年ほどかかるとみられている。

ヴィリアムさんは「非常にユニークな手術でした。甲羅の一部を外しての手術は、再生に時間がかかるので、通常は最終手段として選ばれます。私はどんな動物の手術も行うので、専門医であるパスカル獣医の助けを得られ、とても助かりました」とコメントを残した。

また、リクガメの飼育にあたり、膀胱結石を予防し、リクガメの健康を保つためのアドバイスをパスカル獣医にうかがった。

「膀胱結石の予防には、非常にバランスの良い食事とビタミンの補給が重要です。定期的な水浴びも、水分補給に役立つでしょう。また、特定の種が必要とする特定の条件を確認し、適切な環境、食事、サプリメントを与えることは、リクガメの健康を維持することに役立ちます。さらに年に1〜2回程度、エキゾチック・ペット獣医による定期健診を受けることで、病気の初期症状を発見できるだけでなく、飼い主が抱えている疑問などを解決するのにも役立ちます。」


ちなみに昨年11月には、別の病気で手術予定の犬に巨大な膀胱結石が見つかり、「20年のキャリアで最大サイズ」と獣医も驚愕するケースが話題を呼んでいた。

画像は『BBC 2023年9月29日付「Tortoise’s tennis ball-sized bladder stone removed」(VILIAM HOFERICA)』『Talker 2022年11月23日付「Pooch gets ‘new lease of life’ after vets remove massive stone from her bladder」(Chantry Vets/ VetPartners via SWNS)』『New York Post 2023年9月10日付「My basset hound was having trouble seeing — I took him to get a facelift」(SWNS)』『Clinique vétérinaire du Causse à l’Aubrac 2022年11月7日付Facebook「Vous avez peut être vu passer dans les actualités l’histoire de ce veau né avec 6 pattes」』『The Mirror 2022年5月9日付「Owner worried after dog stops eating – then finds 16 golf balls in his tummy」(Image: Matthew Lofthouse / SWNS)』『Lincolnshire Live 2021年9月7日付「From using Bonjela as a plaster to syringing water onto its scales – How Lincoln vets operated on a goldfish」(Image: The Veterinary Hospital)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)

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